【番外☕】「画用紙に挑んでいる🎨」
1.「画用紙に挑んでいる」
“彼の清冽な眼差しが好き”
“彼の飄々としたありようが好き”
“彼の中に住む無邪気な男の子が好き”
“彼の無駄のなくこなれた仕草が好き”
“彼の真っ赤な一途さが好き”
“彼の黄色い照れ笑いが好き”
“彼の穢れなく蒼い悲しみが好き”
“彼の翡翠のような賢さが好き”
今日も鉛筆に絵筆を持ち
彼を描き出そうと画用紙に挑んでみるが
言葉という画材はまだまだ私の手に馴染まない
未熟な線はちっとも彼の輪郭を結ばず
絵の具は出しすぎてばかり
2.彼の作品を紹介し始めました
第7章第42話から、突然に彼の作品の一部を挿絵として記事に掲載し始めました。
(→なかなか整っていないので、まだ固定記事にできていない、サイトマップのような【知られざるアーティストの記憶】目次記事です。よろしければご参照ください。もう少し見やすくなったら固定記事にしようかと^^;)
彼は子どもの頃から、漫画ばかり描いていた、むしろ漫画を描くことしかしてこなかったはずなのに、そのわりに彼の作品はほんのわずかしか遺されていませんでした。おそらく、その大半を自ら処分してしまったのでしょう。
彼の作業デスクの右隣に置かれたキャビネットの棚には、第45話で彼がマリに見せてくれた、絶作となった作品『未来へのレクイエム』の原稿が収められていました。その他には、彼の亡くなった後に本棚を整理すると、昔に描かれたものらしい、こちらは一応ネームもすべて書き込まれて読める状態になった原稿『LAGRANGE POINT JMN-003(ラグランジュ・ポイント JMN-003)』が出てきました。こちらは残念ながら、いつ描かれたものなのか、手がかりとなる情報がありませんが、彼がその他の作品をすべて捨ててしまった中でこの作品を仕舞ってあったということは、ある時点での彼の到達点となる作品だったのだと考えられます。この作品の構想をもとに、表現方法をより進化させて彼が最後に取り組んでいたものが、『未来へのレクイエム』なのではないかと。
一応完成している『LAGRANGE POINT JMN-003』と、未完成の『未来へのレクイエム』の他には、画用紙やトレーシングペーパーなどの紙片に描かれた下描き、試し描き、色見本(絵の具の色確認)などが封筒やクリアファイルに入れられて少し遺されているばかりでした。思想や作品の構想を書きつけたものらしい、読みづらい手書きの文章も遺されています。
ちなみに、ラグランジュ・ポイント(ラグランジュ点)とは、天体力学の話のようです。
『LAGRANGE POINT JMN-003』表紙
『未来へのレクイエム』表紙
彼の蔵書のほぼすべてを買い取ってくれた古本屋の女店主は、彼が影響を受けた時代の漫画にも精通していて、漫画家の手描き原稿なども取り扱うような人でした。彼女にも彼の遺作原稿2作品を見てもらったところ、『LAGRANGE POINT JMN-003』は手塚治虫など雑誌『コム』の作家たちの影響しか感じられないけれど、『未来へのレクイエム』は明らかにフランス漫画の影響を受けた画風に変わっているね、と話してくれました。
これからも引き続き、彼の作品を少しずつ載せていきますね。ぜひ、目をとめてあげてください😊
3.「第50話」まで到達しました
気がついたら50話まで書いていました、という感じです。なんだか驚きですね。50という数字に何の目標も掲げていませんでしたが、たまたま、ここでちょうど第7章が終わりました。彼との十月十日のうち、まだ2ヶ月も経っておりません。いったい全何話のお話になるのでしょうか・・・。
長い物語にお付き合いくださり、心よりお礼申し上げます。
※ヘッダー画像にはhohoさんのイラストを使わせていただきました。いつもありがとうございます。
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