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CURIO SCHOOL 学大教室 通塾生インタビュー #02 田島ちひろさん

CURIO SCHOOL 学大教室について

CURIO SCHOOL (キュリオスクール)学大教室では、小中学生対象に、様々なものづくり、ことづくりのプロジェクトを通じて、デザイン思考をベースとした創造的なマインドとスキルを育むプログラムを提供しています。

デザイン思考のサイクル

学大教室では、2〜3ヶ月ごとのプロジェクトベースで実施します。個人でテーマに対して課題を設定し、課題が解決できるアイデアを考えます。プロトタイプをつくり、アイデアの価値をためすというサイクルを繰り返していきます。フィールドワークやデザイナーからフィードバック、外部コンテストへの出展など社会と接続しながら学びを深めていきます。

今回は毎年実施しているボードゲームプロジェクトを紹介します。

ボードゲームプロジェクト

デザイン思考のプロセスをベースとしてオリジナルボードゲームをデザインします。ボードゲームで遊んだり、ボードゲームデザイナーさんからフィードバックをいただいたりして、試行錯誤を重ねていきます。ボードゲームのイベントに出展したり、コンテストに作品を提出することで、自分のアイデアを社会に発信していきます。

第1回授業では様々なボードゲームで遊びます。楽しかったこと、大変だったことを分析して、自分が作りたいものを考えます。

第2回〜4回授業は、ボードゲームのプロトタイプを作ります。色々な素材を使ってそれぞれが思い描くボードゲームを作成します。

第5回授業は中間発表を行い、プロのデザイナーさんからフィードバックをいただきます。

第6〜7回授業はいただいたフィードバックを受けてアイデアを改良します。何度も遊ぶことで、アイデアをより良いものにしていきます。

第8回授業は、教室でプロトタイプテスト大会を開催します。友達のプロトタイプで遊び、お互いにフィードバックをし合います。

第9〜11回授業では、さらにプロトタイプを改良します。Board Game Japanカップに提出するための準備もしていきます。

第12回授業では、最終発表会を行い、3か月の成果をデザイナーさんにプレゼンします。

通塾生へのインタビュー

今回は小学校4年生から4年間通塾してくれている田島ちひろさん(インタビュー当時は中学1年生)にインタビューしました。ちひろさんはスタートアップJr.アワード2022の小学生の部で文部科学大臣賞、Board Game Japan カップ2023 ジュニアクリエイター部門でグランプリを受賞しました。

インタビューに答えるちひろさん(インタビュー当時中1)

田中 ちひろちゃんは、いつからキュリオスクールに通ってるんだっけ?

ちひろ 小4の時に母にこんなとこあるよとキュリオを紹介されました。家やフリースクール以外で学べるようなところを探していたところです。サポートしてくれるファシリテーターもアットホームな感じで優しいし、年も近くて話をしやすくていい感じだなと思って、入会を決めました。元々作品を作るのは好きな方だったけど、キュリオに入る前まで本格的にやっていた訳ではなかったです。

田中 スタートアップJr.アワードに出たきっかけは?

ちひろ キュリオではプロジェクトの最後に専門家にプレゼンするじゃないですか。初めはちょっと緊張したり、嫌がったりしたけど、どんどん慣れてきました。もっと大きなところで、全然知らない人に対して、プレゼンしてみたいなと思っていたところ、母に勧められました。

田中 スタートアップJr.で発表したアイデアはどんなものだったの?

ちひろ キュリオで自分が見つけた課題に取り組むプロジェクトがあって、私は視力低下を防ぐことをテーマにしました。ちょうど視力検査があって眼鏡し始めた頃です。もっと私が気を付けて目が悪くないように取り組んでいれば、こういう風にならなかったのでは思うことがありました。妹も最近アニメばっかり見ていたこともあり、目が悪くなることを防ぐプロジェクトを始めました。

田中 スタートアップJr.アワードでは、見事文部科学大臣賞を受賞したけど、初めからプレゼンが得意な訳じゃなかったの?

ちひろ はじめは自分の作品を発表するのは恥ずかしかったです。…ただ次第に経験になるというか、フィードバックをもらえるのは大切なことだと気づきました。それからどういう風にすればもっと伝わりやすくなるのか、伝えられるのか、自分の中で考えてスキルを高めてきました。例えば、妹に出演をお願いしてCM風にしたり、スライドも文字やレイアウトを調整したりしました。聞いている方が楽しくなるように心がけました。

プレゼンテーションをする様子(小6)

田中 なるほど。じゃあプロジェクトの中で気づいたことや学んだことはある?

