大成功も大失敗も経験してわかったこと。燕三条のMakuakeが成功している理由
金属加工のまち新潟県燕三条からMakuake発のヒット商品が相次いでいます。特に企画からデザイン、物流まで自社内で行っているアーネスト株式会社と、ニューワールドが制作として今までご一緒したプロジェクトはなんと16個!なかには最高記録1億円超えのヒット商品も。
今回はアーネストの外川さんにMakuakeを始めたきっかけや、プロジェクト実行者としての苦悩など、Makuakeのページ制作を担当したニューワールド株式会社のメンバーが聞いてみました。
プロフィール
◎外川芳伸さん
アーネスト株式会社営業部2課にてMakuakeプロジェクトを担当。ヒット商品を自らの手で提案し、商品をつくり出す社員全員参加による商品提案会議を毎月1回行い、それぞれの考えたアイデアを発表します。アーネストでは、 社員全員が商品企画者です。
◎金子昌平
ニューワールド株式会社取締役。産地へ足を運びMakuakeプロジェクトにあったアイテムを発掘しています。新潟で好きな食べ物は「燕背脂ラーメン」。
◎木山美波
ニューワールド株式会社広報。Makuakeではライティング・モデルを務めています。ライフスタイルや健康・美容のプロジェクトが得意。新潟の日本酒は「上善水如」が好き。
◎吉野聡子
ニューワールド株式会社クリエイティブディレクター。Makuakeプロジェクトの制作チームをまとめあげるリーダーです。民藝と旅が好きで、新潟の「スパイス研究所」に行きたいそう。
メーカーとして。Makuakeをはじめた2つの目的
ニューワールド木山(以下、木山):ニューワールドがプロジェクト制作をお手伝いしてきた中でも最も実行回数が多く、大成功と失敗と両方の経験を持っている類稀なるパートナー。今回お話を聞ける機会に、ワクワクしております。早速今日までの軌跡を振り返っていこうと思います。
まずMakuakeを始めるきっかけって、なんだったのでしょうか?
アーネスト外川さん(以下、外川):Makuakeを始めたきっかけは、2つあるんですよね。
1つ目はメーカー業として市場にマッチするかテストしたい。
2つ目は燕三条をもっと知ってもらいたいという思いです。
第1弾はホーロー製品を行いました。燕三条といえばステンレス産業として有名ですが、じつは「ホーロー」も素晴らしいものを持っています。職人さんが一つひとつ手仕事で加工するホーローをぜひ多くの人に知ってもらいたいと、産地のPRとして考えていました。
※ホーロー:金属素材の表面にガラス質の釉薬を高温で焼き付ける加工のこと。
木山:Makuakeはどうやって知ったのでしょうか?
外川:ネットで検索して知りましたね。そしてニューワールドが制作の支援をしていることもネット知って、問い合わせたという感じです。
木山:ありがたいですね……。ちなみに商品開発ってどういうフローで進んでいるのでしょうか?そもそも社内でMakuake担当って外川さんだけですか?
外川:私とアシスタントのふたりですね。毎日のように商品のアイデアが降りてくるので、アシスタントと一緒に選んで商品開発してMakuakeでテストしています。
木山:社内で年間の目標とかはあるのですか?
