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キレイ好きな女はカレーの嫁になってはいけない #03

私は起床後、まずクイックルワイパーで床拭きをする。(誰も歩いていない朝イチは、ほこりが床に溜まっている状態でいちばん効率が良いから。)

キッチンや風呂場の蛇口やバスタブのへりも水アカ跡がつかないようにすぐに拭くようにしている、というくらいのまぁまぁなキレイ好き。

潔癖症でもないし、この『まぁまぁ』なキレイ好きの感覚も信じられないという感覚の夫。私にとっての汚れは、夫にとって汚れではないのだ。(ちなみに、キレイ好きの感覚は千差万別なので、この差を責めたり卑下するつもりは毛頭ない。)

この前提をふんわりとさせながら読んでくださいませ。


「好き」がわかってくると、今度は、それがどいう構造になっているかを知りたくなる。僕を虜にするシェフ達はどうやって作っているのか?僕はこの頃からプロとの距離を知りたくて、自分でもカレーを作りだした。

 「好きと、友達と、現場。」 takenacurry

夫は毎日カレーを食べ続けるごとに自分でも説明できない好みの存在を感じるようになったらしい。
その構造を知りたいという探究心から500日が経過した頃に、自宅でカレーを作るようになった。

もちろん作るのは市販のルウを使わないスパイスで作るカレー


か

↑ 夫作「野菜出汁のチキンカレー。」めちゃくちゃ美味しい。

個人的にはルウで作るカレーよりもスパイスカレーの方が好きだし、作ってもらえるなら断然スパイスカレーがいい。

だが、私は知らなかった。


自宅で作るスパイスカレーが出来上がるまでに、キレイ好きを唖然とさせる工程があることを。


今までルウを使ったカレーしか作ったことがなかったので、スパイスカレーの作り方も【 具材を炒めて → お湯を入れて → 煮る → 火を止めてスパイスを入れて煮る 】のだと思っていた。

パウダースパイスはほぼカレールウと同じような作り方だけど、ホールスパイスは種のような固形だし、煮たくらいで味がでるのだろうか…?と疑問に思っていたら、そもそもホールスパイスは ”香りづけ用" で、味を出すものではなく調理方法も違うらしい。

じゃあ、どうやって香りを出すのか。


ここで魔の工程が登場する。

『 テンパリング 』 


学生時代にバレンタインのチョコレート作りでやったことあるな〜、と甘酸っぱい記憶を引っ張り出してみたものの、チョコレートのテンパリングのような キャッキャ アハハ な作業ではない。


て

スパイスカレーにおけるテンパリングとは『熱した油の中にホール(固形)スパイスを入れて香りを出す』という作業。

スパイスの香り成分はほとんどが脂溶性なので、高温の油で熱することで香りが油に溶け出ていくが、高温にすればするほど油ハネがヤバイ。

スパイスの種類によっては、スパイスの粒が油と共に弾け飛ぶ…!!

チューブのニンニクを熱々のオリーブオイルに投入すると、固形と違ってニンニクが躍り狂って異常な油ハネを起こすあの感じと一緒。もはや恐怖。


ああ。

ウソでしょ。


め

無数の油ハネがビッシリとコンロに付着。

盛大に飛び散った小さな油ハネは、コンロだけではなく、床にも無数に存在する。

実際に見ると、黒地に白点描が入っているコンロの柄と油ハネが同化して汚れが見えにくい。コンロに「油ハネ汚れなんか気にすんなよ!」と言われているかのようだ…。

カレーを作った張本人(夫)は、探究心から生まれたカレーの仮説検証と分析に夢中なので、油汚れなんて視界に入っていない。(まぁ、汚れを汚れだと認識していないからなんだけど。)


普通の料理でも油を使う料理は多少の油ハネはするが、私は油をたっぷり使った料理が苦手なため、基本的に炒め物は食材に含まれる油分を利用するので油は使わないし、煮たり蒸したりする調理が多いから、油ハネ汚れに耐性がない。

よって、油ハネ掃除がめちゃくちゃ嫌いなのだが、楽しそうに構想したカレーを作って食べて ムフムフ している夫をみると「掃除すればいいだけだし、まぁいっか…」という気持ちになるのが不思議だ。

たけ

多分、ペットがご飯を盛大に食い散らかしてもかわいいから許しちゃう、という気持ちと一緒。かわいい…。

アラフォーのおじさんが、かわいいという奇跡。


またある夜、カフレ(※カレーフレンズ=カレヲタの集まり)と呑んでいる時に、このキッチンの油汚れ問題についてどう対処しているのか聞いたところ、見事に誰も気にしていなかった。

美味しいカレーを作る為にはしょうがない、と。

むしろ、足の裏がペタペタするくらいがイイ…!という奇妙奇天烈な回答をいただいた。


マジかよ。

(どうやったら、そのような感覚に到達できるのでしょうか。)



夫の理念は「カレーの楽しさを広め、カレーを作る仲間を増やす」なので、あなたのパートナーが「スパイスカレーを作ってみようかな…。」とつぶやいたなら、それはとても喜ばしいことだけど、作り出す前に相手と自分のキレイ好き度を再確認してほしい。

どちらもキレイ好き、もしくは汚れが気にならないなら、盛大に作って!

心ゆくまで、油を吸ったスパイスがプンプンに膨らんで、はち切れる寸前のギリギリまで粘ったナイステンパリングをしまくりましょう。やったれやったれ!!!


ただし、【 作る側=汚れが気にならない人 】VS【 作らない側=キレイ好き 】の場合は、パウダースパイスで作る提案をしましょう。
パウダースパイスはテンパリング不要なので、不慮の事態は未然に防ぐことができます。

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