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探究学習インタビュー#03 -株式会社東急モールズデベロップメント-


プロジェクトの概要

2022年度、田園調布学園中等部では、東急株式会社および二子玉川ライズ・ショッピングセンターにご協力いただき『二子玉川ライズの平日来館者数向上プロジェクト』に取り組みました。

▼プロジェクト詳細はこちらから
https://note.com/curio_/n/ncd52b3310296

今回、最終発表チームの中から「流行のスイーツが食べられる居酒屋」「お食事券プレゼントキャンペーン」という生徒のアイデアが採用され9月15日(金)〜10月31日(火)の期間限定で『田園調布学園×二子玉川S.C.コラボメニュー』として実現しました。

生徒のコメントが掲載されたパンフレット1
生徒のコメントが掲載されたパンフレット2

プロジェクトの流れ

⑴ 試食会までの流れ

田園調布学園中等部2・3年生の社会と接続された探究学習を実現するために、学校近隣の企業・団体等へ協力をお願いしていきました。その中で、以前学校の探究学習にご協力頂いた東急様つながりから、二子玉川ライズ・ショッピングセンター(以下、ライズさん)の皆様にご協力いただけることになりました。

探究学習終了後、最終発表会10チームの中から実地テストを行えるチーム選定をライズさんにいただきました。その中より「スイーツ×居酒屋」アイデアをプレゼンテーションしたチームがテスト候補となり、2023年秋の実地テストに向けて試食会やポスター撮影などが行われました。

⑵第1回 試食会

6月29日には、テナントさんから試食品をご提供いただき、試食会を実施しました。発案チームに加え有志の生徒複数名が参加し、担当者様と感想や改善点を話し合いました。「バニラアイスより抹茶アイスの方が合いそう」「レトロ感を出すならプリンはもっと硬めがいい」「インスタに載せるときはこんな感じで写真を撮ることが多いです」と中学生の視点から具体的な意見を出し合いました。

担当者様に試食した感想を話す様子

⑶第2回 試食会

8月21日の第2回試食会では、前回の生徒の意見を参考に作り替えた試食品に対し意見を交わしました。「抹茶アイスになったことで甘さ控えめになった」「子供から大人まで多くの人に食べてもらえそう」と生徒たちは前回との違いやどんな人に食べてもらえそうか、実現イメージを膨らませながら話をしていました。他にもパンフレット掲載用の写真撮影やおすすめポイントの紹介など、コラボメニュー実施に向けて準備をしました。

商品のおすすめポイントについて話す様子

インタビュー

プロジェクトに協力いただいた株式会社東急モールズデベロップメントの社員様に、インタビューをしました。

参加者
◎ 株式会社東急モールズデベロップメント
・二子玉川ライズグループ 営業部 販売促進担当 マネジャー 山中様
・二子玉川ライズグループ 営業部 販売促進担当 三木原様 
 以下、敬称は「さん」

◎ 株式会社CURIO SCHOOL 
・角田
・田中

角田 最初に、授業への協力を決めていただいた経緯を教えてください。

山中さん 地域貢献の意味合いでお話をいただいたかと思っていて、元々、何か協力できればというところがありました。具体的にお話を聞いたときに、より協力しようと思った理由としては、企業側が設定したテーマに対して、今までに無い解決策を生徒さんが考えてくれるという全体構造に魅力を感じたからです。また、生徒さんが実際にライズに足を運んで、お客様や周りの人の具体的な要望をしっかりと聞き取って、明確な背景をもって課題解決に取り組むという形が非常にいい取り組みだと思ったのも理由です。普段、私たちが運営の中でやっているような考え方と通じると思っていて。そういった課題解決に生徒さんが挑んでいくということに驚いたのと同時に、この話を聞いて、より学習へのサポートも本気で行わなければならないと思いました。

角田 中学生とコラボする機会というのは珍しいかと思うのですが、その辺りはいかがですか。

山中さん これまでこういったお話を受けたことはあまりありませんでしたし、特に学校の生徒さんとコラボするのは、おそらく初めての取り組みではないかと思います。当社としては、普段テナントさんを介して、お客様の要望を聞く機会が多いのですが、この取り組みを通じて、生徒さんの声もそうですし、生徒さんが聞いてくれたお客様や周りの人の声といった、より近い距離の話を聞けるといった点で非常にいい機会になったと思っています。

