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IT系の求人票の見方(2)

だいぶ前にも、以下の記事で書いてましたけど、

暇なので、取りこぼした点についても書いて行こうと思います。

※まずは、知らない人が見たら「これなんだろ?」って思いそうな職種から行きます。

職種:汎用機系

要するに、めちゃめちゃ古い仕事ってことです。パソコンとかコンパクトなサーバー機が普及する以前の時代には汎用機っていうでっかいコンピュータがあったんです。それに搭載するシステムってことです。

職種:Web・オープン系

オープン系っていうのは、汎用機系じゃないやつ、普通のパソコンで開発できるやつってことで、今となっては当たり前の話です。逆にオープンじゃなかったら怖いです。

それより、Web系かどうかを確認したほうがいいでしょう。つまり、普通のウェブブラウザでインターネット経由で見れるやつかどうか、ってことです。そうじゃなかったら、割とマイナーな仕事だと思います。

中にはウェブブラウザで見れるけど、インターネット経由では見れない、専用回線じゃないと見れない社内専用システムっていうのもあるとは思います。でも、作り方がWebシステムの体裁であれば、まぁ、いいでしょう。逆に、そのほうが外に公開してるサイトより、失敗しても影響が小さいという意味で、遊べる余地(=最新技術を導入する余地)は大きいかもしれません。その代わり、予算規模も小さいという意味で、遊びにくいという側面もあるでしょうけど。。

職種:パッケージ導入

システムをゼロから作るのではなくて、あらかじめ決まったひな形のようなものがあって、それをカスタマイズして納品するという仕事です。フレームワークとどう違うんだ?ってなるかもしれませんが、パッケージのほうが、より作り込まれてる感じです。パッケージだと、ほとんどプログラムを書かないケースもあると思います。パッケージだと、ガラパゴスになりやすいと思います。若い人がやると選択肢が一気に狭まると思います。まぁ、将来を絞り込むというリスクを取った対価として、多めにお金をもらえるかもしれませんが。。

職種:パッケージソフト開発

「パッケージ導入」と似てますが、違います。こちらは、たとえば、WordやExcel、PCゲームように、CDやDVDでパソコンにインストールして使う、主にWindowsのソフトってことです。Webブラウザもインターネットも関係ないってことです。避けられるなら避けたほうがいいと思います。これを5年、6年とやっていたら、Webの世界には羽ばたけない人生になりそうです。

たとえ、1、2年であったとしても、Web系の経験が無いってことなので、競争相手は新卒になります。Web系の会社にとっては、パッケージソフトの要らない経験を持ってる人よりは、新卒のほうが若くていいですね。Web系に転職できるとしても、新卒を雇えないような不人気な会社になると思います。この点については、制御系や汎用機系も同じです。パッケージ開発の中でも、Visual StudioでC#を使って開発してる、とかだったら、後でWeb系に移るという観点で考えたら、制御系や汎用機系よりは少しマシな気はしますけど、やはり、Microsoft縛りの人生にはなります。

職種:フルスタック

サイト本体の構築だけでなく、サーバーの手配からデータベース構築なども含めて全部独りでやるってことです。まぁ、実際には他にもメンバーが居るケースは多いでしょうけど、一通り全部やる仕事だと思ってたほうがいいです。実力は付くとは思います。

こういうので鍛えてる人は、フリーランスなどにはなりやすい人材だろうとは思います。フリーランスをお勧めするわけじゃないですが。。

一方で、1つの分野で専門性を磨いていきたいという人とは、ちょっと方向性が違うかもしれません。フルスタックの人も強いとは思いますが、独りで色々見ているので、その分、パワーは分散すると思います。それを労働時間の多さでカバーしてそうなのも、フルスタックの側面かもしれません。女性とか、QOL重視の人も、フルスタックはちょっと違うかもしれません。フルスタックで何でもできれば、フルリモートにもしやすくて、沖縄などのリゾート地で仕事できたり、という意味ではQOLを上げられるかもしれませんけどね。

