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HSPより前に知ったこと、「普通がいいという病」

内向型、HSPの子供時代

私は自他ともに認める内向型である。本当に小さいころはもう少し元気だった気がするが、だんだんと大人しくなった。あまり自分の感情を口にしないし、積極的に人と仲良くなれるタイプではない。

親しい友人ができなかったり、自己開示ができない性格はどうしたものかとずっと悩んでいた。それに人の言動がすごく気になるし、空気を読みすぎる位読んでしまい疲れていた。

学校生活

通信簿には、協調性はあるが積極性が足りない、と書かれるような子供だった。学校で評価されるものは大体問題なかったが、クラス替えや新しい環境が苦手で友達ができにくい。体育の「はい、二人組作ってください~」や昼休みなんかが恐怖であった。孤独に強いタイプだったら良かったけどそうではない。

友人関係にはずっと悩んでいた。それに考えすぎる性格も、自己開示できないのも。保育園時代から将来の心配をしていた位、色々な不安もあってずっと悩んでいた。ちょっとしたことでも不安に思ってしまうが、周りの人は気にもかけてなさそうだった。

HSPについて知ったときのこと

HSPが流行する何年か前の、大学生も終わりになりかけたころ、この性格はなんなんだろう?と調べていた。そのときにインターネットでHSPという言葉に出会った。

深い処理や共感性、感受性が強い等自分に当てはまった。アメリカではこんな風に研究されているのだなと思った。

ギャラップ社のストレングスファインダーでは、慎重、共感性、内省がトップ3だった。HSPぽいなと思った。

ネットでHSPを知ったときには、特に大きな衝撃はなかった。「ああ、自分はこれなんだなー」という感想だけだった。

なぜならHSPを知る前に、泉谷閑示著の「普通がいいという病」を読み、自分がマイノリティだと気づいていたからだ。この本は、常識や大多数(マジョリティ)とは生まれつき異なる人や、途中で知らないうちに世間一般の道から外れてしまった人が手に取ると多くの気づきがある。

自分がなぜそうなったのか、本当におかしいのは自分なのか社会なのか。世間というのは何なのか。著者である精神科医の豊富なカウンセリングの経験から、独自の視点で人間について教えてくれる。

今まで読んだどの本よりも、強く心に響いた。

小径(こみち)を歩くこと

特に、「第9講 小径を​行く~マイノリティを生きる~」を強く勧めたい。自分は人と違って劣っているんだ、おかしいんだと考えて悩んできた人には、必ず力になってくれると思う。普通じゃなくて良いんだと。

普通という道(大通り)を歩く人は、「皆も歩いているからこれで良いに違いない」と特に考えていない。もしくは苦痛だけど道を外れると恐ろしいので、嫌々歩いている。(もちろん、自分で考えたことが結果として大多数と同じだったら、これには当てはまらない)

一方、大通りから外れて小径を行く人(少数派・マイノリティ)は、自分で考えた唯一の道を行くしかない。小径で重要な点は、比較ができないこと。小径とは、人が一人しか通れない小さな道のことである。ゆえに、他人とと比べて自分の生き方がどうか判断できない。一人で歩くしかない。

これが小径を歩く怖さだ。他人と比較できないし、自分と同じ人は存在しないし、前例がない。皆も歩いているから、これでいいんだと確認できない。

自分自身で、この道はこっちで良いのか、いやこっちの道だと決めねばならない。これが小径を歩く面倒くささと恐怖だ。

大通りを行く人は徒党を組んで、小径を歩く人の噂話をしたりバカにしたりする。心の内に不自然さを抱えているので、それを見ないことにするために、他人を貶める。ワイドショーやSNSはそれが良く見られる。「あの人はおかしい、私達はおかしくないよね」といって留飲を下げようとする。

芸能人の不倫やら知りたくもないテレビのニュースや記事が沢山あるのは、それを求める人がいるから。

大通りが苦痛でなく、不自然だとも感じなければそれで良いと思う。そういう人には、この本は全く意味がない。手に取りもしないし、興味はないだろう。

こんな人におすすめ

もし、

・自分がおかしいのではないか

・他人と比べて劣っているのではないか

・家族にも友人にも言えないけど、周りと違っていてそれが恐ろしい

・日本の同調圧力に疑問がある

・周りが気にしないことでも気になる

・感受性が強いように感じる

・精神的な不安や恐怖で心身に異常をきたしている

こういう人には、この本を一読する価値があると思う。

私は、HSPより前に知ったこの本にとても救われたし、今でも時々読み返している。

HSPは、周囲の人より不安になりやすかったり、変だなと感じていた人を分類してくれる分かりやすい言葉だ。人口の20%で少数派といっても、同じ性格や趣味を持っているわけではない。幅広い概念だと思う。

HSPについて調べ尽くし、物足りなくなった人には、この本を読み自分にしか行けない道を歩いてほしい。


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