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1人で、より深く。大学生の日常

外の気温は長袖を着ないと肌寒いほどになってきた。金木犀の香りが鼻をかすめる。この香りを嗅ぐと、この季節が今年もやってきてくれたんだな、と思う。イレギュラーなことが多い2020年だが、ちゃんと季節は巡っている。

大学生になり6ヶ月ほど経過した。大学の授業は高校と違い、好きな授業を取ることができる。しかも毎日5時間や6時間あるわけではない。また、コロナの影響で1年間オンライン授業である。学校にも行く必要が無い。その結果、家にいる時間がとても増えた。
高校の頃は朝6時半に起床し、機械的に食事を済ませ8時半までに学校へ登校。6時間授業を受け、終わるのは15時半。そこから宿題やら自習をし、あっという間に夜。今考えるとよくこんな生活を耐えていたと思ってしまう。
大学生になって、高校の時の比べて自由な時間が圧倒的に増えたと思う。私はこの時間で色々なものを享受している。音楽、小説、テレビ、YouTube、お笑い、ラジオ、雑誌。今まで好きだったものにより深く潜り、浸かっている。
詮索をしているなかで大きな発見があった。それは「Quick Japan」というカルチャー誌である。もちろんこの雑誌自体は知っていたが、購読したことは無かったのだ。自分の好きな芸人さんの文章が載るということだったので中をちらりと見てみると、特集されている人や物や内容がすべて私の好みドンピシャだったのだ。ページをめくる度に胸をくすぐられるような企画が現れ、わくわくが止まらない。様々な個性を持つ人間の脳内が言語化されていくのを読むのはとても痛快だと気付いた。

家にばかり篭もってないで新しい出会いが欲しい!校舎で授業を受けたい!という前向きな気持ちはもちろんあるが、このことは私にとって大きな収穫である。

そこで私はふとこんな事を考えた。「将来Quick Japanのライターになり、川谷絵音とお仕事をしたい」川谷絵音は私が中学の頃から大好きなミュージシャンである。考えただけで空が飛べそうな妄想である。現実がそれほど甘いものではないのは重々承知している。しかし、今までずっと将来の夢が無くのらりくらりと大学まで進学してきた私がこんなに具体的で輝いた夢を持てたということが驚きなのだ。深いところまで潜ると、最終的にこんなところまで行き着いた。

SNSでは高校の同級生が今日も思い出を投稿している。私はみんなが友達と楽しそうに遊んでいる様子を見て勝手に心を暗くしていることが多かった。自分は誘われることはないし誘う友達もいない。切り取られた思い出がタイムラインを埋めつくし、私の心は減っていった。しかし、そんなこと今は全く思わない。19歳で酒を飲んでいる所を堂々とSNSに載せる友達なんかより、多分今は私の方がずっと輝いている。


1年前を振り返ってみる。受験勉強真っ最中だ。学校が終わってから予備校に直行し、22時までひたすら勉強。上がらない成績に不安が募る毎日。そんな生活に耐えられず2019年10月9日は学校を休み、川谷絵音さんにサインを貰いにいった。足は震え、消えそうな声で想いを伝えたあの日。受験は散々だったけど、なんとか大学生できているよ。絵音さんにインタビューできるのは何年先になるんだろう。

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