見出し画像

[5] 動画生成AIで自主映画制作は可能か? - Blog 2023/12/08

「動画生成AIで自主映画制作は可能か?」シリーズの第5回目です。


映画制作プロジェクトの概要:

  • 生成AIが今後クリエイティブ業界に与える影響を検証する目的で実施

  • 最長2分20秒のビデオプロトタイプを制作する

  • ストーリー構築からビジュアルデザイン、映像制作まで全てのプロセスで生成AIを活用する(※サウンドのみAdobe Stockからライセンス取得)

  • 生成AIを最大限に活用して「1人」で制作する

  • 生成AIポリシーを遵守する

画像生成AI Prompting 方針(10月に更新):

  1. プロンプトに作家名や作品タイトルを入れない(映画監督の名前や映画タイトル、登場人物、俳優の名前等も同様)

  2. プロンプトに著名人の名前やブランド名などを入れない

  3. 他人の著作物を Describeしない

  4. Nijiモデルの生成画像は自分の作品として公開しない

  5. 生成した画像は作品の素材として利用する

  6. 公開する場合はAIで生成したことを表記する



動画生成AIはCreativeCopilot

映像制作の世界は、常にデジタル技術の影響を受けてきましたが、2024年以降、動画生成AIがその新たな波となって、映像業界の根底から変革をもたらそうとしています。
2025年には、プロ仕様かつ保障プラン付きの安全に利用できる「エンタープライズ版・動画生成AI」が登場し、映像制作業界に大きな変革が訪れることが予想されます。この技術の進化により、映像制作のコストは大幅に低下し、小規模な制作チームや個人クリエーターも、これまでにないクリエイティブな映像を制作できるようになるかもしれません。

プロ仕様の動画生成AIは、コンシューマ向けの生成AIサービスとは異なり、映像クリエーターのアシスタントとして機能し、創造的なプロセスをサポートする「CreativeCopilot」になっていくでしょう。クリエーターの仕事を丸ごと奪う脅威ではありません。

映像クリエーターをサポートするGPT等のCreativeCopilot
2023年12月8日現在のベストプラクティス
※技術進化が速く数週間で一変する可能性がある

Runway Gen-2は登場してまだ半年経っていない動画生成AIですが、月単位で品質が改善され、動画生成を制御するUIを実装し続けています。
まだプロ仕様の品質ではありませんが、この進化のスピードが続くなら、2025年にはプロの要求に対応できる技術になり得ます。

生成AIサービスの歴史 (一部抜粋)

生成AIの普及によって、映像制作に関わる職種やスキルセットの変化をもたらし、業界全体の適応を促進することになるはずです。

  • 再生時間:27秒
    Runway Gen-2による生成ビデオ
    まさか年内にこのレベルの生成が可能になるとは思っていませんでした。
    ※音楽が流れます(Music: Adobe Stock #399520090)


創造力の強化

動画生成AIは映像クリエーターの創造力を強化するツールとしての可能性を秘めています。未想像のビジュアルやアイデアをAIが提案することで、クリエーターに新たなインスピレーションを与えることができます。

想像してみてください。子どもの頃に目を輝かせながら観た怪獣映画や時代劇のシーンが、再び命を吹き込まれる瞬間を。動画生成AIの進化は、まさに私たちの記憶や夢を、現実のものとして具現化する魔法のようなものです。
その昔、心を奪われた怪獣たちの咆哮、武士たちの華麗な剣技、それらのシーンが今、新たなテクノロジーによって息を吹き返します。

prompt:

film still, Ninja close-up, Japanese Ninja Movies of the 1960s, samurai, Old Japanese Period Drama --ar 16:9 --style raw

Midjourneyによる生成画像

Giant Monsters, film still, Japanese Ninja Movies of the 1960s, Old Japanese Period Drama --ar 16:9

Midjourneyによる生成画像

film still, Japanese Ninja Movies of the 1960s, Old Japanese Period Drama --ar 16:9 --style raw

Midjourneyによる生成画像
After Effectsで生成されたビデオを編集


完遂率の低い自主制作の世界を変える!

子どもの頃、私たちは画面を通じて、無限の想像力を育んできました。巨大な怪獣が街を破壊し、スーパーヒーローが格闘する姿に夢中になり、時代劇では武士たちの勇敢な戦いや、ドラマチックな物語に心を奪われました。映画はただの娯楽ではなく、私たちの夢や創造の源泉となり、クリエイティブな世界へと導いてくれたと言ってよいかもしれません。

自分の頭の中にある昭和時代の特撮映画の漠然としたイメージをRunway Gen-2で再構築してみました。

  • 再生時間:16秒
    Runway Gen-2による生成ビデオ

補足:
複数の動体要素があると品質が低下しますので、Photoshopの生成AIを使って除去するのですが、以下の場合は「水の表現」を付加することで回避しました。このシーンは上記の16秒の動画に含まれています。

画像のプロンプト(Midjourney用):

Giant Monsters, film still, Japanese Ninja Movies of the 1960s, Old Japanese Period Drama --ar 16:9

「荒れている海と水しぶき」のプロンプト(Runway用):

Rough sea and splashing water

「吠えるモンスター」のプロンプト(Runway用):

Howling Monsters

Midjourneyによる生成画像

補足:
以下は生成バリエーションですが、何度実行してもRegionでは人物を除去できなかったので、DLした生成画像をPhotoshopの削除ツールで消しています。

Midjourney 5.2

実写やアニメーション、3DCGでは手間がかかりすぎて、低い完遂率だった「自主制作/個人制作」の世界で大きなブームになる可能性があります。1990年代前半のマルチメディアコンテンツや2000~2010年前後のFlashアニメのように新たなクリエイティブカルチャーを生み出すかもしれません。
いずれにしても商業映画より、早く動き出すはずです。


当然、動画生成AIのリスクも…

この技術革新の波は、権利侵害やフェイク動画の生成といったリスクも含んでいます。生成された映像が既存の作品の著作権を侵害する可能性、また、生成AI技術を悪用した虚偽の情報の拡散も懸念されます。
これらのリスクは、法的および倫理的な課題を映像制作業界に投げかけ、新たな規制やガイドラインの必要性について議論することになるでしょう。

すでに議論が進んでいる画像生成AIより、大きな問題として扱われる可能性もあり、黎明期の現在、想定できるシミュレーションは積極的に続けていきたいと思います。
エンタープライズ版・動画生成AIを提供する企業は、安全を優先したサービスの設計に着手しており、業界やコミュニティとの密接な関係を築きながら、慎重に進めています。

ディープフェイクの議論は5年以上続いており、かなり蓄積されていますので、参考になります。商業デザイン(コマーシャル等)に活用されている事例もありますので、その後の反響や賛否についても確認することができます。

私の役割は、クリエイティブツールとしての生成AIの検証なので、法的・倫理的な課題にも目を向けながら、実制作を中心に引き続き活動していきたいと思います。



動画生成AIの可能性」マガジンをフォローしておくと、最近記事・最新情報の通知が届きます。


更新日:2023年12月08日(金)/公開日:2023年12月08日(金)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?