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[1] 動画生成AIで自主映画制作は可能か? - Blog 2023/11/17

現在は過渡期、最先端の技術を最も楽しめる時期

動画生成AIの最大の魅力は、プロフェッショナルが集結する商業映画制作とは異なり、個人のクリエイターが完全に自分自身のビジョンを追求できることにあります。
商業映画では、多くの場合、様々な制約や複数のステークホルダーの意見を考慮しなければなりませんが、動画生成AIを活用することで、これらの制約から解放され、純粋に自分が作りたいものを作ることができます。

個人の映像クリエーターにとって生成AIは、制約を乗り越え、新しいアートフォームの実験場となることも重要です。
自主制作映画における生成AIの役割は、単に技術的な問題を解決するだけでなく、クリエイターの創造力を拡張し、新しい表現の可能性を開くことにあります。

  • アイデア段階のイメージの映像化(低忠実度のプロトタイプ)

  • 再生時間:23秒

画像生成AIや動画生成AIは、確かに人間の手や指、関節、大胆なアクション、群集シーンなどの表現に課題を抱えていますが、現在の技術レベルでも十分に自主制作映画の制作は可能です。
重要なのは、これらの技術の限界を理解し、その中で創造的な解決策を見つけることです。

たとえば、手の表現が難しい場合、それを隠すアートディレクションや、シンボリズムを用いた抽象的な表現を取り入れることができます。
また、群集シーンが難しい場合は、クローズアップや個別のキャラクターにフォーカスを当てることで、より深い感情表現を引き出すことも可能です。

従来の方法では難しかった独特なビジュアルスタイルを生み出すことができますので、映画の視覚的な魅力を高めることが可能です。

現在は過渡期であり、この時期の試みには実験的な要素を多分に含みます。何でも楽しめる期間であり、当たり前の技術になるまでの貴重なトレーニングになります。


実用的な動画生成AIは2年後の2025年ではないか

実用的な動画生成AIの実装時期をコンシューマー向け「1年後」、プロ向け「2年後」と考えていますが、Gen-2の技術進化の速さを考慮すると半年くらい早く実現する可能性もあります。

生成AIサービスの歴史 (一部抜粋)

2年後の2024年には、使い慣れているAdobe Premiere Proなどの映像ツールに実装されるのではないかと思っていますが… どうなるか…
今回のプロジェクトで使用している動画生成AIは、Runway Gen-2ですが、利用可能になってから「まだ5か月」しか経っていません。


現在の動画生成AIのレベル

Gen-2が利用可能になって、まだ半年も経っていませんので、現在の技術を詳細に評価することはできませんが、明らかに「ガチャをまわす」回数が減っています。つまり、少しづつ制御可能になっているということです。

Adobe Fireflyでシーンのイメージを生成
Runway Gen-2でビデオ生成

Adobe Fireflyで生成した画像をRunway Gen-2でビデオ生成していますが、表情などはテキストプロンプトで指示しています。

  • 再生時間:20秒

Adobe Expressの簡易ビデオ機能で編集して、イメージプロトタイプを仕上げています。
このプロセスは、ラフスケッチを描くようなアイディエーションであり、Adobe ExpressやCanvaなどの簡易的なビデオ機能で十分です。
紙にたくさんスケッチを描くような作業です。

Adobe Expressでビデオ編集


子供の頃から抱いてきた壮大な映像世界の具現化

以下は、先週末に完成したミュージックビデオのプロトタイプです。
シーン映像は全て、生成AIによるビデオです。

  • 1分40秒

  • Music : Never Your Friend (Adobe Stock 533372738 )

  • 制作時間 : 約38時間

ミュージックビデオの制作プロセスの詳細は、今月の25日に予定している以下の報告会で解説します。

プロフェッショナルのチームワークや膨大な予算がなければ実現不可能だった映像制作が、動画生成AIによって個人の手の届く範囲に入ってきました。自分だけの独特な世界観を「映像」という形で表現することが可能になったと言えるでしょう。

次回に続く。


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更新日:2023年11月19日(日)/公開日:2023年11月18日(土)

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