見出し画像

デザイナーが課題仮説を立てて生きづらさについて考えてみた - 「軸」は人生のコンセプト?

こんにちは!FLAGS - ミレニアルズの生き方研究所 - です。

FLAGS - ミレニアルズの生き方研究所 - は、富士通株式会社デザインセンターに所属する20代後半~30代前半(ミレ二アルズ)のデザイナー6名が進めるプロジェクトです。

前回の投稿では、「人生デザイン」がしっかりできれば、生きづらいこんな世の中でもうまくやっていけるのではないか?という気づきから仮説を立ててデプスインタビューで検証しました。
今回はデプスインタビューの結果を考察し、仮説をブラッシュアップしたお話です。

突然ですが、グループワークで出たアイデアを一つにまとめる時って悩みませんか?みんなの意見を取り入れつつ忖度のないアイデアにするのって難しいですよね。今回は仮説のブラッシュアップをテーマに、私たちがどうやって意見をまとめたのかを紹介しようと思います!

前回のまでのお話 - 「人生をデザインすること」が大事なんじゃない?

画像2

私たちの周りには生きづらさと上手く付き合っている人がいること、そして彼らは人生デザインがしっかりできているから生きづらい世の中でもうまくやっていけるんじゃないか?という気づきを得ました。
そこから人生デザインがうまくできている人と上手くできていない人の特徴について仮説を立ててみました。

【できている人の仮説】
・SNSや身近な存在に同じ価値観を持つ人がいて、そのコミュニティに所属しており、共通点が多い人を参考にできたり、相談することができるから。
・失敗を恐れない性格や時間的・金銭的余裕、成功体験、教育など自信の根拠となるモノを持っているから。
【できていない人の課題仮説】
・自分の人生を考える時間的・金銭的余裕がないから。
・相談できる人の不在や情報過多による取捨選択の難しさによって考えることが難しいから。

そして、仮説を検証するためにミレニアル世代にデプスインタビューを行い、以下のような結果を得ました。

インタビューのまとめ
・人生をデザインすることは重要だと思っている人は全体の8割
・人生をデザインすることができている人は全体の6割
・人生をデザインすることができている人は自己分析を行い自分自身を客観的に把握し、周りの人たちの話を聞いて情報を収集している
・人生をデザインすることができない人たちは自分に自信がない
・人生をデザインすることができない人たちは参考にすべきロールモデルを周囲に見つけることができない
・人生をデザインすることができる/できないに、時間的・金銭的余裕はあまり関係なさそう

私たちが立てた仮説は大方正しいことが分かった一方、自己分析などの「自分の内面を振り返って客観視すること=内省」そしてそこから「自信をもつこと」も重要なファクターである可能性が出てきました。

思ってたのとなんかちょっと違うっぽい - 仮説のブラッシュアップ案を考えてみる

デプスインタビューの結果から、私たちが立てた仮説にいくつかの要素が不足していることがわかりました。加えて、人生をデザインすることが必ずしも重要ではないようにも思えます。仮説をブラッシュアップしましょう。

まずメンバー各自でインタビューの結果を踏まえて仮説のブラッシュアップ案を検討してみました。それぞれのブラッシュアップ案を見てみましょう。

人生をデザインすることは重要であり、それは現代においては「ライフプランやキャリアプランをかっちりきめること」ではなく、一つの軸(信念・大きな目標など)を持つことである。その達成を視野に入れて柔軟に生きていくことが生きやすさにつながるのである。
また軸も時代や自身の変化に応じて変えていくべき部分と、変えない部分のふたつの側面を持っており、変えるべき部分は常に変化させることも生きやすさを確保するうえでは重要である。
不確実な時代において、自分の人生の軸は決め切るものではなく、柔軟に変化し常にアップデートを繰り返していくものである。
人生デザインを固定して盲信してしまうよりも、今までとは短いスパンの中で選択・決断を行い見直すサイクルが求められる。
人生をデザインすることは必ずしも重要ではない。
・誰もができることではない
・そこを重要視するかどうかは個人次第
・人生をデザインできているかいないかではなく、その人が現状に満足していれば、そもそもそういった議論になりにくい?今に満足していればそれが自然と未来にもつながる?
時代も社会も環境の変化は確実にあり、(外的・内的要因で)自己の価値観も変遷していくので、これと決まった人生デザインをしていてもその通りに進むことはほぼ無い。
定めた軸すら容易に変わっていくこともある。
人生をデザインできている人=内省、思考、体験、判断のサイクルを上手く回せていて、自分に自信をつけ、人生(よりよく生きることに)に肯定的&主体的な状態にある。
人生をデザインできていない人=サイクルが途中で止まっている(生活&仕事に追われる)で、徐々に自分の内の声に鈍感になり、自信がなくなり、行動もしなくなり、人生に対する不安感が増してきている。
① 企業と切り離した「自分の人生のテーマ」が必要
ex)長期的に良好な人間関係を築く、
②人生をデザインできずに困っている人は、漠然とした目標やなりたい像があっても、抽象的な段階で止まっており、実現可能な行動に分解できていない。
③人生をデザインできているという実感に加え、周りに自分のことを理解してもらうことで生きやすくなる。
人生デザインにおいて、キャリアプランを思い描けていることは、プライベートなプランを考えやすくしたり、考える余裕を生む。
第一歩としてキャリアプランが描きやすくするには、客観的に自分の位置を把握し、向きたい方向を定めることが大事。