角田 良かったです。生徒発表のアイデアの中で、印象に残っているものはありますか。

山中さん そうですね、どのチームもすごく施設のことやライズのお客様、近隣のお客様のことを考えてくれて発表してくれたということを感じました。プレゼン内容や資料自体のクオリティという部分ももちろんそうですし、課題から単純に施策を検討するのではなく、「誰々さんに聞きました」というペルソナの設定や「今の流行りがこういうのだから」という時代のキャッチアップ、数値のデータ、メリット・デメリットといったところをしっかり比較していて、それぞれのチームがロジカルで分かりやすいことを言ってくれたというのが、全体として良かった点だと思います。

角田 密にご協力いただいてたと思うのですが、協力することが決まった段階や協力してる途中の社内の反応は、どういった感じだったのでしょう。

山中さん 社内ではすごくいい反応がありました。地域の方の声を聞くことに当社として協力するというのは、当社の存在をより知ってもらうことにも繋がります。また、地域の課題解決にもなるというところに対しては、「ショッピングセンターが地域に愛される存在であり続けるためにも、重要な取り組みではないか」という声もありました。最終プレゼンには、当社代表の佐々木や人事担当なども参加したのですが、施設単体から始まった取り組みが、社内の人間に興味と意義を感じてもらう機会となっていき、最終プレゼンにも参加することになったのは良かったと思っています。

角田 ありがとうございます。錚々たる方々に生徒のプレゼンを聞いていただけて良かったです。この二子玉川エリアの開発自体が、地域と密に行ってこられた印象があるのですが、それを今も引き継いでずっとやっているのでしょうか。

山中さん そうですね、ショッピングセンターも、地域に根差した、愛される場所を作っていくということが、当社にとって非常に重要で、大切なところだと思っています。それは、これまでもそうですし、これから先も変わらずに大切にしていくべきことだと思っています。

インタビューにお答えいただいた山中さん

角田 続いて、この夏に行われた実地テストの話に移りたいと思います。試食会が決まるまで経緯を、改めて教えてください。

山中さん まず、プレゼンの内容をベースとして、 生徒さんからいただいた意見から「よりショッピングセンターらしい、もっとたくさんのお客様に喜んでもらえる施策にするにはどうしたらいいか」という目線で、考えていきました。その後、生徒さんと打ち合わせを行い、話し合いながら一緒に企画の枠組みを決定するという形を取りました。そして、今回の取り組みの背景をしっかり伝えた上でテナントさんへのヒアリングを実施し、3店舗の協力が決定しました。その後、最初にテナントさんからメニューの提案をしてもらい、またそれを生徒さんと相談しながら決めていったというのが、全体の流れです。

角田 今回の実地テストを、実施していただけた理由を教えてください。

山中さん 実施した理由としては、まずは地域貢献があります。ショッピングセンターは、地域のお客様に支えていただかなければ成り立たない施設だと思っています。イベントなどで遠くから人を呼ぶこともできますが、ショッピングセンターにとって最も重要なことは、地域のお客様の暮らしを豊かにして、地域と一緒にその街の未来をつくっていくということです。それは、当社として掲げているビジョンでもあります。そのために、地域の方々の声をしっかりと聞いて、 要望に耳を傾け、寄り添いながら一緒に何ができるかを考えて成し遂げていくということが、これからのショッピングセンターに求められていると思っています。そして、それができるということは、街の皆様に提供できる価値の1つだと思っています。こういった取り組みを行っていくことで、中学生の皆さんを通じて新しいお客様にライズを知っていただける機会を作ることができ、それによって、ショッピングセンターと地域の持続的な発展にも繋がると思いました。こういった施策をきっかけに、ライズに興味を持っていただいて、実際に足を運んで「ライズってこんなことしてるんだ」と思っていただき、お客様に対して、日々を豊かにするきっかけをつくっていけたら嬉しいです。

角田 生徒たちもプロジェクトを通じて、よりライズに興味をもったように感じています。実地テストを行って、得られた成果があれば教えてください。

山中さん 参加してくれたテナントさんが本当に喜んでくれていたことが、個人的にはすごく嬉しかったです。こういった取り組み自体は、今まで経験もないですし「生徒さんからアイデアをもらってすごく嬉しい」という声が本当に多かったので。通常のイベントは、ショッピングセンターがテナントさんに協力してもらう形で、こちらが引っ張っていくことが多いのですが、今回は逆に、テナントさんの方が「生徒からの意見を踏まえて、これはどうですか」といった感じで意見を言ってくれました。いつも以上に前向きに取り組んでくれたことがやって良かったと感じた部分です。

