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概日ハウスPJスタート

『おやすみなさい、気をつけて帰ってね。』職場がある向かいの通りのバーから聞こえてくる声と同時に1枚の図面を書き始める、時刻は22時を過ぎ、そこから終電までの2時間で書き終わるか、それとも明日に仕事を残してしまうのかの勝負。

そんな生活を新卒から働いている会社では毎日のように過ごしていた。そんな中、2021年4月コロナウイルスによる東京都の緊急事態宣言もあり、今までのルーティンを刷新してしまうかのごとくリモートワークに移行せざるをえなくなった。

その出来事からは、感染症の状況等は一旦かっこにくくり、生活という面において実は副産物の方が多かったとも思える。まずは通勤時間がなくなったことにより、今までにはなかった時間が増えた。例えば"洗濯をこまめ"にする"近所を散歩する"や"夕飯は自炊する"だったりと当たり前の生活の一部が行えるようになった。それらのことはあくまで+αとしての要素に思えるかと思うが、通底するのは何より家の近所で生活するということに改めて向き合うきっかけがあった。

朝干した洗濯物は天気がよければ3時に乾くし、実は家の共用部の花壇には大谷石が使われていたとか、近くのスーパーの特売品の推移なんかは、ここで特筆すべきでもなく、そこに暮らす人のよくある生活の断片である。とはいえ今までその断片のそのさらに小さな断片でさえ気づけいない自分ということに初めて気がついてしまったのだ。

気がつけば、ここ数年間、日中を家で過ごしたことなんてなかった。日中は仕事をするか電車に乗り色んな目的地に出向いた。ただ、こうやって家の中で過ごしてみると、日中は日差しが入り、日の出と日の入りが目に見えることで身体が少しずつそれに適合してきていることに気づいた。殊更にこの場所の日中の生活自体に美しさを感じ始めてさえいた。

私は団地の一室に住んでいる。それも竣工当時は相当な規模の団地だ、高度経済成長期の時に建った団地であるから、ご近所さんは当然のごとく高齢の方が多い。それもあってか夜遅くに帰宅するときは、自分の家の一帯はゴーストタウンくらい暗い印象だったが、むしろそれは都市生活に依存しすぎている自分の写像だったのかもしれない。(笑)

さておき、実はこの団地の一室リノベーションをすることにした。築56年、建て替え計画も噂されている時にあえてする必要があるのか。その必然性を考えながら建築をしていこうかなと。

と、半ば無理やりですが、、『概日ハウスPJ 』スタートです。



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