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時を超えたら、好きの立場も逆転する

この試合、行ってきました。

(写真のチョイスがよくて、個人的オキニビジュでした笑)

いろいろ思うところがあって行ってきたので、まとめてみようかなと思います。

※はじめに
・エッセイ仕立ての日記&備忘録です(話題が飛びます)
・国内サッカーの基本知識推奨となる部分もあるため、一定の説明不足はご了承ください。

2023年12月2日に試合終了のホイッスルと共に、「16年ぶりJ1復帰」との報が高らかに鳴り響き、15年前の記憶がどっと蘇り、自分が今まで持っていたイメージとその落差に驚き、彼らが抜け出せずにいたJ2「沼」ではない、彼らへの「沼」にまんまとぬかるんでしまうとは。

2024シーズンのJリーグをちゃんと観ようと思っていた自分にとって、ある意味での「大誤算」のはじまりだった。
これが、本当の意味で自分が求めているチームかもしれない…と。

J1昇格プレーオフ決勝。
昔からJ1よりもJ2大好きだった自分にとって、当たり前に観る恒例行事と思いきや、なんだかんだではじめて注目し、テレビ越しにリアルタイムで観戦していた。
もちろん、2024シーズン観るための予行練習に、という意味合いもあったかもしれないけども、それでも「あのヴェルディが決勝か」という印象が残って、なんとなくリアルタイムで観たくなった。

どうも最近、バスケの観過ぎかわからんけども、サッカーの面白さを忘れてしまっていた。
応援している選手は、自分にとって駒のように動く存在ではないのだから、そんな物事うまくいかない。
だからバスケと比べると、あの広いフィールドを前に駆け回る姿がなんとなく非効率な気がしていて、点はちっとも入らないし、ダラダラしたボール回しの時間もあったりと、正直面白さを感じなくなっていた。

時代の流れもあるかもしれない。
世の中はどんどん、物事の背後にある意味づけよりも、とにかくわかりやすさにフォーカスする。
「さっと見て、さっと面白い」、そんなお手軽さみたいなものがウケる、バズる。
サッカーは時代遅れなんだ。
それは自分がそう思っているという意味ではなくて、どっかのヨーロッパのクラブのお偉いが「若者がサッカーを観ない」という危機感を持っていることからも分かるように、時代はサッカーを向いてはくれない。

そんななかでのリアルタイム観戦だった。
確かに、リーグ戦とは違う、独特の雰囲気はあって、そこに引き込まれたというのもあるかもしれないけども、それよりももっと、彼らの「目つき」に釘付けになった。

彼ら、ただ者ではない。
彼らは一体、何者なのだ。
若いようにも見えるけど、皆中堅に見えた。
あとから知ったけど、多くが20代前半だった。これはかなり驚いた。

ピッチ上の「目つき」が明らかに、尋常じゃなかった。
昇格のホイッスルのあと、時代の流れを反して、この「目つき」がどこから来ているのか、その背景を探りたくて仕方がなくなった。

一体、このチームはなんだ。
「がんばってJ1昇格できました」みたいな、月並みな感じを受けなかった。
2023シーズンがどんなものだったのか、傍観者ながら知りたくて仕方がなくなった。

それからというもの、2023年の暮れはリーグ戦の過去のハイライトを観ては、選手を覚え、記事を漁り、どんなシーズンで昇格を迎えたのか探し求める日々だった。

いろいろ観ていくなかで見つけた、天皇杯の東京ダービー、城福監督の「緑だけは監督になるとは思えなかった」と語っているけど、私にとってもそうだったかもしれない。

何かを間違っても、緑「だけ」とまではいかなくても、J60クラブあるうち、少なくとも東京の緑のクラブは応援しないだろうな、と思っていた。

理由は単純。
自分が観ていた時期が、栄光のJバブル期ではなく、凋落へと向かう2010年代手前だったから。
当時の親会社への心象もよくなかったし、ガキだったこともあって、親会社への憤りがクラブやチームに向かっていたように思う。