ちひろ どこまで自分らしくするか、特別なものにするか、プレゼンでどんなふうに発表するかなど考えました。フォルムのデザインを柔らかく、あったかくしてみたり、プレゼンも自分の情熱をどーんと入れました。賞をいただいたことで、モチベーションも上がりました。自分のやってきたことが誰かに評価されるのは、すごくいいな思いました。キュリオの人からもフィードバックはもらえるのですが、すこし近いので、遠い人から自分がどう見えるのかわかってよかったです。

田中 どんな情熱をプレゼンに盛り込んだの?

ちひろ どんどんやってみて、大きいことにつながればいいと思ってること。このアイデアはすごく小さな困り事を解決しています。私は小さなことでも続けていけば、その先広くて大きいことに繋がってくような気がしています。最近は身近な人の嫌い・苦手を少しでも好きにするプロジェクトをやっています。例えば妹と私が虫嫌いなので、虫を見つけた時にちょっと嬉しくなるように、穴を開けられるビンゴを考えました。母が休みの朝に起きるのがすごい苦手と聞いたので、もしかして母は起きているよりもすやすや寝てる方がずっと気持ちよくて楽しいことだと思っているのかもしれないと考えました。そこで土日の朝ちょっと早めに起きて、豊かで素敵な朝ごはんを作ろうとプロジェクトを始めました。料理を作ってみたり、花瓶に花を刺してみたり。本当に小さなことだけど、誰かがちょっとでも幸せになることをしています。 誰か幸せにすることは、自分の幸せにも繋がっていくんじゃないかなって思っているからです。

田中 すごく素敵な考え方だね。どうしてそう思うようになったの?

ちひろ 私は具体的な将来の夢がまだ決まってないので、聞かれると悩んじゃういます。お金持ちになりたいとか、楽して生きたいとか思うことあるんですけど、結局幸せになることが一番大事だなって。お金持ちになっても幸せじゃなかったら意味ない。今、私すごい幸せです。家族にと一緒で。ずっと続けばいいな、それより良くなっていけばいいなと思います。それに周りの人が幸せだったら、どんどん伝染していって、他の人も幸せになれると思います。 1番いいのは、1人1人が幸せで、1人1人が誰かの幸せを願えることかもしれません。

田中 こういった考え方の変化も含めて、成長したなと思うところはある?

ちひろ いっぱいあるんですけど、今回のスタートアップJr.アワードは頑張って準備しました。今まで、とりあえず作品だけ作って、発表して終わりって感じだったけど、終わったプロジェクトを自分でコツコツやっていきました。今思うと本当にあそこで終わらせてなくてよかった。自分が気に入ったこととか、やりたいことはずっと続けて、自分が満足するまでやってた方がいいなって思いました。

田中 たくさんのプロジェクトをやるのは難しいと思うんだけど、どうやって調整しているの?

ちひろ キュリオは自由に進められる分、スケジュール管理は難しいです。でもやっていく中で、ここまでにはアイデアを出さないと、プロトタイプはここまでに出さないと決めていきます。中途半端な形で終わるのは避けたかったので、他のプロジェクトは一旦お休みして、こっちを急ピッチで進めて…という感じで小6から優先順位をつけてやっています。

Hoiを紹介する様子(中1)

田中 じゃあ一番楽しかったプロジェクトは?

ちひろ ボードゲームプロジェクトです。私もボードゲームが好きだし1から作っていくのが面白かったです。入会から今まで4つぐらい作ってきて、小6でHoi(注:オリジナルボードゲーム)を作りました。Hoiは庭先で森の妖精ノームという小妖精が遊んでるイメージの2人用対戦ゲームです。全部羊毛フェルトで 1つ1つ手作りしました。

田中 Hoiはどんな経緯で生まれたの?

