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中高生探究活動#02 清水優里恵さん 〜ときめきを感じたことは、片っ端からやってみる〜

中高時代に校外活動に参加しようと思ったきっかけ

Q.現状と中高時代の取り組みを教えてください。
この春(2022年4月)に、東京大学の理科1類へ一般受験で進学しました。中高時代の取り組みとしてはMONO-COTO INNOVATION(以下MCI)の2019年と2020年に参加して、2020年は優勝できました。他には、キャリア甲子園とあるビジネスコンテストに参加しました。あと、CONNECT(弊社が主催するMONO-COTO INNOVATION参加者コミュニティ)で募集があった企業コラボ企画のうち、CanonプロジェクトとBNALプロジェクトに参加しました。

Q.校外活動に参加しようとしたきっかけは、なんですか。
「高校生になった」というのが私の中ですごく大きくて、中学生の時は校外学習に興味があってもなかなか手を出せずにいたので、「高校生になったんだから、なんでもチャレンジしてみよう!」と思ったのがきっかけの1つです。

Q.その「チャレンジしよう」と思えたきっかけはなんですか。
私『けいおん!』ってアニメが大好きで、その主人公の子が高校1年生になった時に「なんでもがんばるもん!」って言いながらストーリー展開していくアニメなんですけど、それに影響を受けていたのかなと、今になって思います。(大門:私も『けいおん!』好きでした。)そうなんですね!(大門:ちょっと前ですよね?)そうですよね、もう10年とか前ですね…(大門:私は、ちょうどリアルタイムで見ていました。)ええ!?羨ましいです〜!私もリアルタイムで見たかった…。(大門:音楽めっちゃいいですよね?)めっちゃいいです!

Q.中学生の時には、課外活動に関心はなかったのですか。
そうですね、あんまり…。そもそも中学生向けのイベントって高校生向けに比べると全然無いと思うんですよね。だからなおさら高校生になってからやってみたいなという気持ちが強かったと思います。

MCI2020では見事に優勝

MCI2019での衝撃

Q.一番最初に参加した課外活動は何ですか?
一番最初に参加したのは、確か高校1年生の最初に受けた統計検定の2級でした。大学レベルの統計を勉強をしたのが一番はじめで、そうですね、校外活動というとMCI2019が最初かなと思います。

Q.MCI2019に参加した感想は?
いや〜すごい、もう、すごい、青春したなという感想が強くて…。大きくて、すごい楽しかったんですよね〜本当に。(大門:どのような部分に楽しさを感じましたか?)そうですね、自身の所属校は女子校(※清水さんは女子校の田園調布学園高等部出身)なので、周りには女の子しかいないし、友達同士でも生活レベルが同じような子が多くて、価値観も同じような子が多いかなって思っていたんですけど、MCI2019では既にいろんな方面で活躍している人たちが多くて、そこにとても刺激をもらえたかなと思っています。貴重な出会いが多かったのが、ふりかえって一番よかったのかなと思っています。

Q.チームで活動する中で感じたことはありますか?
私のチームは女子2名、男子2名の4名チームでした。男子と一緒に行動する違和感はちょっと…あ、かなり感じました(笑)アイデア検討の時に、男の子たちがすごい「これは男のロマンなんだ!」とか突っ張ってきた時は、こちらが理論的に言葉を返しても全然伝わらなかったので、ちょっとだけ「なんなんだろう、この人?」って思いました。(大門:「男のロマン」が女子にわかるわけないと?)そうなんですよ、本当に(笑)男子とのやり取りを通して、一気に新しい世界を知れた気がします。

Q.MCIへの参加で得られたことは、何ですか?
いろんな人と繋がりがもてるようになって、コミュニケーション力が上がったかなと思います。真面目な議論をするときでも、主体的に発言する力は養われたと思っています。大学の授業で行われるデザイン思考的なグループワークでも「デザイン思考的な感じで、まず最初に困りごとを探してみるのもいいんじゃない?」というように、私がまず提案することがあります。そして進めながらチームの方針を決めていくような感じですね。

