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詩「乱」


音符を知らない子供みたいに
滅茶苦茶な音を引き連れて走り回る

不完全な言い訳をガリガリと引き摺る
地面に裂けた割れ目をつくる

夏に負けないしぶとい熱で辺りを燃やし
どす黒い煙を吸って涙を流す

誰にも聴かせられない不完全なウタを腹の中で響かせて 敢えて知らない言語を叫びまくった

(シンと静まりかえった団地の昼下がり。)

今にも暴れ出しそうな魂を肉体で覆い隠しながら
私は涼しげな顔でハミングをした
クーラーの効いた ひどく冷たい部屋の中で




僕の腹の底で 沢山の言葉が動き出す
少しずつ
少しずつ
上まで昇ってきて 喉の奥まで辿り着いたのに
僕は君の目を見ると
最後まで上手に 吐き出す事ができなかった
手には大量の汗をかいた
上手く繋ぎ止める事はできなかった

自分のした事が頭の中を激しく駆け巡った
僕が犯した罪が龍になって
鋭い牙が何回も何回も
僕の脳みそに噛みついてきた
その度に 心は乱れた

去って行く君の後ろ姿
本当は最後に何か言いたかった
けれど 臆病な僕は爪痕すら残せなかった
君の心の中に

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