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詩 夏の日

新しい季節を繋ぐ雨

湿度の向こうに待つ日差し

焼ける季節の産声が
煙る青へと伸びていく

照り返しに焦げ付くアスファルト

萌える緑の深い色

雲は高く空を登って
あの夏の日をなぞっている

グラスに転がる氷の音色
立ち昇る泡が弾けゆく

焼きつける日差しを避けた部屋には
積もる冷気と蝉の声

止むことを知らない合唱は
傾く日差しと共に音色を変えて
熱の移ろいを報せてる

次第に染まる茜空
故郷の歌が伸びていく

街に色引く西陽の朱は
熱った世界の予熱のように
次第に青を差しながら
茹だる景色を染めていく

夜を呼び込むぬるい風
夕食の匂いと湿度をさらって
沈んだ世界を駆けていく

窓際に垂れる涼しげなチャイムが
季節の音を鳴らしたら

花火の匂いが香り立つ
溶けるようないつかの夏が
月鈴子の音色の海で
再び確かに灯される


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