Q.デザイン思考は有効だと感じますか?
とりあえずデザイン思考の枠組みでやってみれば、あまり外さないのかなと思っています。アイデアを適切に生み出して実践するプロセスは、なかなか難くて、ある程度、きちんと勉強しないとわからない気がします。でも、なかなか勉強する機会が無いのが現状かと。大学授業でのグループワークで、他の班を見ていると、最初から方向性がわからなくて行き詰まっていたり、誰が指揮とるんだみたいな感じで止まっていたり、と、プロセスに対する共通認識が無いから迷走しているグループが多かったかなという印象です。デザイン思考の型にはめてしまえば、どのような経路であっても最終的にアイデアを形にすることは可能なのかなと思っています。

MCI2019出場時のチーム写真

ビジネスコンテストでの経験

Q.MCI2019のあと、参加したプログラムで印象深かったものは何ですか?
高校2年生のときに参加した、とあるビジネスコンテストが印象深かったですね。参加者はビジネスプラン考えて企画書をつくるところからスタートしていきます。基本的に何かのお店を経営する感じで、商品を販売するような形のビジネスプランを立てて企画書にまとめ、その後の第一審査に通ると30万円が支給されるんですね。それでビジネスを進めるコンテストです。

Q.支給された30万円でショップを立ち上げるのですか?
そうですね。自分たちでネットショップを立ち上げました。私のチームは、ハーバリウムを販売するお店をやりました。確か利益的には…最終的に手元に戻ったのは4万くらいだったと思います。利益以外の出資金は返しました。

Q.大会には順位があるんですか?
あります。判断基準はよくわからないんですけど、大会運営者が順位を何らかの形で決めるって感じで、特に参加者が把握できる明確な基準はなかったと思います。銅賞、銀賞、金賞、グランプリっていう順位で、私たちのところは銀賞でした。賞状とトロフィーを頂きました。

Q.このコンテストが印象深い理由は何ですか?
実際にそのなかなか自分では扱ったことがないような額のお金をもらって、そう、こう実際ネットショップを開いて商売をしていくというところがすごく、やはり、あの〜なんていうんでしょうね。すごく実践的で、まあ実際色々難しいこともあって、現実を直視させられる場面も多くて、それがすごく印象深かったのかなと思います。

Q.コンテストでは、何が難しかったですか?
私たちが扱った商品特性が関係すると思いますが、販売したハンドメイドものってなかなか売るのが厳しくて…結構人件費がかかってしまいました。とにかく手間がすごくかかりますし、そもそも売れないというのもありますし、商品自体の質を高めようとすれば費用もそれだけかかってしまうという感じで。私たちはそもそも大きな業者ではないので、大量に仕入れることができれば原価は抑えられると思うんですけど、なかなかそれも難しくて。そこで価格をいかに下げるかと、その中でも質をいかに高めるかっていうので、メンバーのなかでも結構揉めたりして…。商品の質を最優先にするべきだという意見と、利益がちょっと減っても良心的な価格設定にしてお客さんに喜んでもらえるようにすべきだという意見と、完全に意見が二分してしまい…そういうのがあって…大変だったかなぁと思います。

Q.チーム内で意見が割れてしまって、大変だったということですか?
私含めてチーム4人が、完全に2対2に分かれてしまいました。私は商品の質重視派でした。私自身が完璧主義的なところがあるのかもしれないんですけど、お客さんに対して微妙なもの、安くても品質が良くないなものを送りつけるよりは、原価を高めにしてでもしっかりしたもので作って、長く使ってもらえる方がいいかなと思って。当初のコンセプトとしても「誰かにプレゼントできるようなものを作る会社」をつくろうというのがあったので。(大門:低価格派の人たちからは、いろいろと言われてしまった?)そうですね。結構、ハードな話し合いを重ねていったので、4人中私以外が最終的に脱落してしまって…。それで、結局「私=会社」になり、商品の質を求める方向になりました。

Q.チームメンバーとは、結構派手にぶつかり合ったんですか?
チームワーク自体は10月から始まったんですけど、1人目の最初に抜けた子はコンテスト以外のことでも忙しくて1ヵ月後には離脱してしまいました。2人目は、最初すごく頑張ってはいたんですけど、途中で体調を崩してしまって、12月くらい離脱しました。3人目の子もすごい忙しかったらしく、途中でやはり体調を崩してしまって…それで離脱という形になってしまいました。

