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自転車観光「しまなみモデル」を真似したい

自転車観光の成功例として愛媛県、松山市は必ず取り上げられます。
しまなみ海道は約10年前から自転車観光を牽引するモデルとして
多くの観光客が国内外から訪れその後の自転車活用推進法での
全国での「自転車観光」の成功モデルとしても有名です。


成功例のもつヒント

全国多くの自治体の担当者、関係者が訪れて自転車観光
ビジネスとしての成功例を目の当たりにしながら
それをなんとか我が地域にも取り入れられないかと
持ち帰ってトライされたかと。
でも、恐らく多くは失敗に終わっていることと思います。
自転車観光限らず、成功例を単に真似ることで成功があれば
凄いのですが。
多くの場合うまくいきません。

成功するきっかけと時代

なぜならば多くのご担当者はきっと成功した部分しか
見ないから。
たまたまうまくいった事例なんて少ないはずなのに。
自転車観光はこれまでも沢山述べてきましたが
自転車愛好者寄りの施策をショーケースに並べても
うまくいきません。

確かに「しまなみモデル」はうまくいった。
そう見えているなら長らく自転車業に携わる人間として
簡単に説明します。
まずはスポーツ自転車のブームから。
1960年代から日本国内でも小さな波はありました。
でも、はっきりとブームと呼べるものは残念ながら
2010年前後までありませんでした。
それまではいわゆる自転車マニアの世界。
それが大きく変わり始めたのが2010年頃でした。

自転車における環境という追い風

ちょうどクルマの「路駐規制」等の追い風と
環境キーワードなのなかで自転車がテレビの中で
その存在を大きくし始めた頃が重なりました。
もちろんそれまでもスポーツ自転車の
売上(正確には出荷台数)が伸び始めていた頃。
更には自転車が好きな方はおなじみの
自転車マンガブーム到来。
弱虫ペダルはマニア以外にも大きなムーブを
興しました。
実は1970年代のブームも自転車漫画が牽引しました。

オマージュと模倣

そういうタイミングで「しまなみモデル」は時代を
捉えた。それ以外にも地元理解などが大きい。
そしてそこには確かな観光業としての仕掛けがたくさん。

当時のご担当者は少なからず苦労されているのを
知っている身としては真似ることの無意味さを
知って欲しい。
もちろん、参考になる部分はありますがモデル
ケースとして別の手法を使う方がより地域の
特徴を活かせると思います。

絵画作品などでよく語られることがあります。
オマージュ」
尊敬する作家の手法や作品を取り入れて
似たような作品を作ることです。
一方、模倣(いわゆるパクリでしょうか)という言葉も
日本語には存在します。
どう違う。
明確な境界線はないようですが
模倣は真似ていてもそれが認められない。
今回の自転車観光事例とはずれるかもしれませんが
結局は真似てもそれが自転車観光として
ビジネスモデルにはなりえないだけです。

あの頃のビジネスモデルとは

時代が追い風だったとの論調がたまにありますが
それでも現地の施策がその時に合っていた部分は
自治体担当者と地元理解がなくては成立しません。
当時はまだスマフォ全盛でもないし今とは違う
アプローチで多くの自転車観光客が訪れているはず
なのに成功例だけ見て真似ことでは成功するはずがない。
今なら違うアプローチがあるし仕掛けを作るにしても
当時からやられているしまなみモデルを参考にするなら
しまなみモデル以上には成りえないです。

デジタルとアナログの間にあるもの

スマフォ普及だけではなくウエブサイトの仕組みや
重要性も大きく変わりました。
未だに「グローバルメニュー」というデザインを
柔軟に変更できる仕組みはあるけど肝心の
スマフォで見てワクワクするサイトがほとんどない。
ご担当者もスマフォ完結で情報を調べて買い物を
しているはずなのに。
もちろん、自転車で走ることはバーチャルではありません。
それでも入口、いわゆるその街の自転車観光を知ってもらう
きっかけは街の観光案内所のパンフレットではないはず。
それなのに。

終わりに

しまなみモデルは今も進化し続けています。
それは成功体験ではなく新しい試みを取り入れる
チャレンジです。
真似たいと言われても施策のチャレンジまで真似るなら
それはオマージュなのかも。
でも、もっとシンプルに自転車観光を成功させるなら
オリジナルモデルを創らないと成功のヒントすら
見つからないと思います。
今ならデジタルの試みがまだしまなみモデルでも
発展途上。
自転車観光のチャンスはまだ公平にあります

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