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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㊵

「何もできないから、夕ご飯何か買ってきて」


順調に回復し、いよいよ退院の日がやってきました
定期的な通院や投薬は必要ですが
再発や転移の不安はすごくありますが
考えていても仕方ありません
 
「家に帰れる」
「また普通の暮らしができる」
夫に、娘たちに、両親に、妹に
主治医の先生に、大学病院の皆さんに
心から感謝して
普通の日常へ戻れます
「ただいま!」
幸せがいっぱいです
 
とは言っても、体力はまだまだ戻りません、
よくインフルエンザにもかかりました
 
子供からの感染力はとっても強力で、続けて2サイクルかかってしまったこともありました

ある時、娘2人と私が同時に熱を出してしまい、会社の夫に連絡をしました。
「何もできないから、夕ご飯何か買ってきて」
「わかった」
忘れもしません
夫は自分のお弁当だけを買ってきたのです
そして、テレビを見ながら一人でのんびり食べていました。
「え~っ?」
信じられません
情けなくなり、何も言えませんでした。
「みんなの分買ってきて」
とは言いませんでしたけど
わからなかったのですね
仕方ありません
ほんとに、何も考えていなかったのでしょう
今では、ちゃんと
「今、コンビニだけど、何か買って行くものある?」
と必ず電話をくれています。
なので、その後は
何を買ってきてほしいか、何をしてほしいか 
 ちゃんと具体的に伝えることにしました
(めんどうみきれん)

翌日、解熱剤を飲んで熱が下がったすきに
かかりつけのクリニックに3人雁首揃えて受診し
その後、行きつけのレストランへ駆け込み栄養を補給しました。
奮発して注文したビーフシチューの味は弱った身体にしみわたりました
そして、そのお店のマスターのやさしさに力をいただいてインフルエンザを乗り切れました
美味しい食事と優しさに心から感謝です。

さて、21世紀が始まりました
2000年春
次女がめでたく小学校入学、長女は3年生になり
学校行事が忙しくなってきました
 
遠足、授業参観、運動会、社会見学、学習発表会など
私が学校へ行く日も多くなりました。
授業参観の時は、先生方に教室まで階段を車いすごと運んでいただきます。
1年生の授業参観が終わる時間に迎えに来ていただき、3年生の教室まで
またまた階段を移動、3年生の授業参観が終わったら
玄関まで移動をお願いします。
ご迷惑かなとも思いましたが、
他のお母様達も掛け持ちで教室を移動されていたので
私も普通の母親として掛け持ちで授業参観に出席させていただきました
先生方にはお手数をおかけしましたが、子供たちは喜んでくれていたので
感謝しております。
 
長女が6年生になったときのことです。
担任の先生が、車椅子の介助を生徒に体験させたいと
階段の上り下りを生徒たちがしてくれることになりました
正直なところ少し怖かったのですが、
みんな喜んで車椅子を持ち上げてくれていたので
よい体験ができたと思っています。
今思うと、何事もなくて本当に良かった、
と胸をなでおろしています。


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