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社会的インパクト投資レポート<番外編>:マイクロファイナンスとは

2018年6月18日、当社は「社会的インパクト投資宣言(※)」を発表しました。社会的インパクト投資とは、貧困層支援や教育問題など社会的課題の解決に取り組む企業や領域に投資し、経済的なリターンと社会的なリターンの両立を実現する投資手法を指します。この社会的インパクト投資レポートでは当社の各ファンドシリーズが具体的にどのような社会的リターンを実現するかについて定量的かつ定性的にお伝えしてまいります。
※当社の社会的インパクト投資に対する考え方についてはこちら(https://crowdcredit.jp/about/social-investment)もあわせてご参照ください。

2019年10月14日、スウェーデンのノーベル賞の選考委員会は、今年のノーベル経済学賞の受賞者を発表しました。受賞したのは、アビジット・バナジ-氏、エステール・デュフロ氏、マイケル・クレマー氏の3名です。彼らは、現場における実験的な手法で、貧困削減への具体的アプローチを提言していることが高く評価されました。「貧困をなくそう」は国連の持続可能な開発目標(SDGs)の1つめの目標に掲げられており、今回の受賞は当目標達成を更に認知させ、加速化させるのではないでしょうか。

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当社も引き続き、社会的インパクトをもたらすファンドを通じて、SDGsの達成に貢献してまいります。

そんな中、今回は「マイクロファイナンスとはどういったものか?」についてご紹介いたします。

全ての人に金融サービスを ~マイクロファイナンスとは~

「金融包摂」という言葉をお聞きになったことはおありでしょうか。英語では「Access to Finance」や「Financial Inclusion」といった用語で語られます。

日本では当然のように利用されている銀行の預金・送金、そして融資のサービス。しかし、世界にはまだまだそれらのサービスへのアクセスが叶っていない人々が多くいます。世界銀行によると、改善傾向はみられるものの、2017年時点で、世界には実に17億人の成人(全成人の31%)に、これらのサービスへのアクセスがありません。

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出所:世界銀行レポートよりクラウドクレジット作成

なぜ、金融サービスを普及させることが重要なのでしょうか。

下記の3点から、金融サービスの改善と経済成長は正の相関関係にあることが認識されています。

(1)ビジネス・健康・教育への投資を促す
(2)失業や不作等、不測の事態が起こった際に、家計に与えるインパクトを軽減する
(3)これまで金融サービスにアクセスが出来なかった女性にサービスを届け、エンパワメントを促す

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バングラデシュの首都ダッカのマーケット

マイクロファイナンスは、特に貧しい人々への金融サービスを届けることをミッションとして、1980年代頃から拡大してきました。2006年にバングラデシュ・グラミン銀行のムハマド・ユヌス氏が、マイクロファイナンスを普及させた貢献に対して、ノーベル平和賞を受賞したことをご存知の方も多いと思います。

もともとはマイクロ・クレジットという、少額のローンを貧困層に融資するサービスが中心だったものが、今ではマイクロ・セービングやマイクロ・インシュアランスと言われる貯蓄や保険などにもサービスが広がっています。マイクロファイナンスのデータベースMIX Marketによると、2017年時点で、世界で981のマイクロファイナンス機関が、1,140億ドルのポートフォリオを有する市場に成長しています。

マイクロファイナンス機関は、単に金融サービスを供与するだけではなく、極度の貧困にある人々へのセーフティネットを提供したり、顧客を定期的に集めて家計管理に関する教育や識字向上のための取組を行ったりすることで、貧しい人々が貧困から抜け出すための支援を多面的に行っています。

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バングラデシュで、マイクロファイナンス機関の定例ミーティングに参加する女性たち

金融包摂の中でも近年特に注目されているのがモバイルマネー等のフィンテック/デジタルファイナンスです。銀行の支店やATM等の金融インフラが整っていない地域においても、貯蓄や送金を容易にしています。

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例えばとある家族の収入が大きく減少した際、遠隔地に住む親戚や友人が、近くのキオスク等から簡単に送金をすることで、家計のやりくりがしやすくなります。また、これらのデジタルファイナンスは一般的に送金コストが通常の銀行送金よりも安いため、新興国では政府の社会保障の支払も、これらを通して行われ始めています。送金コストを抑えることで、セーフティネットの便益を最大化できるのです。

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マイクロファイナンスは零細企業の成長を助ける

このように、マイクロファイナンス機関は金融サービスにおける社会的インパクトを生み出す重要な役割を果たしています。これらのマイクロファイナンス機関が持続的な成長をしていくためには、資金調達が非常に重要です。

CGAP(Consultative Group to Assist the Poor)によると、マイクロファイナンス機関への資金流入は増加傾向にあり、2011年の260億円から2017年の420億円へと約1.6倍に増えました。しかしながら、まだまだ援助機関や政府等の公共資金が主であり、民間資金が果たす役割が期待されています。

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出所:CGAPレポートよりクラウドクレジット作成

当社は、この民間資金の一環として「個人の投資資金」が果たせる役割が大きいと考えています。世界中のマイクロファイナンス機関に個人投資家の皆様の資金を届けることで、社会的インパクトの創出に貢献してまいります。

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◇ファンドの手数料およびリスクについて
ご出資いただく際の販売手数料はいただいておりません。
なお、出資に対して、年率換算で最大4.0%の運用手数料を運用開始時に(または運用開始時および2年度目以降毎年度に)いただきます。
また為替手数料その他の費用をご負担いただく場合があります。
為替相場の変動、国の政治的・経済的なカントリーリスクや債務者の債務不履行等により、元本に欠損が生じるおそれがあります。
ファンドごとに、手数料等およびリスク内容や性質が異なります。
詳しくは、匿名組合契約書や契約締結前交付書面等をよくお読みください。クラウドクレジット株式会社
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