Q.コンテストの実施期間はどれくらいですか?
企画書を提出したのがおそらく9月の終わりで、審査通過の連絡が10月の半ば、そこから始まって、実際に販売し始めたのは翌年1月中旬から下旬でした。実質販売したのは2週間くらいでした。

Q.コンテストを最後までやり抜くことができた理由はなんですか?
実は、コンテスト実施期間の12月に親しかった祖父が亡くなりまして…それからなんかもうすごく自暴自棄になってしまったというか、なんか痛みを感じなくなってというか。私自身が東大を志望校にしていた理由が、祖父がすごい大きく関わっていて、祖父に喜んで欲しいなって思いで一生懸命勉強を頑張っていたので…。亡くなってしまったことで、モチベーションが下がり、辛くて勉強ができない日々でした。だから、勉強以外の逃げる場所としてコンテストに傾倒していたのかなと思います。結果として「救われた」という感じかと思います。

Q.コンテストをやり抜いたことに、意味があるという感じでしょうか?
そうですね、高3の3月にコンテストが終了したのですが、やり抜いた後にはすごい脱力感というか…。それからの私には、もう、やることが勉強以外なくなってしまった状態で…。その後3ヵ月間ぐらいは本当に記憶が無くて…。なんというか「プランクトン」みたいな生き方してました。

ビジネスコンテストで販売した商品

高3からの東大受験に向けて

Q.ビジネスコンテストのあとは、受験モードに入り替えた感じですか?
そうですね…どうしてもコンテストでの衝撃が強くて、なかなか自分の気持ちが切り替えられなかったので、4月くらいまではビジネス英会話とか勉強してそちらに逃げてたような感じはありました。

Q.受験勉強に本腰を入れ始めたのは、いつ頃ですか?
そんな状態だったので、本格的に受験勉強を始めたのは、高3の6月くらいからだったと思います。(大門:モチベーションが上がるきっかけは、何かあったんですか?)ありました。あの、MCI2019で一緒だったチームメンバーSくんが、たまたま私の小学校の同級生だったんですけど(大門:えっ、全く偶然に小学校の同級生とMCIで一緒のチームになったんですか?)はい、そうです(笑)Sくんとは小学校の時は全然仲良くはなかったんですけど、MCI2019ではすっごい仲良くなって終わった後でもたまに連絡を取り合う仲になりました。Sくんはある進学校に通っている子なんですけど、この高3の6月に、ふとSくんからLINEが来たんですね。「最近どうよ?」みたいな感じで。例のコンテストの流れから、この時点での私は全然勉強してなかったんですけど「まぁ東大A判出てるよ」みたいな感じで返信したら、Sくんの親友Mくんも私と同じ東大理Ⅰを目指しているんだけど、英語が苦手らしいという話になって。私は英語得意だったので、SくんがMくんにそのことを伝えたら、Mくんが私に対抗心を燃やしてきつつ「英語教えてよ」みたいな話になり…そのあとノリで私とMくんがLINEを交換して、そこからMくんと東大模試の成績を比べるようになったんですね。そこから急にモチベーションが上がって「私、またもう一回がんばってみようかな」と思えるようになりました。

Q.そもそも、東大を志望したきっかけは何ですか?
東大を志望し始めたきっかけは、中学3年生の時だったと思います。それまでは大学についてよくわからず、勉強せずにすぐ働いてもいいかな、くらいにしか考えてませんでした。ただ、私は勉強するのが嫌いでは無く、成績もそこそこ良かったので、中3担任の先生に面談で「まぁ、とりあえず東大でも目指して勉強しておけばどう?」みたいな感じで言われたのが、直接のきっかけです。その時「確かに、東大目指して勉強しておけば、後々他の大学に興味をもっても、行ける可能性は広がるよなー」と思って。結局、そのまま東大をずっと志望し続けて、東大に合格できて進学したという感じです。

Q.理Ⅰを志望した理由は何ですか?
私はゲームが小さい頃から好きで工学に対しての興味があったので、文理選択の時にはどちらかといえば理系かなと。その後は消去法で、理Ⅲは医学だから違うし、理Ⅱだとあまり得意ではない生物系になってしまうので、やっぱり自分に一番フィットする理Ⅰかなと思って志望しました。

