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滋賀県の「あばれ食い」に3回行った話

交際時の思い出ですが、夫と表記します。


関西の方は魚松のあばれ食いをどれだけ知っているのだろうか。
夫曰く駅などにポスターが貼ってあるので知っている人は多いらしい。

あばれ食いとは魚松という近江牛すき焼き店の名物である、近江牛・松茸食べ放題だ。
現在は一人8800円だが、以前は7500円くらいだったと記憶している。


夫に初めて連れて行ってもらったのは2017年だった。

デートの一環でここでお昼を食べてその後どこか遊びに行こうという予定で、車で京都から比叡山を超えて向かったのは甲賀の本店ではなく信楽店だったと思う。

しかしこの比叡山越えがまずかった・・。
私はとても乗り物に弱い。
電車でもバスでも車でもなんでも酔う。
毎回というわけではないが調子の悪い時期が1年単位くらいであるように自分では感じていてそんな時は新幹線でも酔って戻してしまうということもあった。
調子が良くても、山道がやばいのは普段酔わない人でも覚えがあるだろう。

最初は二人でウキウキとドライブを楽しんでいたが、だんだんと口数が少なくなる私・・。

夫が何か話しても反応が鈍くなってくる。

そのうち夫も察して

「酔ったの・・?」と聞かれた。

「うん・・ちょっとだけ」

乗り物酔いあるあるだが、酔うとしゃべりたくなくなる。口を極力開けたくない。
そして何故か酔っていることを認めたくないのだ。

どんどんと気分が悪くなっていく・・。
やっと山を越えても収まる気配はなかった。

のどかになった風景は綺麗だったが私の三半規管は悪化していくばかりで酸っぱいものがこみ上げてくる。
何度もリバースの危機があったが必死で耐えた。

するとやっとお店に着きそうだった。

ほっとする。
だがすき焼きを食べたい気分では全くなかった。

そして広い駐車場に着き、駐車を夫が始めるとついにここで限界が来た。

「もう無理、降りる!」

と言って車外に飛び出すと駐車場の隅の側溝にリバースした。
(飲食店で本当に申し訳ない・・。かなり駐車場が広いのでお店の目の前ではないけど)

つらい・・

駐車を終えた夫が下りてきて背中をさすってくれる。

しかも他のお客さんが入ってきてこちらをチラチラ見ている・・。
まるですき焼きを調子に乗って食べ過ぎた人間である。

戻し終えると気分は良くなったが、なんだか胃がひくひくしている。
周りには何もないし、ここまで来てしまったので予定通りお店に入った。

乗り物酔い自体は治まったし、食べられるかな・・?
という淡い期待もあり、またここを目指してきてしまったのでもう食べるしかない。

二人分あばれ食いを注文して、
お姉さんたちがテキパキとすき焼きの用意をしてくれる。

良い感じでサシの入ったお肉が甘辛いダシで煮られていく。



そこに大きな松茸までどんどん入れていく。

大きな松茸


おいしそう・・・!

とはならなかった。
胃の受け付けない感が強く、結局本当にちょっと箸をつけただけだった。

7500円!!(涙)


夫はとても美味しそうに食べていて、変に気を遣われるより良かった。

食事も終わり、あまりにも申し訳ないので
「自分の分は自分で払うから」
と言ったが「ええよ、ええよ」とほとんど食べられなかった食べ放題料金を払ってくれた。



半年後・・・

おそらく前回食べられなかったことを不憫に思ったのか、
「またあばれ食い食べたいな、行こか」と連れていってくれることになった。

リベンジ!!

ということでバッチリ酔い止めをのみ、確かこの時は比叡山越えをしない道で向かった。

え・・うそこの感じは・・

信じられないことにまた激しく車に酔ってしまったのである。

そして同じことを繰り返してしまったのだ。
私の三半規管はいったいどうなっているのか。

夫も戸惑っていた。

今回もまたちょろちょろと申し訳程度に食べただけだった。

そして優しい夫は今回も「ええよ、ええよ」と笑って二人分払ってくれた。

この時はいくら体調のこととは言え本当に申し訳なかった。


また時が経ち・・・

優しい夫はまた私を「あばれ食い」に連れていってくれた。
また食べたいと言っていたが、前回も前々回も食べられなかった私に食べさせてやりたいと思っているのはあきらかだ。

今回は・・・


酔わずに美味しく頂けた・・・!

三度目の正直。


お肉は脂っこ過ぎず、とても美味しい。
そして松茸はおそらく冷凍もので国産でもないのだが、私はこの野性味のある松茸がとても気に入った。
かなり歯応えがあり、手強いのだがそれが良い。
松茸ご飯も土瓶蒸しもデザートもお腹一杯に食べた。

やっと二人で笑顔で鍋をつつくことができた。



この「あばれ食い」は評判に賛否あり、高いという声やイマイチだという意見も耳にする。
だが私たちはお店の広くおおらかな雰囲気や、はち切れそうな程食べて良いという状況が気に入っている。

私たちにとってこれはただの食事ではなくイベントなのだ。

ちなみに最後にガラガラくじを引かせてくれて、当たれば大きなお土産、はずれてもお土産をくれる。

当たったときは市販のパンや、スナック菓子が入っていた。
外れのは松茸の佃煮やうまい棒だったと思う。

お店のお姉さんたちも明るくて親切だし、楽しい一時を過ごすことができる。


何より懲りずに三度も連れていってくれた夫には本当に感謝している。
安くはないので申し訳なかったが、これも思い出になっていくのだろう。

実はこの後もあばれ食いには行っているのだが。



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