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吉荒夕記「バンクシー 壊れかけた世界に愛を」美術出版社

バンクシーに、はまった・・。知れば知るほど、ワクワク感がとまらない!

彼を生み出した土壌はイーストロンドン。いわばスラム街。ストリートアートやグラフィテイのあふれる「アンダーグラウンドでアナーキーな」街、プリストルで育まれた。多様性に溢れ、権力に媚びない街・・。そこを拠点に活動し続けた。だからこそ、バンクシーは覆面アーチストで居続けられるのだそうだ。「プリストルの英雄」バンクシーは市民が守っているというわけだ。

彼の活動をみると、見張りをする人、足場を準備する人、SNSに発信する人、作業後の跡片付けをする人など明らかにチームがサポートしている。一度そのチームで一緒にやれたらどんなんだろ?と思うだけでゾクゾクする!

筆者はパレスチナの分離壁の真ん前にバンクシーが建てたTHE WALLED OFF HOTEL(世界一眺めの悪いホテル)に行って現地を見ている。このホテルが立っていた場所には賑やかな商店街に面した陶磁器店があったそうだ。しかしイスラエルによって商店街が取り壊され、瓦礫と化した地に、わざわざバンクシーは世界への発信地を作ったのだ。しかも「バルフォア宣言」からちょうど100年目の年に!

「壊れかけた世界に愛を」

その通り、このホテルはみんなに忘れ去られた場所に世界の関心を向けさせ、「あきらめるな!」とメッセージを世界に発信している。バンクシーもここに来るまで、十分な認識を持っていなかったそうだ。しかし、自分の耳目、そして体全体でその実情を感じ取り、「なんとかしなければ!」を誰も思いつかない着想で実践に移した!

パレスチナに定着して支援している人たちからは「距離を置いている」ことに批判的な立場もあるらしいが、俺はそこにも「それでいいんじゃん」と率直に共感する。彼の役割はどこかに定着して献身的に働くところにないと思う。世界のあらゆるところに出没して、「忘れるなよ!」というアンカーを落として去っていく・・。かっこよすぎる!なんて奴だ。

イーストロンドン、プリストル、THE WALLED OFF HOTEL 
いつか行ってみたい場所がまたできてしまった!でもこういうワクワクがたまらない。しばらくバンクシーには楽しませてもらおう。


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