Q.校外活動と受験の結びつきはありますか?
私が取り組んでいたのはビジネス系コンテストだったので、受験の直接的な合否判定には関係ありませんでした。私に取っての校外活動は、純粋に楽しくて、とにかくいろんな人に出会える場で、今しかできないことをしようという信念でやってました。

大学での活動のこと

Q.大学の授業では、どのようなことを学んでいますか?
初年時ゼミナールという少人数で進めるグループワーク授業があります。私はロボット工学に関するものを履修していまして、授業目的としては、社会で役に立つロボットを考えようという感じです。これがすごくMCIに雰囲気が近く、私は今3人グループですが、ここでもデザイン思考で培ったプロセス把握力やグループワーク力が使えているかなと思っています。

Q.大学の授業以外では、どのような活動をしていますか?
まだ、これといったものはできていないです。いろいろな部活やサークル活動に興味があって、いろんなところの新歓に行ってたら、気づいたらもう6月(※インタビュー時点は大学1年生の6月)になってしまい…まだ、自分がやりたい活動までは考えられていないです。

Q.これから大学でやってみたいことはありますか?
今は、学習をサポートする団体の活動をしようかと思っています。その活動として、直接勉強を教えるというよりは、学習者のモチベーションを助ける活動です。その団体に所属している知り合いがいて、いろいろと話を聞いているので。あとは、私の母校(田園調布学園)で後輩に対する学習サポートに関する活動をしたいです。東大や難関大を目指す子に対する学習サポートをしたいなと思ってます。周囲の人や母校の先生方といろいろとアイデアを出し合いつつ、機会を探っています。

これから探究活動をする中高生へ

Q.中高生に対して何かメッセージをお願いします
とにかく出会いを大切に。そして、出会う人に対しては、まず肯定的に捉える心構えをすると良いと思います。どんな人であっても否定から入るのではなくて、どんなに価値観が違ったとしても最初だけは「あぁ、この人面白いなぁ」と肯定的に捉えるとすごくいいかなと私は思います。大学の選択外国語ではロシア語を選んでいるのですが、東大理系のロシア語選択者って「私から見たらものすごく変わった人」しかいないようなところで(笑)それでもまずは肯定的に相手を見るようにすると、すごい楽しくって。当然、徐々に親しくなっていく段階では、お互いにうまく距離を取っていく必要はありますが、それでも最初は相手のことを肯定的に捉えることができることは、まず必要ことかなと思っています。

Q.校外活動を進めていくなかで、何かテーマはありましたか?
私は自分に話が舞い込んできたものの中で、自分がときめきを感じたもの、ああ面白そうだなと思ったものを、片っ端からやっていった感じです。「自分でも参加できそう」「あ、面白そう」と思った時点で応募した感じでした。MCIに関しては、2019年度、高校1年生の時にデザイン思考の授業を学校の土曜プログラムでとっていて、その時に西山さん(株式会社CURIO SCHOOL社長)から話があって「デザイン思考を勉強しているし、せっかくだから、やってみようかなー」くらいで挑戦しました。その後は、後輩たち向けのデザイン思考プログラムに「高校生ファシリテーター」として教える側で参加したのですが「やっぱり、もう少し自分としてもデザイン思考を勉強しないといけない」と思って、翌年2020年度のMCIにも参加しました。

Q.受験を気にせずに、活発に校外活動ができたのはなぜですか?
私自身、あまり大学受験に集中するのは好きではなかったし、両親も「今しかできないことを、本気でやりなさい」という感じだったので。だから高2であってもあまり気にしなかったですね、本当に。とにかく、興味をもったことに、まず挑戦してみました。だから、その一つ一つがすごい楽しかったです。

MCI2019集合写真

(インタビュー・記事:大門・田中)

探究プログラムやインタビューの詳細は、弊社担当までお問い合わせください。
・プログラム:https://mono-coto-program.com/
・イベント:https://mono-coto-innovation.com/
・Facebook:https://www.facebook.com/curioschool
・担当: s-daimon@curioschool.com(大門)

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