ちひろ ある映画でニューヨークに住んでる友達にノームの置物が映った写真を送っていたのがきっかけです。まるでノームが旅をしているみたいですごく可愛いかった記憶がありました。最初は紙で作ったのですが、しょぼくなってしまいました。プラスチックで作ると、固くて冷めている感じがするなと考えているところ、羊毛専門店に行ったことを思い出しました。羊毛はかわいいし、あったかいしいいんじゃないかと。この世にないボードゲーム作りたいなって思っていたところだったので、羊毛がとても良いように感じました。

田中 前に経験したことがアイデアの種になったんだね。

ちひろ そうですね。ストックってすごい大事だと思っています。いろんな素材を使ってものを作りたいので、これからはたくさんの素材に触れてみようかなとぼんやり思っています。最近は版画展に行きました。行った場所や経験をどんどん自分の中に溜めてって、引き出しを増やしていくって感じです。

田中 Hoiは実際にボードゲームマーケットで販売したよね。やってみてどうだった?

ちひろ きっかけはフリースクールの先生にHoiで、遊んでもらったことです。遊んだ後、これ絶対売れるよ、3万円でも売れるよと言われました。実際に作品を売ったことないのでやってみようとチャレンジしたら、全部買っていただいて…すごく嬉しかったです。

ちひろさんが作ったHoi

田中 売ることを通じて自分のアイデアを発信していくのはすごいよね。怖くなかったの?

ちひろ ネガティブなのはすごく損だなって思っています。 ポジティブっていれば、もっとガンガン進めるような気もするし、もっと幸せになる気がします。人に作品見せるとき、否定されたらどうしようとか、受け入れてもらえなかったらどうしようとか、結構考えてしまうんですけど、 世界にはいい人がいっぱいいます。ポジティブでガンガン行った方が、フィードバックをもらえて経験にもなります。ネガティブだと失敗した時のことばっかり考えてしまうけど、ポジティブだと成功した時のモチベーションも上がるし、やる気が出てきます。Hoiの販売時期にnote(https://note.com/chihiro925/)もはじめました。日記みたいに自分が何をしてきたのかを記録して忘れないためでもあるし、自分以外の人にもやってること見てもらえたら嬉しいなと思ったからです。自分のアイデアを発信することで、世界とつながることもできるし、表現する力も上がるし、大切なことなんだなと気づきました。

田中 ちひろちゃんはいつもポジティブにチャレンジしてるけど、疲れたな、やりたくないなって時はある?

ちひろ あります。プロトタイプを作ってる時に妹がアニメ見てると、どうしてもチラ見したいという誘惑に負けそうになります。でも今やっていることは、学生のうちしかできないとも思っています。少し前までフリースクールでゲームやアニメばっかり見ていた時期がありました。その間、両親には何にも口出ししないでねと言っていたのですが、そんな生活を1日中、何か月とやってたら、つまんないなというか、こんなことばっかしてていいのかと思うようになりました。両親は自由にやらせてくれたので、自分で選択すること、自分で道を選ぶことの大切さをすごく感じました。今でもたまに誘惑に負けちゃいますが、頑張ってます。

ボードゲームマーケットでフィードバックをいただく様子(中1)

田中 キュリオに入会してくれてから、変わったことや成長したことってある?

ちひろ プロトタイプを作ることの重要性を知ったことですかね。私は、アイデア作るのは好きな方なんですけどプロトタイプ作るをめんどくさがったり、嫌だなと思ったりすることがあります。プロトタイプにしていくうちにいろんな壁にぶち当たります。壁に当たるのは嫌ですが、アイデアだけでは気づけなかったことを気づかせてくれます。アイデアは空想・想像を考えてるだけじゃないですか。プロトタイプは形にすることで現実になるので、想像ではできないことや想像だからできることを気づかせてくれました。プロトタイプを作って、壁にぶち当たって解決したからこそ、いい作品が生まれると思っています。それこそデザイン思考を学ぶ意味はあると思います。デザイン思考を学び始めたから変わったなって感じる部分がありました。デザイン思考を学ぶ前の私だったら、課題を渡されても何から解決すればいいのか、どういう風にすればいいのかっていうのが、全然分かんなくて戸惑っちゃうと思います。デザイン思考は型があるのがやりやすい。学校でも未来の家具を考えようみたいな課題とか出された時に、なんか気づくとデザイン思考ステップを使ってアイデアを考えていました。

田中 ものづくりをする上で大切なことは?

ちひろ やっぱりやる気かな。例えばHoiは1個作るのに10時間ぐらいかかるんですよ。 やる気がないと、なんか途中でなんか作業とか雑になると思います。それに対する愛情とか情熱、要するにやる気があるから続けられるって思ってます。愛情とかがあったらやる気も湧くし、やる気があれば愛情とかが湧くみたいな感じ。

田中 なるほど。素敵な話をありがとう。では3〜4年生ぐらいのちひろちゃんに一言残すとしたらどんな言葉を残しますか?