外川:今はないですが、今年うまくいった製品を来年に向けて量産をスタートしたり、Makuakeでの勝ち癖がわかってきたので、来年はMakuakeプロジェクト自体をさらに年間スケジュールに落とし込んでやる予定です。メーカーとしてMakuake発のプロダクトで、数億円規模の売り上げを見込んでいます。
全てうまくいくわけがない、失敗もあるから成功もある。
木山:今でこそヒット商品を連続しているアーネストさんも、Makuakeをはじめた最初のプロジェクトは、残念ながら目標を達成しなかったんですよね。
外川:そうですね、はじめはホーロー製品。次に洗剤を出してみて、3つ目から「Makuakeのために選んだ商品」を出し、これがヒットしました。
木山:Makuakeにはアウトドア好きの方が多いので、「ソーラーランタン」はやはり刺さったか……という。Makuakeでの初の成功例でしたね。しっかりMakuakeのターゲット層にリーチできました。
外川:そうですね。ここから一気に波がきましたね。今までの2プロジェクトに目を瞑って走れたというのは大きかったです。
継続することで商品企画の精度から上がってきたし継続は力だなと。
初回で空振りしたが1つだけだと失敗して諦めていたら、ニューワールドのクリエイティブの素晴らしさを体験できなかったと思います。1回目2回目あたりはまだまだわからない。3回目以降成長でしていける実感がありました。このプロジェクトから来期に向けて戦略的に数字をイメージできるようになりました。
累計1.4億円超!奇跡の「SAWAWA」シリーズ
木山:今あるものを買い替えずに使えるマイクロファインバブルのアダプタ「SAWAWA」シリーズは想像を超える大ヒットでした。何個あっても困らない物や、持っていないけれど、これから必要になる物がMakuakeでは求められていると思っていますが、今あるものをアップデートできるアイテムにも需要があるなと感じました。
外川:シャワーアダプターは奇跡的だったと思います。マイクロファインバブル製品は、アーネスト的には新しい商品ではなく、会社の常識であって世の中にはまだなかったんですね。だから正直あんまり売れないと思った。
ですが他社がちょうど「マイクロファインバブルのシャワーヘッド」のテレビCMを始めたり、世の中のがコロナの影響で「おうち時間」需要や癒しを求めていたりというタイミングも大きかったと思います。
Makuakeのために作った洗濯機用も大ヒット
外川:先ほども申し上げた通り「マイクロファインバブル」の製品自体は新しものではありません。ただ洗濯用は自信がありました。
Makuakeでシャワーアダプタを買って下さった方から「洗濯用はないのか」と問い合わせがあり、Makuakeのためにスタイリッシュなデザインに変えたものを新しく開発しました。
インテリアを損ねない、おしゃれさ。今まではプラスチック製のジョイントパーツだったので、全く新しい商品として生まれ変わったと言えます。
ニューワールド吉野(以下、吉野):「SAWAWA」もエビデンスはあるもののMakuakeではエビデンスの掲載が難しい商品だったので、実験コンテンツなど盛り込んでいます。アダプタだけみても決して伝わらないので、検証実験のクリエイティブは必須でした。
外川:シャワーは直接本人が実感できるもの。でも洗濯用は洗濯物がきれいになる物で、自分に降りかからないのでどう転ぶかわからない。とマクアケの方にも言われましたね。
紙媒体などでは機能押しでイメージのつかない物が多い中、Makuakeではニューワールドらしさが溢れる利用シーン推しでしたね。SAWAWAに対してユーザーもイメージがつきやすかったのだと思います。
Makuakeで売れる商品のつくり方
金子:デザインだけではなく機能性や価格帯、新規性の打ち出し方などもよかったと思います。どうしても機能性がメインにメーカーは考えているが、新規性やストーリー性などいろいろな軸を一緒に考えています。
例えば「ダブルファイバー&槌目のフライパン」
外川:これは業界的には新しくない当たり前な製品なので金子さんが「これいいですね」と言ったときは「本当にいいんですか?」と聞きました(笑)ダブルファイバーとか槌目は知られていないと思ったので、表記しがいがないと。
金子:Makuakeでフライパンは人気のアイテムです。鋳物フライパンが主流だったので、これはさらに売りやすいと感じました。Makuakeをやればやるほどわかってくるのですが、機能性だけでは売れないんですよね。
制作面では、動画・写真・テキストなどのコンテンツを、商品企画から携わっているからできるクオリティを提供しています。マクアケの特徴である「応援購入」を重視することでファン化させるコンテンツが重要なんです。
木山:そうですね。写真やライティングの見せ方についてすこし補足説明すると、意識していることが大きく分けて3つあります。
1つ目は24時間365日を意識した利用シーン
24時間でどれだけこのプロダクトでインプレッションを取れるか、シーンを深掘りするのがニューワールドのお仕事かなと。自分の暮らしにも取り入れやすそうだと敷居を下げるよう、モデルも使ってシーン写真を多めにしています。「24時間のうち何秒が変わるのか、365日だったらこれだけ生活や人生が変わるよね」みたいな発想はいつも意識していますね。5W1Hを意識した商品開発と似ているかもしれません。