それと、自分にとって、東京という場所が縁遠い場所であることも起因していると思う。
学生時代から社会人に至るまで、外縁と呼ばれるような、地方で生きていたこともあって、そして自分のお目当てのものが都市にはないこともあって(これは仙台にいたから、ある程度の都会的なものの供給を受けていてそれ以上のものを求めていなかったのもあるけども)、とにかく東京に興味がなかったし、むしろ対抗意識を持つ存在でもあった。

だから、青赤も緑も、あんまり興味がなかった。

それなのに、なんでこんなにいいなと思ってしまったのか。
あのときの「目つき」に他ならない。
今まで自分が観たことのない、凄みがあったから。

もうちょっと、東京のはなしをしたい。
思えば、何か目的を持って東京に来る記憶がほとんどない。
東京ってのは自分にとって、「なんでもあるけど、なにも選択できない」場所だった。
仕事のついで、家族が行くから、など、自分の意思を持って来た記憶が…。

いや、ずっと前にあった。
そのときも、「サッカーが観たい」の一心だった。
ただし、観たかったのはサッカー「映画」だったのだけど。

記憶に自信はないけど、震災直後だったのだと思う。
なぜなら、記憶をどう掘り起こしても、東京以外で観た記憶がなくて、当時のポストを見るに、2011年3月の東京公開だったようだから。
震災でもろもろ混乱していたから、たぶん新幹線が再開したあたりに行ったんじゃないかと思うけども。

この映画、知っているひとはどれくらいいるのだろう。
ざっくりいうと、当時地域リーグ所属の松本と長野(どちらも現在J3所属)のダービーマッチを描いたはなし。

このときの松本といえば、完璧なまでの地方クラブの形だっただろう。
当時は多くのクラブがJを目指してアマチュアの世界でしのぎを削る時代。
そんななかで、彼らは段違いのカルチャーを形成していたように思う。

「ああ、もうこんなクラブ、国内に出て来ないんじゃないかな」と、そんなふうにさえ思ったこともあった。
それくらい、個人的にはエポックメイキングだったし、国内サッカーが十分に深みに達したんじゃないかと思った、そんな境地を感じていた。

そうこうしているうちに、彼らもうなぎのぼりにJの舞台へやってきた。
初舞台の相手は…。

(これは今回のために入念に仕込んだわけではなく笑、映画のXアカウントで過去のポストを探していたら急に出てきて、「?」って思ったらこういうことだったらしい…)

今から10年以上も前のはなし。
同じカテゴリでも、同じ緑でも、正直印象が真逆だった。
そんなわけで、東京に来たはずなのに、あのときは信州のネタに躍起になっていたわけだ。
「中央」とは、文化の終点なんだなとつくづく思わされる。

そうして、「ああ、もう自分の中で山雅を超えるクラブなんて、ないんだろうな」と思っていたあの日もまた、時が経つと逆転してしまうことになるとは…。

国立に行きたい。

まだ2024シーズンのカーディングが全く決まっていなかったのに、あの昇格プレーオフ決勝に釘付けになった自分は、「目つき」が本物なのか、確かめたくなった。

この記事でも書いたとおり、ここ数年、いくつか試合をピックアップして現地観戦はしていたものの、なんとなくホームクラブの運営チェックで観に行っているだけで、ちゃんと「このカーディング行きたい」と明確だったのは、先の映画をトレースしたくて切望していた、2022シーズンの信州ダービー@松本くらい。

相手チームがどこになるかは別として、とにかく彼らを国立で観たかった。
不思議なもので、念が通じたのか、2024シーズンの幕開けは国立になった。

思えば、目当てのチームのサッカーを現地観戦するのは、はじめてになった。
ここでいう「目当て」とは、ある程度チームのことを知っている存在。

今まで通った幾多の試合はどれも、チームのことをよく分からない状態で観に行って、なんとなく雰囲気だけ感じて帰ってくるという、「内容がない状態」。

にわかであることに誤りはないけども、今回は事前に選手もチェックしているし、記事も読んでいるし、何ならテレビも録画しまくり。
テレビは年明けの新シーズン版もそうだけど、昇格した最終戦の様子は表現古いけどまるで、ビデオが擦り切れるんじゃないかってくらい観てた。