どのブラッシュアップ案もインタビュー前に比べ精度が高くなりましたね。仮説のブラッシュアップに向けたディスカッションの中でキーワードとして「軸」と「内省」が上がりました。
不確実な時代だからこそ全体のデザインを決め切らずに、その場その場で臨機応変に決定して対応することが求められる。そのためには自分の考え方・生き方に軸が必要で、それがあるから生きやすいのかもしれない。
また、自分自身を振り返って客観的に自分のことを把握すること、いわゆる内省を繰り返し自信をもつことも重要なのかもしれない。
こういった考えがそれぞれのブラッシュアップ案に反映されているのが見て取れます。

みんなのアイデアをまとめて1つの仮説にブラッシュアップする

それぞれの仮説ブラッシュアップ案を一つにまとめて、新たな仮説を立てたいと思います。このようなみんなのアイデアをまとめる時って悩みますよね。忖度してしまうと何が言いたいのかわからなくなってしまいますし、かといってどれか1つの案に絞ってしまうとメンバー全員の総意ではなくなってしまうし…

今回私たちは出てきた仮説を大きな項目で分類したうえで、要素に分解し、それらを再構築する方法を取りました。

仮説ブラッシュアップ案を俯瞰してみると、「軸の設定」と「軸の更新」の大きく2つに分類することができそうです。
さらにそれぞれの仮説ブラッシュアップ案を要素に分解し、当てはめてみましょう。

軸の設定においては、まず「人生デザインを決めることは重要ではない」というのが入りそうですね。それよりも考え方や判断の基準となる「軸を決めることが重要」という要素が入ります。そして、現状に満足していても良いし、キャリア像を描けているとよい人もいましたね。

軸の更新については、「変えるべき部分とそうでない部分がある」ということ、そして「その機会をどう作るか」が入りそうです。そしてそれらを見極めるためには「客観的な視点が必要」という要素も欠かせません。
また「自信を持ったり、自己肯定感を持つことが軸を更新し続けるために必要」という要素もありました。

これらの要素洗い出し、関係性を整理した結果が下の図です。だいぶ整理され、かつそれぞれの仮説ブラッシュアップ案のエッセンスがちりばめられましたね。

画像1

生きづらさに対する新しい課題仮説!

先ほどの要素分解を再統合して1つの仮説にまとめてみました。
私たちがミレニアル世代に対して行ったデプスインタビューを踏まえてブラッシュアップした課題仮説はこちらです。

現代において、生きやすさを高めるためには、一つの軸を明確にすることが重要である。
生き方の方針が定まり、考える余裕が生まれ、アクションを起こしやすくなるためである。

その軸の抽象度の高さはあまり関係ない。価値観が多様化しているため、「こういう人になりたい」という具体的なキャリア像を据えてもよいし、「こういう状態になりたい」という人物像を据えてもよい。
また軸も時代や自身の変化に応じて変えていくべき部分と、変えない部分のふたつの側面を持っており、変えるべき部分は常に変化させることも生きやすさを確保するうえでは重要である。
客観的に現状と目標を照らし合わせて振り返ること(内省)で、軸を柔軟に変えたり、次のアクションを決める必要がある。
また、自分の軸を他者に共有することで、周囲から軸の実現に向けた支援を得ることができ、生きやすさが向上する

そのうえで以下の3つが課題になっている。
1. 軸がぼんやりしてしまっている人もいる(あるんだろうけど気づいてない)。
2. 軸を他者に共有しづらく、内省・外化が上手く行えない。
3. 自身の軸を実現するためにより確実なアクションを実行したいが、それが分からない。

今回は仮説に加え、それを実現するうえで課題になっていることも含めてまとめてみました。
(実は課題ではなく問題になっているのですが、それはおいおい話題にいたします…)
課題も含めて仮説にすることで、「次はどうしたら解決できるだろうか?」など具体的なアイデアを検討しやすくなります。

分かっちゃったんだ。多分気づいてないでしょう? - 仮説検証フェーズの気づき

少し余談ですが、仮説は固定しないこと、そして検証と検討を繰り返してブラッシュアップすることが非常に重要だということを私たちはこのプロジェクトを通して学びました。

バチっとハマるような最適解の仮説を生み出そうと考えやアイデアが凝り固まってしまい、プロジェクトの進行が停滞してしまうことはよくあることです。
一方でサクッと仮説を立てて、「なんとなく合ってるっぽいから」という理由で検証を怠ったまま進めてしまうと最終的なアウトプットが残念な結果に終わってしまうこともままあります。

これらの事態を避けるためには、サクッと仮説を立ててサクッと検証する。そして検証結果を踏まえて仮説をブラッシュアップしてまた検証する。このサイクルを繰り返すことがカギだと思います。
だれも正解を知らない・わからないからこそ、スピーディーに繰り返していくことで今まで得ることのできなかった知見や発見をすることができ、仮説の強度が上がっていくのです。

新しい仮説が設定されたところで、今回はここまでにしたいと思います!(毎度長くなってしまい申し訳ありません…)
次回はいよいよ具体的なアイデアを紹介するお話です!課題仮説に対してデザイナーとしてどんなことができるかをみんなで考えました。
お楽しみに。

※掲載内容はFLAGSメンバーの見解であり、富士通グループを代表するものではありません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?