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料理が億劫になったとき
私は頭の中がほぼ食べものという変わり者のため、作るときにはほぼしんどさや億劫が顔を出すことはありませんが、片付けも料理のうち。
ああ、あの時はしんどかったなあ、なんていう思い出は、やはり沢山、心の奥にあります。
使った道具や鍋、器を洗って拭い、元にあった場所に戻すだけでずっとすっきり片付いていることがわかっているのに、朝も晩もいつもぎりぎり。
頑張っているはずなのにうまく行かず、家事が終わり切らずに深夜になるたび、そんな自分をやたらと情けなく感じていました。
息子が反抗期の頃、家族に寂しい思いをさせてまで何のために働いてきつい毎日を選んでいるのかわからなくなり、台所の床にしゃがみ込んで動けなくなったことも。時折思い出します。
なぜ当時うまく行かなかったのか、歳をとった今になってみて、はっきりとわかるようになりました。
実に簡単なことで、
一人でできることには限りがあるのに、全部自分で抱え込んで、独りでやろうとしていたから。
やれないと認めたくなかったから、だと思います。
そんな甘え下手な私も、なんとかかんとか少しずつでも自分を楽にする手立てを、苦し紛れに見つけ始めるようになり、それに伴って、徐々に楽になって行きました。
以下、仕事での料理とうちでの料理に分けて、そんな手立てや準備について話してみようと思います。
仕事の料理の準備で、これは家庭にも大切だなあ、と思ったことがあります。
料理の仕事では洋服やインテリアとは異なり、前もって数日前に準備を終えておく、ということは鮮度保持などの上でなかなか難しいものがあります。
それゆえ、全部作っていくものと、途中まで仕込んで現場で仕上げるものに分けたり、ハーブや妻物など、当日あしらうものたちの鮮度を保つ工夫を、前日の夜や当日の朝早くにしてから出かけるようにしています。
いわば、プラモデルのパーツ作りのようなもの。
あるフランス料理のシェフに日頃の準備について伺ったところ、
秒単位で、かつ最短の手間で皿を組み上げられるよう、手の届くすぐ近くにあらゆるパーツを保存しておき、できるだけしゃがんだり歩いたりしないですむように、ものによっては小引き出しに入れるなどしてこまめに配置を考えていると言われておいででした。
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道具や食材の使う頻度を細かく把握して、置き場所や動線を変えるこの考えは、家庭でもかなり役に立ちました。
皆さんはもうすでに自然にされているかもしれませんが、その頃の私には、目からボロボロっと鱗の落ちる提案だったのを良く覚えています。
いっぽう、家での工夫について。
出来るだけスムーズに、短時間で予定通りの仕上げをするための構築のような意味合いを持つ、そんな仕事の仕込みと、家庭料理の仕込み。
当たり前ですが異なる部分が多くあります。
家族の在宅状況や、残り物、その日が記念日か普通の日か、などによって臨機応変でよいとはいうものの、主菜、その日の中心となるメニューに関しては、昆布やじゃこを水につけておく、肉や魚に下味をしておく、炒めるだけで美味しくなる合わせ調味料を仕込んでおく、乾物を戻すなど、何かひとつふたつの工程についての準備を仕掛けてから出かけたり、床に就くことにしています。
その程度の小さな準備があるだけで、起床後や帰宅後すぐに取り掛かる気を促すきっかけにもなり、それをもとに副菜を考えやすくなったりもしました。
普段は、仕事での仕上げくらいの分量の軽い準備を、うちでは朝の出がけや、夜寝る前にする、といったところでしょうか。
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これは電気のスロークッカー。仕掛けて出かけることができるので大変重宝し、使い倒して2代目(愛おしくてつい擬人化。2台目ですね)を迎えました。
週末にまとめて作り置きをされる方も多いですね。
何かの食材が大量に手に入ったり、旬をとらえておきたいものがあったりするときにあれこれと保存のために作ることはありますが、毎週とか、定期的に作ることは、今の私はしていません。
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それはいまの自分の料理にとって、何が一番大切なのか、によると思います。
毎日お弁当が必要な時期だったり、一品つくる時間も惜しいころは、冷蔵庫に出来上がったお惣菜が並んでいると安心できましたが、長い目で見ると、作るを楽しむこともとても大切。
一週間の同じ作り置きを食べ続けるより、切り分けた素材の冷凍と、日々さっと調理するだけで味が深まる調味料や料理の素にしておくほうに重きを置いて、さまざまな料理を愉しむ振り幅を広げていく楽しさを、私はお勧めしています。
料理の素については、こちらでも紹介していますのでよかったらご覧ください。
普段の朝、昼、晩のご飯に分けて、仕込むと楽になる一例の提案をしてみます。
*朝ごはん→できるだけ時間をかけないための就寝前仕込み
だしを取る(昆布、いりこ、干し椎茸、大豆、ささみ、ひき肉など)
簡単漬け物(酢漬けまたはピクルス、塩昆布漬け、ぬか漬け、白だし漬け)
主食の準備(米を研ぐ、ごはんやパンのお供の準備など)
これさえできていれば、あとは起きてから洗い米を炊いたり、卵料理もしくは干物、ベーコンやソーセージの準備をするくらいで十分です。
*昼ごはん→残り物や常備しているもので気楽に
漬物とだしをベースに麺やスープへ
残った干物、ベーコンなどをベースに炒めご飯へ
残り物とピクルスでオープンサンド
「一から作らない!」と宣言するくらいの気軽な感じにするために、昼が在宅とわかっているときは朝を少し多めに作ると心細くないランチになります。
*晩ごはん、おつまみ→自分や家族の好物、旬を楽しめ栄養豊富なものを、帰宅後手早く仕込み
主菜の仕上げ(香味オイルや調味料につけておいたもの)
帰宅時間によりますので、時間のある時にできる塩豚や刺身の昆布〆、餃子やつくね、ハンバーグなどに使えるひき肉の塩もみなど、買ってきたときに明日の分の途中まで仕込むととっても楽になります。
副菜、つまみの仕込み(切り分けたり、冷凍してあるものを揚げるだけ、茹でるだけ、炒める、あえるだけに)→調味料や料理の素が活躍
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主食の準備(米を研ぎ炊く、パンや麺の準備)
ここ2年ほどのうちにいきなり、リモートワークやらステイホームやら、家に籠る暮らしが世界中でスタンダードになって、
家族のために毎日三食ごはんを作らなければならず、ずっと台所にいるようでしんどい、という声も多く耳にするようになりました。
特に、もともとそれほど好きでなかった方は、どれほど大変なことでしょう。
ひとりで抱えて奮闘するにも、限りがあります。
手伝って、助けて、と言葉にするのが一番ですが、
それでも周りに頼れない、私のように甘えるのがうまくない人は、やるべきことの優先順位をつけて、6割7割できた自分を褒めてほしいなと思うのです。
洗濯や掃除について語る立場ではないので、言えることは料理にとどまりますが、
レバーペーストや保存食、酒の肴の写真を載せたけれど、大変なら買えばいいですし、
魚などもさばくのがしんどかったらお店で頼んで、ついでに美味しい食べ方を教えて貰えば次につながります。
頑張りすぎて料理が嫌いになるより、できる範囲で一品でもいいから楽しんで作れますように。
SNSで見かける料理上手な方達とご自分を、どうか比べたりしないでください。
一汁一菜、上等です。
家族や自分の健康を守るのに、たくさんの品数は必要ないのだから。
#note #料理 #家事 #億劫な時 #一汁一菜
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