「国立開幕」まで、どんどん上がっていくボルテージ。
それはそれは、恍惚な日々だった。
行く前から幸せだった。



試合は…
こんなにも釘付けになったのは、はじめてだった。

いつものように、写真を全く持ち合わせてない(汗)

「目当て」の現地観戦だったのもあるけど、事前の下調べが功を奏したのか、サッカーに対する観方を結構クリアに持ちながら観れた。

強烈なくらいに、「ハイプレス・ハイライン」がハマってた。
これはおそらく、アングルによってはテレビ中継で見えない部分も多いから、現地観戦できたのは本当に尊い。

あとは多くのシーンで「リカバリーパワー」を感じる場面があって、やっぱり気持ちが入ってるなと思わされた。

結果が伴わなかったことにチームは悔しさを感じているのは当然だろうし、自分も一瞬悔しい気持ちになったけども、それよりも内容が良すぎて、やっぱりあの「目つき」への印象に誤りはなかったのだと確信した。

もちろん、この長いシーズン、うまくいかないことも出てくるだろう。
それでもあれだけのことができるなら、これから上がっていくだけだから、平均年齢の若さを考えても「日本一、圧倒的成長曲線を秘めたトップカテゴリのプロスポーツチーム」であることに間違いはないだろう。

新幹線を経て帰宅したあとの身体は寒さも相まってガタガタで今まで感じたことのない重みのある疲労感だったけども、本当に充実した現地観戦だった。

あの若造たちをたまらなく追っかけたくなる、その核心に迫れて本当に嬉しかった。
そして、あの若造たちを追っかけてもいいんだと、こんな刺激的なシーズンが送れるのだと思うと、たまらなく嬉しくなった。

リーグ戦だけでもまだ、あと37試合あるから。





最後に、あとから知った話をひとつ。

J1昇格プレーオフ決勝のレギュレーションをふと、知りたくなった。
今までプレーオフに関心を持っていなかったこともあって、決勝というのは勝手に、中立地である国立で行われるものと思っていた。

ところが…。
実は、年間順位上位チームのホームで行うというレギュレーションだったことが、あとになって分かった。
彼らのホームは味スタ。でも、国立を選んだ。2023シーズンは一度も、国立ホーム開催がない。

それでも、彼らは国立を選んだ。
クラブの運営力と、国立に懸ける想いを感じた。

もう、私が知っている彼らではない。
かっこいいじゃん。

魂の底からついていくサポーターではないけど、にわかなんだけど、いちファンとしてちょっと観させておくれ。

相当イイ感じだからさ。




後記

2024シーズン、はじまりました。
おそらく今シーズン、最初で最後の東京Vのレポです。
ちょっと重すぎたかもしれませんが…汗

世間としてはこの国立開幕、「31年前の…」が話題になりますが、個人的には東京Vっていったら圧倒的「フッキ」なわけで…笑
ああ、語弊なくいうと、憎たらしかったですからねえ。ほんと(汗)
なぜか、J2なのに彼らだけ全国放送だしね…汗
好きか嫌いかっていったら、残念ながら後者でした。はい(汗)

テレビにかじりつくようにサッカー観ていた時期が、Jリーグバブルではなくて、東京Vの前回のJ1の時代のほうだったので、どうしてもそのときに絶頂を迎えていた松本との差を鮮明に感じていたような気がしています。

そして自分でもびっくりだったのは、10年前って松本のほうが、東京Vよりもクラブ力は上手のイメージだったのですが、こうやって今振り返ると、逆転しているのですよね。

これ、途中で東京Vと松本が交わるシーンが出てくるのですが、たまたま見てたらどぎまぎしてしまいましたね…。

逆転している印象に対して「否」と思う方もいるかもしれないですが、現にカテゴリの違いだったり、クラブ的にも上昇気流に乗っている東京Vに対して、J1から一気に降格してきてカテゴリもクラブ力も下降気流に乗っているように見える松本は、いくらコロナを挟んだとはいえ、如実に表れている差なんじゃないかと思っています。
まさかこんな未来を、あのとき予想していたんだろうかと…。