2つ目は機能性データや実験の視覚化。
機能性については燕三条の技術力は間違いない。
ですが検証データや権威付できる資料、実験のGIFアニメーションは用意できると最高ですよね。
そして魅力が専門的すぎて伝わらなかったり、職人さんたちにとっては当たり前すぎて「すごい」って思っていなかったりすることが多々あるので、話を聞いて翻訳していく感覚はあります。
あとは数字をなるべく具体的に見せる。例えば「軽いって何と比べて?比較実験してみよう!」とか。いただいたデータを視覚的に見せる工夫はかなり試行を凝らしています。この部分に関しては、デザイナーの力量も大きいです。
3つ目は「社会的文脈」
Makuakeは「応援購入」という文化があります。どういう人が作っているのか顔が見える、作っている背中を見せることが大切なんです。個人的にもMakuakeにかぎらず、意味のある消費がしたいと思っていて。「私自身の消費がこの人の背中を押しているんだ」って思って納得して買うと愛着も違います。ファンになってもらえるようなコンテンツを惜しまず載せることが、会社や製品にとっての資産になる。
金子:マーケティング面で行くと、プロジェクト初動の拡散協力をはじめ、プレスリリースの配信やインフルエンサーへの依頼なども場合によってサポートしています。
木山:そうですね。リリースの問合せでよく褒められるのがコピーと写真です。特にサムネイルやタイトルには最も細心の注意を払っています。大量のプロジェクトがあるので、埋もれないように画像の大きさや文字の強さ、そしてメディアの方が使いやすいような写真の撮り方も意識しています。
テレビ取材などが入るとプロジェクトの達成率が上がるので、テレビで使えそうな見せ方なども意識して制作しています。
商流が変わった。Makuakeユーザーの声が商品開発の起爆剤に
木山:実際にいちユーザーとしてMakuakeでお買い物をして、SNSに投稿したりするのですが、結構実行者の方からDMいただいたり、コメントいただいたり……みなさんきちんとされていて。相互に交流があるのも新鮮なのですが、メーカーとしても流通の仕方が変わったと感じることはありますか?
外川:Makuakeをやってみて思うのは、バイヤーさんの判断で導入されなかった商品が売れるということです。
直接お客さんにご案内できるD2Cのプラットフォームだなと。
いいも悪いも直接サポーターからご要望がいただけるので、商品開発の参考になります。
テレビや紙媒体など全ての媒体からのお問い合わせを、アーネストでは品質管理部で対応しています。特にMakuakeのお客様は問い合わせの内容の質が高く、商品への理解力で形成されているなと。
問合せの内容の質というのは、「こうやったらいいのでは?」というアドバイスが実際多いんです。
「第2弾あるんですか?」「次は第3弾でXXX用いかがですか?」と商品開発の起爆剤になっています。
木山:あ〜確かに「第3弾でXXX用」は需要ありそうです。
外川:Makuakeはお客さまとのやりとりを唯一肌で感じられる販売チャネル。商品開発を行うメーカーとしてありがたい限りです。
今までの流通だと卸が入るため、どのお店に自分たちの商品が出ているか分からず、消費者の声も拾いにくかったのです。
しかし今では直接フィードバッグをいただけるので商品開発の仕方、流通の仕方の変わり目にいると感じています。
直接お客さまにお届けできることのメリットとして、値付けも勉強になりました。通常の流れだと商社さんのマージンがどうしても発生するので「超えられないお値ごろ感」があり、Makuakeによってこの壁を超えられました。
さらにメーカーとして挑戦するためにMakuakeを活用しています。世界中から愛される京都のオムライスをおうちでもと「ザ・洋食屋 キチキチ」完全プロデュースのオムライス専用フライパンは、初めてお店で体験してもらえるリターンも追加しました。
キチキチのオムライスパンはオムライスを作って食べるだけではなく、誰かに喜んでもらいたい。物ではなくて想いやコト商品。ものづくり企業なので、体験型のコンテンツという自分たちが苦手なコトに挑戦しレベルアップできました。
Makuakeをやった結果、海外からの問い合わせも多く、来年はニューワールドさんと共に海外市場も狙っていきたいと夢が広がっています。
金子:SAWAWAシリーズとオムライスパンは、海外のユーザーから問い合わせがきているのでクラウドファンディングしたい。海外でも奇跡を起こしましょう。
木山:最後にMakuakeでうまくいく秘訣を3つあげるとすれば、何にしましょう?
外川:商品企画の精度・技術力・発信力。MakuakeはPRとしても力があるし、ターゲットが絞られているので見せ方や開発もしやすいです。ハマる商品をどんどん出していって、ヒットしたら大量生産へGOを出し、国内や海外市場へというサイクルが生まれています。
お客さまの声を商品開発に活かして、一緒にいいものづくりにチャレンジ行けたらと思います。
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