「フルスタック」というワードは、下に書いてある「スタートアップ」や「テックリード」というワードと一緒に出て来るケースが多いかもしれません。

関連記事:以下は、実質、フルスタックエンジニアの話です。

職種:スマホ・ネイティブアプリ開発

ネイティブアプリっていうと、個別のスマホのOS用のプログラミング言語で開発するってことです。AndroidならJavaやKotlin、iPhoneならObjective-CとかSwiftとか。。ネイティブじゃないやつっていうと、ガワネティブと呼ばれる、外側(外枠)だけネイティブで中身はNodeJS(TypeScriptとか)という形態もあるようです。もしくは、スマホアプリのような見た目の画面だけど、普通にウェブアプリっていうのもあると思います。ウェブアプリだと、プログラミング言語としては色々ありえると思います。TypeScriptも可能でしょう。

個人的には、TypeScriptでできるやつだと、スマホアプリ開発だけに閉じ込められず、普通のWebシステムなどとも行き来しやすそうでいいかな、って思います。

職種:制御系

たとえば、炊飯器の組み込みシステムとか、鉄工所の設備を制御するやつとかです。理工系とか、ハードウェアが好きな人じゃないと、興味持つのは難しいかもしれませんね。プログラミング言語としても、C言語、C++が多くて、これを極めても、なかなか、一般的なウェブシステムの開発などには転職しづらいです。とは言え、大手メーカーの仕事だったりするので、そういう所に直接雇ってもらえるようなら、収入は割と良かったりします。

職種:IoT

制御系の発展形みたいなやつです。スマート家電などと呼ばれる、たとえば、冷蔵庫にAndroidを搭載して、冷蔵庫の中身をスーパーに居る時にスマホで確認できますとか、もしくは、農家のビニールハウスの温度の状況をビニールハウスに設置したAndroid搭載の専用端末から、連絡してくれて、水やりの量を調整するとか、そういう話です。

職種:運用・監視

システムを作った後に、それを日常的に動かして、何かエラーを吐いたり、止まったりしたら、それのお世話をする仕事ってことです。これを極めても、システムが作れるようには、当然なりませんが、とにかく、毎日がんばってればOKっていう感じで、システム開発みたいに、がんばってても、作りが良くないとか、納期厳守で納期までデスマーチだとか、システムの仕様に無理が蓄積して、最後は手が付けられなくなるとか、そういう話にはなりにくい所は良いかもしれません。個人的には、学生時代の部活とか、バイトみたいなノリのような感じがします。やることは決まっていて、後はがんばるだけ、という。。

この分野では、AWS、Azure、GCPとか、Dockerなどの仮想化技術、Ansible、Linux、Python、Go、シェルスクリプトなどは、他にも使い回せるスキルではあると思います。あまりスキルが積み上がらないような仕事も多いですが、こういうのを活用してる会社なら、割と積み上がると思います。SREとかDevOpsとか言ってるのは、割とスキルが積み上がるやつってことになると思います。

職種:データサイエンティスト

データ分析とか、AIとかの仕事ってことです。AI云々って書いてる仕事でも、単に出来上がったAIに問い合わせて結果をウェブサイトに表示するだけの仕事もあります。データサイエンティストだと、そうではなくて、実際に、AIを作ったり、AIを作るのに必要なデータを整理したりという仕事になります。理工系で数学が苦手ではないという人は、システム開発とか運用より、こういう仕事をやったほうが、文系エンジニアと差別化しやすくて有利だと思います。文系とか数学あんまりできない人でも、データサイエンティストの中でやれる仕事は結構ありますけど、やはり、リーダーとか、責任者となると、理工系の人が求められていると思います。

職種:データレイク構築

データレイクっていうのは、データ分析をしたり、AIに投入するためのデータを溜めてある場所、溜めたものっていう意味です。AIや機械学習の仕事がなかなかGETできないけど、近づきたい人には悪くないかもしれません。

関連記事:

職種:RPA

通常、何かしらのサイトなりWindows上で手作業でやってる業務を、ほとんどそのままの業務フローで自動化するという話です。ただし、使ってるツールに依存する部分が多くて、ガラパゴスになりがちだと思います。それだったら、SeleniumやPlaywrightを使って、E2Eテストなどを、プログラムを直接書いて自動化するほうが、開発に近くて、汎用性が高いです。まぁ、RPAはガラパゴスになるというリスクを取った分、年収はちょっと良くなるかもしれませんけど。。

