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ものづくり 日本のこころ

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技術力というととかく新しい技術や商品の開発に目が向けられますが、製造業を支える基本は、ものづくりの精度、加工技術の開発力です。日本が誇る高い品質の生産技術力は日本にしかない、世界…
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2023年6月の記事一覧

072.働きの対価と日本人のモチベーション

こうした農民、職人、武士たちの、仕事へのモチベーションはどこにあったのでしょうか。現代の…

梶文彦
1年前
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073.きえもんが要求した難破船救出の報酬

あるとき、オランダ人がアメリカの船を雇って、出島から銅および樟脳を積んで出帆しました。そ…

梶文彦
1年前
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074.経済的な豊かさのみを対価とする文明の悪を回避する

「2.勤勉は近代産業とともにやってきた」でご紹介した岩倉使節団の「特命全権大使米欧回覧実…

梶文彦
1年前

075.岩倉使節団、取り込み詐欺にあう

立憲君主制とは、庶民に政治を任せると、利益追求に走って、イギリスやアメリカのような富の配…

梶文彦
1年前
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076.高度なものづくりを生む環境

報酬を当てにせずに仕事を行う、これを経済学的に未熟というべきか、成熟というべきか、その判…

梶文彦
1年前
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077. 日本人の独創性

076 日本人の独創性  ここまで日本人のものづくりに対する意識や考え方、働き方を見てきまし…

梶文彦
1年前
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078.科学先進国は時代とともに変わる

科学技術研究は、過去の積み重ねという基礎の上に成り立ちます。国としてその分野の先端に立つためにはそれなりの土壌と環境が必要です。先進国以外の国で、優秀な科学者がいるからといって、個人としての力はゆるぎないものとしても、それだけでその国の成果として世界のトップに並べるというわけではありません。 たとえば理論物理などの世界では、チームや環境としてではなく、組織的な土台なしでも個人の力で、ある部分突出した研究が可能ですから、1949年に湯川秀樹が中間子の理論でノーベル賞を受賞するよ

079. 未だ創造的能力を誇る能はず

伊藤博文は、サンフランシスコでの日の丸演説の前年の1871年に半年ほどニューヨークに滞在し、…

梶文彦
1年前
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080. 独創を拒む「新規製造物禁止令」

江戸時代には、こうした禁令がたくさん出されています。ぜいたく禁止令などもいくどか出され、…

梶文彦
1年前
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081. ノーベル賞受賞者数と国民の独創性

新規製造物禁止令の影響がいまだに残っているのかどうかはともかく、日本人も「日本人には独創…

梶文彦
1年前
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082.アメリカは「改良・工夫の国」から「科学技術大国」へ

いま、世界で最も創造力と独創力を発揮している国はどこかと言えば、アメリカという意見に異論…

梶文彦
1年前

083. 打出の小槌と魔法のランプ

 データから見れば、文句なしに現代の日本は欧米先進国に匹敵する創造性を持った国といっても…

梶文彦
1年前

084. 近代化を可能にした読み書きの土壌

 独創性に欠けると言われながら、日本は経済大国と呼ばれるようになり、科学技術の面でも、ノ…

梶文彦
1年前
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085. あなどれない「漢学」の素養

「4. 豊かに広がるものづくりの世界(1) 034通奏低音を聴きとったペリー」でも、ペリー『日本遠征記』の一説で日本人の素養についてご紹介しました。 明治初期に日本人に工学を教え、教育上の支援をした人間として、1873年に明治政府に請われてイギリス人教師8名を率いて来日し、技術者養成の高等教育機関の創設の任務を帯びて工部大学校の創設にあたり教頭を務めたスコットランド人のヘンリー・ダイアーがいます。 あまり知られてはいませんが、ダイアーは9年間にわたって技術者教育や公共事業の発