外国人労働者が直面する問題と対策を解説!
外国人労働者の数は年々増加しており、経済活動において欠かせない存在となっています。しかし、外国人労働者・企業が抱える問題点もあり、定着してもらうには課題を解決していかなければなりません。当記事では、外国人労働者が抱える問題点とその対策を解説します。
1:低賃金
日本人給与所得者との比較
外国人労働者のなかでも、特定技能と技能実習の在留資格を持っている人の平均賃金は、それぞれ約174万円、約161万円となっています。
日本人の25〜29歳の給与所得者の平均年収約369万円と比較しても、半分以下となり給与水準が低いことは明らかでしょう。
問題の背景
外国人労働者を受け入れた企業が、残業代を出さないことや過大控除をしているため、最低賃金以下の給与で働かされていることが問題視されています。問題を抑止するために法改正も繰り返されていますが、似た事例は後を絶ちません。
2017年11月より技能実習生の保護に関する法律が施行され「外国人技能実習機構」が設けられ、保護規定を改訂しました。しかし、技能実習生が失踪する事例が多く、国会審議でも取り上げられ、注目を集めたことを記憶している方も多いでしょう。
低賃金から失踪する技能実習生
運用の改善を図るため、技能実習制度の運用に関するプロジェクトチームが調査を行いました。調査結果によると、技能実習生失踪の原因は、最低賃金違反、契約賃金違反、賃金からの過大控除、割増賃金不払いが失踪原因の半数近くを占めています。
(失踪したのべ人数937人、失踪原因の合計数414人)
技能実習生が失踪する背景には、一度契約した企業で働く場合のみ日本での滞在が認められているため、原則転職できないことが一番の原因と推定されます。
技能実習生は、外国人技能実習機構に認可を受けた技能実習計画通りの実習実施者(企業)以外で実習を受けられません。つまり、転職が認められておらず、原則3年〜5年は同じ企業で働く必要があります。
コロナウィルスの影響で2020年4月から条件付きで転職できるようになりましたが、一部の技能実習生に限られていますし、在留資格は1年となっており、翌年の在留資格が保証されていないことが課題といえるでしょう。
対策:雇用契約の締結と遵守
労働者を雇用する際、雇用契約の締結は欠かせません。それは外国人労働者だった場合も同様です。企業は労働基準法の規定に基づいた雇用契約を作成し、労働者に配布する義務があります。
また、雇用契約書に記載した項目は遵守しなければなりません。明記した金額より低い給与を支払ったり、異なる業務に従事させたりすると、労働基準法違反となります。
ほかにも、外国人労働者を雇用している場合、在留資格等不正取得罪などの入国管理法にかかわる罪にも問われるおそれがあります。
企業・外国人労働者の双方を守るためにも、雇用契約を締結し記載項目を遵守しましょう。
2:過酷な労働環境
慢性的な人材不足
技能実習生が働く業種は、人材不足が大きな課題となっている場合が非常に多くあります。人手不足となっている職場で共通するのは、長時間拘束・重労働・低賃金などが挙げられるでしょう。
労働負荷が高く、時間的な拘束が長い、その割に給与が高くない仕事は、日本人を募集しても人材が集まりにくい傾向にあります。また、離職率も高い業種に技能実習生が働いています。
技能実習生の労災事故が増加傾向に
技能実習生の労災事故が増えています。製造業や建設業は日本人でも労災に遭うリスクが高い職種です。事故が発生すれば重篤な障害が残るケースや、最悪死亡事故に発展することもあり得ます。
上記の
表では、日本人労働者、外国人労働者、技能実習生の人数と労災発生件数と発生割合を示しています。
事実、技能実習生は日本人労働者の2倍以上の割合で労災に遭っており、作業指示が十分に伝わっていないことや、過酷な労働環境で業務に従事していると推測できるでしょう。
対策:柔軟な対応で安全な職場づくり
労働災害は「物的要因」と「人的要因」が接触した現象とされています。不安全な状態・行動の要因をなくせば、発生頻度を大きく減少させられるといえるでしょう。
そのためには、職場の環境整備や十分な安全衛生教育を実施していかなければなりません。外国人労働者に対しては、教育や作業手順を身振り手振りを交えたり、母国語で説明したりと理解してもらいやすいように配慮しましょう。
また、外国人労働者は慣れない環境で生活をしていることを忘れてはいけません。仕事だけでなく日常生活でもストレスを抱えながら暮らしていると、集中力や注意力が低下してしまうことにつながります。体調はもちろんですが、メンタル面をサポートできるように積極的なコミュニケーションを心掛けましょう。
外国人労働者が働きやすい環境を整えよう
外国人労働者が働きやすい環境には、業務上のコミュニケーションをスムーズに取れる体制作りが欠かせません。職場の体制が整備されると仕事の効率も高まりますし、定着率の向上も期待できます。
技能実習生を受け入れる場合は、ビジネスマナーよりも日本語の基礎力を底上げするように教育に取り組むとよいでしょう。しかし、職場のリソースだけでは対応しきれない場合も考えられます。
サポートサービスの利用
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記事監修:合同会社KAKERU 寒川
問い合わせ先:info@kakeru-world.co.jp
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