※次は働き方の条件など。。

フルリモート

完全に会社に行かなくて良くて、全国どこからでも仕事できます、という仕事です。キーワード検索で「フルリモート」って検索してみると良いでしょう。全国どころか、たまに海外からでもいいよ、なんて言ってる会社もあります。であれば、ハワイでバカンスしながら働くことも可能でしょうね。とは言え、給料を日本円でもらってたら、物価の高い国ではきついかもしれませんけどね。

一方で、リモート可と言ってるだけのケースだと、週に1、2回は出社してくださいとか、何かあったら、出社が必要ということだと思われます。

採用人数5名以上

あまり注目されない条件かもしれませんが、たくさん採る場合は、1人1人をよく見てないケースもあるので、ちょっと変わった人でも、全体としてバランスが取れていれば、雇われやすくなると思います。1人しか採らないケースだったら、やはり、無難な人を選びがちだと思います。

基本給

給料のうちの、絶対もらえる部分ってことです。前回も書きましたが、モデル年収とか年収例と言ってるものは、あやふやなものが多いです。基本給が高い仕事は、確実性が高いです。

固定残業代

たぶん、これくらいは残業するだろうということで、払われる残業代です。でも、実際は予定した残業時間より少なかったら、その分、引かれると思いますし、部署によって、残業が求められていない部署もあるので、部署異動したら、全然話が別、というケースもありえます。というわけで、絶対もらえる残業代だと思ってると、それも誤解がありそうです。

アジャイル開発

一言で言うと、納期がかっちり決まってない仕事ってことです。実際にやってみた結果を元に、納期が調整できるということで、デスマーチとか無茶なことにはなりにくいです。ただし、2週間サイクルとかで、細かい目標を建てさせられたりして、それがちょっと鬱陶しかったりもしますが、まぁ、それさえやっていれば許される、ということでもあるので、やはり、開発者にとっては、優しいスタイルではあります。

一方で、開発の外の人たち、たとえば、企画、営業、品質保証などの部署の人たちは、開発のスケジュール調整に振り回されて面倒に思ってたりします。まぁ、ITっていうものがはらむリスクを開発だけでなく、会社全体で受け止めましょう、という現実的なアプローチってことです。リスクを開発だけに負わせるのが従来の開発手法「ウォーターフォール」です。開発の外の人たちにはウォーターフォールのほうがいいです。でも、それだと開発の人たちはエグいことになりがちだということです。エグイと、人はどんどん辞めていきます。

スクラム開発

アジャイル開発のうち、特に「スクラム」と呼ばれるスタイルで開発してるってことです。アジャイル開発と言っただけだと、実態としては、単にダラダラ仕事してるだけなのを、今風に言ってみただけ、というケースもあります。というわけで、スクラムと言ってる場合は、もうちょっと実質的な内容を伴っている場合が多いと思います。スクラムマスターと言って、スクラムのスタイルで組織を回していくのが、スキルや資格として扱われてたりもしますから、開発の組織運営について、何か中身のあるものを得たいと考えてる方には良いかもしれません。

リリースサイクル

システムを改修して、リリース(一般公開、配布)していくサイクルのことです。リリースサイクルが2週間の仕事とかは、割とエグめだと思います。個人的には1ヶ月以上にはしてほしいですね。ただ、リリースサイクルが小さいほうが、何か問題が起こった際に、どの改修を入れたせいでおかしくなったのか、切り分けがしやすいというのはあります。それが、管理職にとってはメリットなんでしょう。とは言え、運用部門のリリース担当者などにとっては、常に息つく暇がなくて、結構、負担です。

試用期間 6カ月

試用期間っていうのは、本採用ではないということです。何かやらかしたら、クビになるリスクがその期間は高いです。とは言え、普通の会社では、試用期間中にクビになることはまれでしょうけどね。でも、法律上(理論上)は、クビにしやすいのです。というわけで、試用期間は3か月とか、短いほうが有利です。試用期間中は、なるべくおとなしくしてたほうがいいと思います。

面接1回のみ

お手軽なようですけど、誰でもいいって意味でもあります。面倒でも、2回はやってる所がいいんじゃないでしょうか。個人的には2回というのが必要十分です。3回だと面接受けるのが面倒に思ったりもしますが、2回は最低限必要な回数だという認識です。

あと、2回面接やってる会社であっても、大して大きい会社でもないのに、2回目の面接で役員に会えない会社というのも、誰でもいい会社ってケースがありそうです。どんどん人が入れ替わっていくので、会って話をしてもしょうがないってことです。

チームで仕事してます!

