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#2-5 医学部不正入試から考える理不尽との付き合い方 2/3

前回から3回に分けて医学部入試の不正に関して記事を書いており、今回はその2回目。前職で医学部専門予備校の教務・運営・英語講師を6年ほどしていた経験から思うところをツラツラ書いています(たかが6年されど6年)。

「不正は悪」「努力した者が報われるべき」とか勧善懲悪論を述べたいのではありませんグレーゾーンまみれの言いたいことも言えないこんな世の中にどう向き合い生きていくか、この記事が誰かのヒントになれば良いなと思ってます。医学部受験の概要に関してはこちらの記事に書いているので良ければ併せてご覧ください。脱POISON。

不正(合格者操作)が起こる仕組み

そもそも受験とは決められた受験資格を満たし、試験を受け、一定の得点を獲得する(他の受験生より良い成績を残す)ことで合格を勝ち取ることができます。得点開示もあり、試験は公正で得点が全てだと考えられています

そのため自分は生徒に対し、自己満足とか自分のペースとかどうでも良いから他の生徒に勝つこと、1点でも上回ることを意識させてました。その根底が覆るような合格者操作を大学がしているのであれば、自分のしてきた指導が正しかったかどうかも疑わしくなります。

しかし次の記事で西川先生が言うような、合理性を求めた上で合格操作をしているのであれば自分は賛成です。

<合格操作を実施する理由>
① 医者の男女比バランスを保つことができる(記事より)
② それにより適材適所の科に人材を配置できる(記事より)
→ 力仕事が必要な科に男性、婦人科に女性が働くなど
③ その大学付属病院の戦力を整えるため
④ 不正な利益を得るため

①②は記事で西川さんが指摘している通り、医学会では暗黙の了解になっているようです。女医の方であれば自身の妊娠・出産で現場からの離脱もあり、医療現場の人員・レベルの確保、環境の安定を図る上では仕方ないのかなと思います。

③に関してもまだ理解できます。一般学部の学生とは違い医学部生たちは出身大学の付属病院で働く可能性があるからです。つまり受験の段階でその大学の労働力を見極めることにもなります。大学側も高い投資をして育てた学生にはそのまま働いてもらいたい。カンテラで育てた自前の選手がトップ昇格するイメージです。その場合、1年でも長く勤めてもらう方が費用対効果も高い。だから若い受験生が優遇されます(年齢差別)

これはプロスポーツの世界では当たり前ですよね。同じ能力であれば若手を積極起用する。先日のプロ野球ドラフトで田澤投手がメジャーでの素晴らしい実績にもかかわらず、34才という年齢がネックでどこにも指名されなかった(のでは?)という出来事がありました。

地方私立医学部ともなると授業料が高く、立地的な条件から優秀な学生(受験での学力)や出身大学に留まる生徒を確保しにくいという問題もあります。そのため地域推薦という枠があり、その大学の地域にある高校出身(家族が住んでいるなど)者を一定数確保したり、授業料優遇する代わりに卒業後何年間はその地域の医療従事が義務付けられる枠なんてのもあります。

ここまではまだわかるんですよ、ただ④がアウト。後述する曖昧な受験制度を利用して、不正な金銭の授受が起こる、私的な理由である生徒(例:理事の息子)を不当に合格させるなどです。

合格者操作の方法

私立医学部では基本的に一次試験(学科試験)、二次試験(小論・面接)があります。一次試験は客観的な学力勝負でここで不正は起こりにくいと考えます。そのため目に見えない力を行使したい親でもせめて一次試験は受かれ!と躍起になります。

私立医学部一次試験の合格者はけっこうな数がいます。例えばこんな感じ;

募集人数:100人
一次試験受験者:3,000人
一次試験合格者:500〜600人

※群馬大学医学部で過去に年齢差別をしたという不正入試があったので一概には言えないのですが、体験談的に私立医学部の話をしています※

一次試験の後、受かった500人ほどの受験生全員に対し二次試験で面接+小論を実施します。ここがミソ。一応これらの二次試験は点数化されます。しかし小論はまだしも、どうやって面接を点数化するのか?具体的な説明はありません。ここを利用して、合格者操作が起こると考えられます。

多浪生でも受けいれてくれる大学はどこですか?

3浪以上の受験生やその保護者から必ず聞かれる質問です。前回の記事でも述べたように、大半の医学部受験生は「行きたい大学に行く」より「医学部に受かる」ことを優先します。そのため複数の大学を受験し受かった所に進学するという具合です。

高いお金(願書1校6万円)かけて受験することもあり、事前に受験しても無意味な大学は候補から外します。年齢差別しますなんてもちろん公表されていませんが、大学または予備校各位が提供している情報に「在校生(合格者)の年齢・浪人年数がわかるもの」があり、それを参照すればその大学の傾向が見えます;

<A大学>

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<B大学>

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[参照:メルリックス学院]

上の図を比べてもらえば明らかですよね、A大学には一定の多浪生がいるのに対しB大学にはほとんどいません。公にはされていませんがBの大学はいくら成績が良くても多浪生はとらないと言い切っても過言ではありません。この「多浪」の概念も大学やエリアによって微妙に異なります(例:関西3年以上、関東2年以上が多浪と考えられているなど)。こういう情報や、大学の受験担当者との会話などを通して地道に大学分析をします。こういった情報量や分析力が各予備校の味といった感じです。

次回、最終回では合格者操作の理由「④不正な利益を得るため」を深掘りし、それを巡っての親とのバトル体験、そして自分なりにどう理不尽に向き合うかという対処法を述べたいと思います。

まっすぐ向きあう現実に誇りを持つために戦う事も必要なのさ、とグレートなティーチャーが過去に歌ってましたが、そんな感じの内容になると思われます笑

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バルセロナでは外食の禁止だけでなく、ついにボールを蹴ることもできなくなりました…来週から始まるコーチングスクールもオンラインでの実施となり、ほぼ再ロックダウン状態に。先が見えずなかなかにショックですが、前向きにできることをやっていきます。今回はこの辺でadéu!

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