角田 テナントの方に喜んでいただけたのは、どうしてでしょうか。

山中さん 中学生に関わらずですが、お客様からご提案をいただいて、「じゃあ、お店の商品どうしようか」と考える機会というのが、普段あまりないことだからだと思います。生徒さんと接していくうちに、生徒さんの喜んでいる顔や、意見を出してくれる姿を見ながら「これだけ真剣に考えてもらえると嬉しいよね」となっていったので、生徒さんの本気度が伝わったことが、前向きな取り組みに繋がったのではないかと思っています。

角田 企業として学校の授業に協力していくことの意味や価値があればお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。

山中さん やはり、より地域に寄り添ったショッピングセンターになるためにも、皆さんの声をしっかり聞くという部分と、それによって、当社のことを知っていただいて、実際に足を運んでくれる人たちに、施設として豊かさを提供するという部分、その2つが学校の授業に協力する意味でもありますし、地域の方と一緒に物事に取り組んでいくことの意味だと思っています。
学校はもちろん勉強する場であって、友達や先生との関わりを通じて 人間としてもいろんなことを学べる場所だと思っています。ただ、今思うと、もっと広く世の中のことを知る機会があれば良かったと感じることもあって。そういった部分においては、普段、学校に通うだけでは関わることのできない人や、今回のプロジェクトのように企業と触れ合える機会があれば、生徒の中で普段考えていなかったことを考えるきっかけになって、普通の勉強や友達付き合い以外の部分の、プラスアルファの学びのきっかけをつくることができると思います。そうすることで、社会に出たときに役立ったり、早い段階で社会に出るにあたっていい経験を積んだりすることができると感じています。

田中 生徒が 出したプレゼンがいくつかあったと思うのですが、なぜこのアイデアを選んだのかを教えてください。

山中さん 今回「平日の入館者数を増やす」というところがテーマとなっている中で、 決め手は3つありました。1つが、スイーツを軸にすることで幅広い層のお客様が気軽に楽しむことができることです。ご飯って1日3回食べるじゃないですか。接点が多いので、スイーツをテーマにして初来店につなげるきっかけを作れると思いました。また、気軽に楽しめるスイーツとレトロというトレンドを掛け合わせてオリジナルメニューを作ることで、施設にわざわざ足を運ぶきっかけや「ここだけの体験価値」をつくることができる施策だと思ったのがもう1つです。あとは、今回お食事券のプレゼントキャンペーンをコラボスイーツと合わせて実施するのですが、そういった施策を入れ込むことで、再来店のきっかけを提供できることです。
他のアイデアで、例えばペットカーの導入という案もあったのですが、これもいい提案だと思っていました。ただ、これは実際の運用を考えたときに、負担する清掃コストや考えうるトラブル対応など、いくつかクリアしづらい課題もあって。このように、我々もかなりリアルにビジネス目線でいろいろと考えた結果、外してしまった提案もあったのですが、このように、実際に足を運んでくれて、すごくいい意見を出してもらえたことは非常にありがたかったですし、我々もそういうところを見習いたいとも思いました。どうしても、日々施設のことを中心に物事を考えているので、考え方が狭くなると思っています。 それをどう広く持っていくかというところは、今回の生徒さんの実際の動きを見習わなくてはと、改めて感じました。

角田 今後またコラボレーションの機会をつくっていけたら思うのですが、何かアイデアはありますか。

三木原さん 今回は、準備までの段階で色々関わっていただいたと思うのですが、開始した後も関わってもらえると良いと思っています。例えば、現地で行うイベントに参加してもらうとか。そういう機会を、こちらから提供できるか断言はできないのですが、もし参加いただければ、中学生の皆さんの「参加してる」という感覚もより大きくなると思いますし、お客様からしても中学生と一緒に取り組んでいる様子がもっと伝わると思うので、将来的に考えていけるといいと思いました。

山中さん ショッピングセンター で我々が仕事をしている以上、どうしたらもっと地域の人に足を運んでもらえるのか、ということを軸にして物事を考えるのですが、逆転の発想で、例えば学園祭など、生徒さんが主体となっているところに、我々が出向いていくのも面白いと思います。「どうやったらもっとこの学園祭が盛り上がるか」というのを、ショッピングセンターのパワーを使って一緒に考えていくような、立体的な取り組みを生徒さんのフィールドでやってみることは、ビジネスとの結びつきも含めて、学びになると思います。学校としてももちろん意味があると思いますし、学校も地域の明確な一部だと思うので、みんな一緒になにかをつくり上げるというのがうまくできると、全ての人にとってもっと良い取り組みになるのかな、と感じています。

                  (インタビュー・文章 角田・田中)

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