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なくし物

 久々に好きなものがあった買い物帰り。いつも以上にご機嫌で帰り道をスキップする歩調で歩く。暑い日差しで喉が渇き近くの自動販売機に向かう。自動販売機には好きなジュースを発見。「ラッキー」と思い鞄からお財布を取り出そうとするが、お財布の気配なし。ぞわりと焦るが「まだなくした訳ではない」必死に言い聞かせる。鞄の中を探るがお財布はない。ぞわりと背筋が寒くなる。さっきまでの機嫌が一気に不安・恐怖にすり替わる。「落ち着け。落ち着け」必死に言い聞かせる。
 お財布をなくす直前の行動を思い出す。思い出し慌ててお店に戻る。店員に「すみません。お財布の忘れ物ありませんか?」声が身体が心が震える。心で「ありますように」「見つかりますように」何度も祈る。店員の「ないですね」の言葉で絶望。涙がほろりほろり流れる。スマホの画面を涙で濡らし「財布 紛失」検索。次の行動を確認。泣きながら警察署に向かい遺失物届を提出した。 

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