新蓮根よもやまばなし
蓮根の旬は秋から冬にかけてですが、
今出回っている新蓮根は、初夏から今頃が旬。
ちょっと小振りで柔らかく、あっさりとした味わいが美味しいのです。
輪切りの形を活かした酢の物やきんぴら、煮物も捨てがたいけれど、
時折すって食べたくなります。
すった蓮根の3割くらいの白玉粉を混ぜて丸めた連餅は大好物。
お雑煮にも、バターで焼いてステーキ風にも。
もっちり感が好きです。
刻んだベーコンを混ぜて大根餅のように蒸し焼きするのもおいしいです。
そして、なかでもすり蓮根の食感を存分に楽しめるのが、すり流し鍋。
朝晩過ごしやすくなって、近づく秋の気配を感じながら、こんな鍋はいかがでしょう。
昆布とじゃこで丁寧にとっただしを
薄口しょうゆと酒、塩で調味し、
すった蓮根を静かに混ぜて
煮立たせないようにあたためます。
ここに、切らずに入れた豆腐を沈め、
豆腐のほかに、たらの切り身や水菜で鍋に仕立てました。
この日は、日本酒に溶いた片栗粉に、
皮を除いた明太子をといたものをまぜて、明太蓮根鍋に。
あっという間に、身体の内からぽかぽかと温まります。
実は、ステイホームで仕事が激減した頃、
家族の健康を守りたく、縋るように薬膳を学び始めました。
今も実にノロノロとした歩みながら、勉強を続けているところです。
薬膳と言っても珍しい食材を使うのではなくて
ごく普通に手に入るもので
食べてこころが元気になれたり、作ることが少しでも楽しくなるようなものを日々あれこれ考えて作ってみたい、と
学ぶうちに、いつしかそんな思いを抱くようになりました。
以前、中医学の先生と何度か一緒にお仕事をさせて頂き、
薬膳や漢方の考えを生かしたメニューを作っていたときのこと。
即効性はないけれど
疲れたり、イライラしたときに
蓮根やゆりねは、じんわりと心が安定していくと教えて頂きました。
また、ビタミンCもポリフェノールも、ムチンも豊富。
心強い野菜です。
新蓮根の薄切りを、頂いた黒糖で甘味に仕上げたおやつを作りました。
もちろん冬なら、ゆり根でもできます。
*蓮根の黒糖コンポート 生姜風味 レシピ
1、水1カップに黒糖大さじ2、砂糖大さじ2を入れて煮とかし、レモン汁1/4個分、生姜1片の細切りを加える。
2、蓮根は皮をむいて薄切りにし、1、に入れてあくを取りながら中弱火で煮る。
5分ほど煮て蓮根に黒糖の色が染みたら火からおろし、好みでクコの実を加え、粗熱を取ったら冷蔵庫で冷やす。
黒糖の色で染まっていますが、生姜の効果であたたまり、
しゃくしゃくした歯ざわりが心地よい野菜のデザートです。
クコの実も精神の萎えに良く効くほか、美肌にも効果◎。
八角などの香りを添えればさらにおいしいです。
漢方も、薬草も、ハーブも同じ。
今のように情報過多で
あれもダメ、これもダメ、と
食べてはいけないものばかりが耳に入るしんどい時こそ、
身の周りにある食べ物の持つ効き目を知って
あまりつきつめずに
なにごともラク〜に楽しむつもりで向き合っています。
打ち消しても忘れようとしても、
不安は次々現れるけれど、
そのためにいっぱいになって、沈んでしまわずにいられたらと思うのです。
まだまだ勉強不足のわたし。
できることは例えようもなく小さな小さなことだけれど
食べたり飲んだり作ったりしながら幸せな心持ちでいること、
自分やまわりのみんながずっと元気に過ごせること、
やんわり目指しながら、老いた脳に鞭打って💦ぼちぼち頑張ることにします。
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