ちひろ 自分が本当にやりたいことを見極めて、継続して、磨いていくことが大事だよって伝えたいな。いろんな視点から物事を考えてみたり、いろんな人に試してもらったり、作り続けたり…でもやる気がなくなったら、もうやめちゃっていいと思う。やめることもまた大事。とにかく若いうちはいろんなこと経験するといいのかななんて。 多分30歳ぐらいまでは青春続いてると思います。とにかく、 とにかく自分のやりたいことをやりまやりまくる。そうすれば、なんか進んでいくことが増えていくから。

保護者の方へのインタビュー

ちひろさんのお母様へインタビューを行いました。

Q.キュリオスクールへ通い始めたきっかけはなんですか。

はじめデザイン思考を取り入れたお教室といっても、いまいちイメージが沸きませんでした。娘に合った新しい学びの場を探していたこともあり、軽い気持ちで体験授業を受けてみました。体験授業は強固な橋をつくるにはどうしたらよいか、というような課題だったと思います。キュリオでは自分なりに考えてみる、自分のアイデアに基づいて実際に手を動かして形にしてみるということをしていました。子どもが考えたアイデアに対して、ファシリテーターの方がこんな風に考えたんだね、と発想やプロセスを肯定し、みんなでそれぞれの取り組みをシェアするといった授業だったのと記憶しています。体験後、娘にすぐにここに通いたいと言われ、今に至ります。
デザイン思考を学んでほしいとか、何か特別なスキルを身につけて欲しいということではなく、単純にここで面白いことができるかもしれないという期待の気持ちで入りました

プロトタイプを作成する様子(小4)

Q.受講して良かったことはありますか。

正解のない問いに対して、探究し発信していくということは、可能性が無限大ですし、とてもワクワクすることだと思います。キュリオでは、自分次第でどこまでも深掘りできますし、それをサポートしてくださる体制が常にあるので、安心して子どもがチャレンジできるんだと思います。子どもたちが自分のアイデアを良し悪し関係なくポンポン出せるのも、必ず受け止めてくださる土台があるからこそできることだと思います。クリエイティブなことが好きな子や将来起業家を目指している子、なにか面白いことがやりたい子、新しい学び場を必要としている子など、あらゆる子どもたちにとって、まさに今求められている教育的取り組みをしている場がキュリオではないかと思います。

Q.スタートアップJr.を紹介したきっかけがあれば教えてください。

きっかけは、中学生起業家で活躍中のレウォンさんのプレゼンをみたことです。素晴らしいプレゼンで心に響くものがあったので、人に伝えること、伝わるものにするために大切なことって何だろうと娘と改めて考えるきっかけになりました。娘はアイデアを出すことも、モノづくりも好きですが、人前に立つことが苦手でした。キュリオでプレゼンする時は、緊張のあまり自分の思うように話せないこともありましたが、経験を重ねていくうちに自分のスタイルをみつけ、力をつけていくようになりました。娘が何かチャレンジできる場はないかと考え、スタートアップJr.に応募しました。キュリオでの学びを生かして自己表現し、オリジナリティを発揮して本番に臨むことができたことは、娘にとってとても大きな経験になったと思います。

Q.入会後変化はありましたか。

継続的にキュリオの学びに触れることで、この世界にはどんな課題があって、これから何が必要とされていくのだろうか、ということを自然と考えるようになり、物事をよく観察するようになったと思います。アイデアを実際にカタチにする過程では、うまくいかないことも多々ありますが、諦めずに何度も繰り返したり、さっと諦めて新しいことに切り替えたりしている娘の姿を見ていて、いずれにしてもその過程の一つ一つが力になっていると感じています。同時に、クリエイティブなモノを創りたいという気持ちが高まったと感じています。キュリオでは、プロのデザイナーさんと触れ合える機会も多いので刺激を受けますし、自分がつくりだしたモノに対していままで以上に愛情を持つようになりました。さらに、自分が創り出したものを他者と共有したい、伝えたいと思うようになったことも嬉しい変化でした。言葉だけでは伝わりにくいと思ってからは、プレゼン用にスライドや動画を作成するようになり、今も試行錯誤しながらやっています。それもありスライド作成や動画編集のスキルも自然と身につきました。

ちひろさんのnote記事はこちら

https://note.com/chihiro925/

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・担当:j-tanaka@curioschool.com(田中)


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