今夜、サンタになるあなたへ
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今夜、サンタになるあなたへ

sachiko okamura

クリスマスイブによせて
今夜、サンタになるあなたへ

       ◆

私が昔、子どもたちのサンタクロースだったころの話

       ◆

2001年、東京の大学を出てそのまま東京で就職し
会社の上司と結婚した長女

彼女は今、二人の子の母となり、
バックのデザイナーから育児休暇を経てリスタートし、
仕事と子育てをがんばっている。

保育所のお迎え、家事と忙しいだろうに、
笑顔を絶やさない姿に、私が過去、できなかったことを、
この子はちゃんとやっているのだと感じる

       ◆

そんな長女が結婚してすぐのお盆
帰省した彼女と、久しぶりに昔の話になった

思い出話が尽きた頃、彼女はこんな言葉を口にした。

「お母さん、私も子どもができたら 
 お母さんみたいにサンタさんするから。」

       ◆

そう、私は昔、
子供たちのサンタクロースだった。
 

子育て期の我が家の生活はとても質素で

たとえば子どもの髪も私がカットしていた。
当時、長女、次女、三女、長男の4人を連れて街に出るのは ほぼ無理で、
近所のスーパーがやっとという状態。

自分の服など買う余裕はなかった。

いや、それどころか、おしゃれをしようとか、
友達とランチやお茶とか

今なら当たりまえにしていることが、
楽しむこと=贅沢=いけないこと
のように感じられて、
無意識のうちに封印していた。

でも、クリスマスだけは特別だった。

たどたどしい字で書かれたサンタ宛の手紙を手に、希望のプレゼントを求め 
私はイルミネーションに彩られた街へ向かうのだった。

そして、この時だけは、私は自分の封印を遠慮なく解くことができた。
子どもたちは義母が観ていてくれた。

一人一人の喜ぶ顔を思い浮かべながら買い物に歩いた時の高揚感は
今でもリアルに思い出すことができる。

そう、あの時、私はサンタの魔法にかけられていたんだと思う。

        ◆

そんなサンタのミッションを楽しんでいた、ある年の12月
年少組の三女が、こう訊ねてきた。

「お母さん、サンタさんって、ほんとはお母さんなの?
今日、○○君が言うとった。」
あ、きたか‥
いつかはこんな日が来ると思っていた。

「サンタさんはね、信じる子のところにはちゃんと来るんだよ。
 でも、サンタを信じられなくなると、サンタさんはお母さんの
 心の中に入って、
 代わりにプレゼントを届けてくれるんだよ。」
と私は答えた。

そうだ
これは作り話なんかじゃない
 
プレゼントを選びに街へ出るとき、
私の心にはクリスマスの魔法がかかっていた。

その魔法とは、大切な人のために自分のできる何かをして、
そしてそれを喜んでもらえるという、
最高に幸せな魔法。

言葉では表しきれない 最高に幸せな魔法
        ◆

そして、その魔法は
私の知らない間に、長女へも引き継がれることになった。

長女はなんと、10歳でサンタになったのだ。

        ◆

1994年‥長女が4年生になった年のクリスマス。私のお腹には5人目の赤ちゃんがいた。
男の子だとわかっていた。

末っ子の長男にも 弟ができるわけだ。

家族みんなが次男の誕生を楽しみにしていた。

予定日を2週間後に控えたイブの夜、
いつものように子どもたちの枕元に4人分のプレゼントを置いて
私は布団にもぐりこんだ。

彼らがなかなか眠らなかったため それはすでに夜中の2時を回っていたけれど
天使のような寝顔は 子育ての疲れを忘れさせてくれた。
私は体中が愛でいっぱいだった。

     ◆

そして翌朝…

目覚めた私の枕元にはなんと絵本のプレゼントが置いてあった。
手紙まで添えられて‥

手紙には、
「お母さんと これから生まれてくる赤ちゃんへ」
と書いてあった。

長女からだった。

私は布団の上で泣いた。

サンタは長女にまで クリスマスの魔法をかけてしまったらしい。
忘れられない朝となった。

    ◆

こうして長女は、次の年からサンタメンバーの仲間入りをして
弟たちの枕元にプレゼントを仕込む役を担当した。

次の年には次女…と我が家のサンタは少しづつ増えていった

最後は三人の姉全員がサンタとなり、二人の弟より
サンタメンバーの方が多くなってしまった。
長男次男ははこのころどうなっだったのかな??
こんど次男に聴いてみたいと思う。

       ◆

しかし、そんなあったかく賑やかな日常も、
子どもたちの成長とともに流れ、変化していく。

どこのご家庭もそうであるように。

        ◆

遅くても末っ子が小学生になるころには
5人の子どもたち全員がこのプレゼントのリアルを知り、
母サンタの仕事は無くなってしまった

同事に、子供たちはみな、私の手をはなれ
夢に向かって羽ばたいていった。

そうだ、信じていれば夢は叶うと教えたのは私

親としてこんなにありがたいことはないはずだ

        ◆

ところが、肝心の私ときたらどうだ

社会の中で自分の価値を見出せず
焦りのスパイラルの真っ只中じゃないか

向上心の向くまま、資格に挑戦して仕事を増やしたものの、

エゴからのがんばりはうまくいくはずもなく

借金まで作ってしまい、空回りと焦りのループにはまっていた
子どもたちが帰宅したときも、PCの前で「お帰り」と返事をすることが多かった。

当時、下の子たちには きっと
寂しい思いをさせていたにちがいない。

サンタをしていた時の、質素だけど暖かい日々が、どんなに価値のあるものだったか

それを、理解するのは もっとあとからだった

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40代から50代にかけて、
私は子育てと自己実現の狭間を迷い続けた。

そしてやっと解ったのは

とってもシンプルなこと

幸せとは
自分だからこそ提供できるなにかを

必要としている方にお渡しして、
笑顔をいただく事

大切な人のために働いて、
それをいっしょに喜び合うのが
最高の仕事

最高の幸せ

それはクリスマスの朝、
子どもたちの笑顔で自分が満たされた感覚
そのままだった

そう、私はすでに知っていたのだ。
昔、子どもたちの笑顔が教えてくれた幸せを

ほら、今だって、
家族やお客様の笑顔から 沢山のギフトをいただいているでしょう?

        ◆

今夜サンタになるあなたへ

与えることのできる幸せを
互いにお祝いしましょう

そして
すべてのみなさまへ
Merry Christmas



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sachiko okamura
5人の子育てを終えた美姿勢,歩き方トレーナー。ミドルエイジの猫背、O脚、ボディメイク専門。 最近ジャッジしないことを学ぶ。これ、トレーニングにも活きるね。身体の癖を、その方の生き様や日常にまで掘り下げると身体は本来の働きをしてくれるhttps://crescendo6.com/