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#2-5 医学部不正入試から考える理不尽との付き合い方 1/3

最近、医学部受験関連ニュースが目に止まったのでちょっと思う所を書いてみようと思いました。3回に渡り「①医学部受験の概要」「②なぜ不正が起きるか」「③理不尽にどう立ち向かうか」についてツラツラ述べていきます。

医学部受験と不正

2018年に東京医科大の不正が明るみになって、この年度の受験は大きくうち(当時勤めていた医学部専門予備校)の生徒にとって追い風となりました。

多浪生や再受験生が多いのですが、例年より多くの生徒が受かったんです。前年からの継続生(受験に失敗し引き続き同じ予備校に通う生徒)もけっこういて、昨年より手応えないと言いつつ受かったり、今年は厳しいなと思うような生徒も受かり、肌感覚ですが異変を感じました。

3年勤めた銀行を辞め、2013年に医学部専門予備校という世界に。自分の英語を生かし、さらに留学に向け英語を鍛えつつ収入も増やしたいというのが理由でした。結局6年ちょい、2019年4月まで勤めた中で様々な経験ができたことは自分の財産です。

医学部受験の特異性

医学部受験とは程遠いところで生きてきたので、そのカルチャーショックはアメリカに行った時以上だったと言っても過言ではなかった印象です。

例えば;

・2浪以上・再受験は当たり前
・学生講師は超高学歴(有名高校出身者ばかり)
・授業料が桁違い(予備校・私立医学部)
※ 自分が勤めていた予備校は月〜土の朝9時-夕16時半みっちり授業のコースで年600万、それに個別授業を追加した生徒は1,000万以上の生徒も
※ 私立医学部6年間の授業料(入学金等その他経費込)は2,000万〜4,700万

そして何よりも、受験制度や方法が複雑ということ(今回の記事では主に河合塾さんのサイトを参照させて頂きます)。

医学部受験生は多い場合、10校以上(出願料6万円/校)に出願します。大学や場所にこだわるというより、どこか1つにでもひっかかれば御の字という具合です。

秋頃に出そろう大学の入試日程をまとめたこういうカレンダーを見ながら、生徒の希望、得意苦手科目、問題の傾向、入試会場、予算などを考慮して生徒と作戦を立てます。

1つの大学でも複数の入試制度があってそれもまた複雑…

例えば昨年度(2020年4月入学の生徒に向けての受験)の関西医科大学は;

① 学校推薦入学試験
② 特色入学試験
③ センター試験利用入学試験(前期)
④ センター・一般併用入学試験
⑤ 一般入学試験(前期)
⑥ 一般入学試験(後期)
⑦ センター試験利用入学試験(後期)

1つの大学で7つの試験制度が…ややこしや笑

さらに受験科目・内容も複雑で、記述式の超難問を出題し4割取れたら合格なんて大学もあれば、数年前の帝京大学のように3科目好きなものを選択し、3日間実施される同大学の受験日程全て受験した場合は1番点数高い日のものを採用してくれるっていう制度もありました(※英語が必須でなかった時代に国物数を受けて合格した生徒もいます)。

そんな31ある私立医学部の制度を毎年調べ(受験科目、制度、募集人数など毎年変わります)生徒・保護者の希望も踏まえて提案するわけです。

親がイニシアチブを持つ受験

そして何よりも特殊なのは、親がかなりの決定権を持っている場合がほとんどということ(特に私立医学部を目指す場合)。自分みたいに勝手に受験校と学部決めて「ここ受けるからー」ってした人からすると、異常なほどの過干渉。

こういった医学部専門予備校に通う生徒(保護者、職員、講師、学生講師も)は正直今まで自分の周りにいたタイプの人とは全然違って、クセしかありません(個人の見解です)。医学部目指すぐらいだから優秀な生徒が多いと思われるかもしれませんが、実はその逆で「高いお金払ってでもなんとか医者になりたい(したい)」生徒(親)が多い

例えば、学生時代全く勉強してなかったけど親が医者のため医者を目指さざるを得ない生徒。その為プライドだけやたら高くて努力しなかったり。中には成績悪くないのに精神的にすごく弱い生徒、持病とその治療のせいで一時期勉強に専念できなかった生徒など様々です。

年に何回か保護者面談し(生徒も場合によって同席)進路に関し話すのですが生徒よりはまず親と方向性の合意を取っておくという感じです。受験校だけでなく生徒との関わり方、生活習慣の管理方法、さらには授業内容や講師の採用基準にまで口を出してくる親も。1対1の個別授業に毎回参加する保護者はトラウマものでした…笑

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一方で、お金はなんとかするから勝手に予備校・受験校も決めて好きにやってくれみたいなご家庭もあります。丁度良い具合の保護者の方は本当に少なかったですね。面白いのが「しっかりしてるな」と思う保護者を持つ生徒さんはほぼ間違いなく、しかりしていて合格していきます

国公立医学部に通っている学生講師と話してみても、しっかりしていると感じた学生の親で過干渉な人は少なく、医者じゃない人の割合も多かったです(具体的な証拠なく申し訳…)。

このような前職での経験から、親と子供の接し方、どういう教育を家庭ですべきか、その上での学校や予備校の役割、また受験制度や教育の目指すべき姿など考えるようになりました。

ざっくりと医学部受験・予備校の概要について書きましたが、親とバトった話や裏口入学の有無などもっと濃い話は次回以降に。

次のnoteでは「なぜ不正が起こるか」について述べていきます。

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「語学・キャリア形成を中心に新しい生き方を作る」、また「教育から日本サッカーの発展を」というテーマで5人の生徒に2021年6月30日まで無料授業を提供するためのプロジェクトです。

支援いただいたお金はネイティブ講師への給与や、今後予定している外部講師を招いてのスポーツビジネス・キャリア紹介講義のために活用します

現在4人の生徒が受講してくれており、自分を変えたいと挑戦する若者の意欲に刺激を受けております。サービス拡充のため、さらなる支援、SNSや口コミでの情報拡散して頂ければ幸いです。

支援や活動報告の確認は上記CAMPFIREのリンクよりして頂けます

「にゅーびだ」インスタアカウントも開設し、こっちでも活動報告してますので良かったらご覧ください!

バルセロナでは今月いっぱいまでレストラン・バー・カフェで飲食できず、再ロックダウンの噂も出てますが、来週からコーチングスクール始まり、ボールも蹴れているので今の所は楽しくやっています、と近況報告にて締め。

今日はこの辺で、adéu!

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