個人的にエポックメイキングなクラブって、

【2000年代:新潟】
・地方クラブの礎を築いた
・ただ、まだこのころは地方であっても一定の市場規模がクラブ運営で成立するともされていた(例外があるのは理解の上だけども、大半はそのセオリーだった)

【2010年代:松本】
・カテゴリや地域に捉われない、サッカー文化の本質を見出した
・だからこそ、市場規模に捉われずに一定レベルのクラブ運営ができると証明した

【2020年代:東京V】
・フラットな関わり方ができそうな、多様性を受け止めるクラブになるかも
・極端なローカルでは、娯楽が多様化していて、流行もボーダレスになり、オフサイトの重要性だけで現代では顧客を集められない現実
・そして、ある程度のクラブ運営の規模感を出せないと、選手の市場がグローバルな中で国内はおろか、海外でのプレゼンスも出せない(結果、選手の海外流出があっても、代わりに海外から選手を調達できない)
・東京だからということが、今度は良い方向に作用するかもしれない…

※1990年代は、私がサッカー観始める前なので、言及できないのはご容赦くださいませ。

になった感じです。
こういうところに東京Vの名前が載ること自体、昔(2010年前後)は考えられなかっただろうなあ…。

いつの日か嫌いだったり、逆に好きだったりするものって、時代が変われば観方も変わるんだなあと考えさせられたので、ちょいとまとめてみました。

最後に、十分に配慮はしながらも、少し尖った表現も入り混じったこと、ご了承ください。

それにしても、サッカーの観方、この試合でかなりカチッと定まってよかったです。
追ってメディアのレビューで「答え合わせ」して、選手評価もそんなに外れてなかったので、まずまずです。
もうちょいチューニングできるように、他チーム含めてヒマあったら観ようかなと思います。

では今シーズン、味スタのどこかの試合でまた、お会いしましょう。
行くならあと1試合くらいだけど、どの試合になるんだろうなあ。
楽しみなんだルン(笑)

今の時代は、こういう鳥がいるらしい笑(家族から拝借・その1)
家族は試合というより、この鳥のために突撃しました笑(家族から拝借・その2)

追記(2024/3/3)

あれから一週間、DAZNで見逃ししました。
現地では印象に残らなかった、後半終盤の相手の攻撃時に何が課題だったのか、自分なりに観たかったのもありますし、何よりあの凄まじい試合をもう一度観たかったというシンプルな理由もあり。

現地観戦って、内容ガチ観戦勢でもほんと意味あるなあと改めて感じました。
ゴール裏だったり、観衆のつくる「気」というものもありますし、何よりピッチ上の緊張感がすごく伝わってくる。
「どうせ嘘だろ」って思うかもしれないですが、私にはそういう整理をもってでしか、あの試合がどれだけのインパクトだったのか、説明ができないと思っています。

サッカーのピッチ、しかも専用スタジアムでないのに、「気」を感じた試合でした。
だから、身体の寄せ方だったり、プレッシングの強度だったり、そういった立体的な動きが現地観戦でひしひしと伝わってきて、「この若造たち、ただ者じゃないな」って思いに余計に駆られました。

試合展開をある程度知っている前提だったこともあって、配信だと正直物足りなさがあるかなあという部分も無きにしもあらずですが、それくらい現地観戦の凄みを感じることができました。
ちなみに、配信も映像のクオリティが高くて、現地観戦では得られない、観衆の視点では得られないピッチサイドレベルの景色を観られたのは、これもこれで配信の良さだなあと感じることもでき、なんとも贅沢な見逃しでした。

久々に良い趣味できてます。
毎週末楽しみで、うれしくて、毎日がんばろうって思いますね。
緑の若造たちに、感謝感激です。あんがと。

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