常駐の会社のアピールでたまに見かけるやつです。1人で常駐させられるより、チームのほうが確かにいいです。でも、常駐です。常駐って書いてないのに、やたらとチーム云々って言ってる所は、あれ?これ常駐だっけ?って気付くべきところです。他にクライアント云々、お客様・顧客云々、勤務場所が色々、となれば、常駐でしょう。

エンド直請

前回も書いてましたが、エンドについて書いてませんでした。エンドというのは、エンドユーザーってことです。つまり、システム開発などの仕事を発注した会社です。直接発注されてます、ということです。直接じゃないよりは確かにいいです。でも、自分の会社の事業ではなくて、人の会社の事業ってことです。

※SIerについての関連記事はこちら。

単価公開

常駐や派遣の仕事で、自分が1ヶ月いくらで売られているのかの額を聞けるということです。聞けないよりは悪くないですが、常駐や派遣の仕事ではあるということです。

スタートアップ

できたばかりの会社ってことです。昔はベンチャー企業って言ったのですが、ここ数年はスタートアップって言うようになってます。ベンチャー企業だと、冒険的でリスクが高い語感がありますが、スタートアップだと、特にそういう色を感じさせない無色透明な語感があります。

スタートアップって言うと、資金調達に成功してそうな、割と社長が有名大学卒&大手企業出身でコネを持ってたりというような、お金面での手当てができてそうな雰囲気を醸してます。MacとかAppleが好きそうで、社長はアラサーでノーネクタイの、意識高い系の雰囲気、というのがステレオタイプです。

テックリード

ここ2~3年で使われ始めたワードな気がします。「スタートアップ」と一緒に出て来ることがやや多いかもしれません。

アーキテクトと言うのと近いと思いますが、テックリードのほうが、もうちょっとあやふやな感じです。アーキテクトだと基盤技術の選定とか、設計を主にやってる感じですが、テックリードだと、実装もやりつつ、技術部門を牽引してる感じです。アーキテクトのほうが、もうちょっと組織の体裁がしっかりしていて、分業が進んだような印象を受けます。テックリードだと、やや未分化な印象ですが、その分、自由にやれそうな雰囲気を醸してます。いずれにしろ、責任を負いたくない人は、テックリードやアーキテクトは、ちょっと方向性が違うと思います。

AWSなんとかパートナー、Microsoftなんとかパートナー

単にAWS製品やMicrosoft製品をいっぱい使ってます、ってだけで、必ずしも、専門性が高いとは限らないと思います。話半分ぐらいに聞いておくのが良いと思います。逆に、自分はMicrosoft製品があんまり好きじゃないのに、Microsoftなんとかパートナーなのであれば、ちょっと方向性が違うということでもあります。個人的には、Microsoftのパートナーなのは、逆にマイナスです。ガラパゴスになりそうです。.NETではなく、.NET Coreであれば、Linuxでも運用できていいかもしれませんけど。。

また、個人的には、クラウドで言ったら、AWS、Azure、GCPの中では、AWSが良いと思います。シェアが一番大きいですから、転職後に使い回せる可能性が高いです。

派遣業許可番号 派13-333333(←この番号は例)

こういう番号が出ているのであれば、「ガチで外に人を貸してますよ」「常駐や派遣の仕事ですよ」って意味です。常駐や派遣の仕事は避けたいのであれば、明白にそういう仕事なので、避けたほうがもちろんいいです。前向きに捉えれば、無許可でやってるわけではないということにはなりますが、特定派遣(=正社員を派遣する形態)の許可であれば、割と簡単に取れるようなので、別に凄くもないとは思います。

希望の案件にアサイン

いい話のようですが、「案件」っていうワードからも、「アサイン」っていうワードからも、やや常駐臭がします。よく確認しましょう。

おわりに

また追加で書くかもしれません。前回の記事は、冒頭にも貼りましたけど、こちらです。こちらもあわせてどうぞ。こちらのほうが情報量多いです。


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