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詩「柘榴」


風が鳴きはじめると
幼き日々を思い出す
外気は冷たく唸りだす

(あの日 私はまだ
知らなかったのだ。)

あなたの手はゴツゴツしていて
とても大きかった
知らない実を半分に割って
片方を私にくれた
赤が透けている
太陽みたいに燃えている
あなたの頬は瑞々しい
私の手は遠すぎた
知らない実を齧る
白い洋服に赤い染みができた
多分 繊維の奥の方まで染みていった

その実の名は柘榴といった
あなたは丁寧に教えてくれた
二人で食べたのだと教えてくれた
知りたくない事まで教えてくれた
私の感情を置き去りにして

突風が吹き荒れる
砂を頭上に巻きあげながら
あの日も風が鳴いていた
知らない言語で鳴いていた

柘榴は甘いのか酸っぱいのか
よく分からない味だった
私の脳は理解出来ていなかったのだ
それは太陽が堕ちた味だと
私は まだ
日が浅かったので
その味を よく知らなかっただけなのだ


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