Beastie BoysからMigosまで。3MCグループ9選
東京のヒップホップコレクティヴのONENESSがリリースしたシングル「Satuday Night Special 2」のプレスリリース文章を担当しました。各種配信サイトで聴ける・ダウンロードできます。
東京・平和島発のヒップホップコレクティヴのONENESSが新たなアルバム「Original ONES」のリリースをアナウンス。同作からの先行シングル「Saturday Night Special 2」を8月20日(火)にリリースする。
ONENSSはラッパーやビートメイカー、アートワークなどを手掛けるクリエイターなど多彩な面々を擁するコレクティヴ。MVTENとstz、7AWERAの異なる個性を持つラッパー三人のスキルフルなラップをトレードマークに活動している。2022年にはアルバム「RARE COIL」をリリースしているほか、各メンバーのソロ作やDJミックスなども多く制作。さらに音楽だけではなくアパレルなども手掛け、DIYなスタンスで様々な角度で表現を行っている。
新曲としては2023年の「Autumn Follow」以来のリリースとなる今回のシングルは、メンバーのPhaze1992がビートを制作したブーンバップ系の一曲。勇壮なホーンを使ったビートに乗せ、「試練の門」をテーマに新たな章に突入しようとする現在の心境をラップしたものとなっている。また、曲の後半ではメンバーのS2がキレのあるスクラッチを披露。Phaze1992のONENESS加入後の初アルバム「Colors」に収録された「Saturday Night Special」の声ネタを挿入している。
なお、配信リリースと同日にMVの公開も予定されている。
以下、ONENESSフロントマンのMVTENよりコメント。
ONENESSはビートメイカーやDJ、フォトグラファーなど多彩な面々を抱えていますが、ラッパーは現在3人体制です。そこで今回は、ヒップホップ史を彩ったラッパー3人のグループを9組選びました。
Beastie Boys
NYのラップグループ。
パンクバンドからヒップホップに移行した三人組で、越境的なサウンドと前のめりなラップで1980年代から活躍しました。ラップロック的な文脈の初期の例の代表格です。
また、サンプリングされる機会も多く、1986年作「Licensed to Ill」収録の「The New Style」の声ネタはTravis Scottなどが使用しています。
De La Soul
NYのラップグループ。
自由なサンプリングのセンスとナーディな佇まいで、後進に大きな影響を与えた重要グループです。Pファンクやメロウなネタ使いの曲もいくつか残しており、それだけ拾えばG好きの方でも楽しめます。
DJ Screwのミックスに収録されたり、Devin The DudeやCee-Lo Greenなどと共演していたりと南部との縁もあります。NYヒップホップファン以外の方も楽しく聴けるグループです。
Do Or Die
シカゴのラップグループ。
脱力感と歌心のある高速ラップを、まったりと妖しいシカゴ流Gサウンドに乗せて聴かせる音楽性です。1990年代から活動するベテランで、代表曲はTwistaとJohnny Pをフィーチャーしたメロウな「Po Pimp」。
なお、TwistaとDo Or Dieはシカゴの西部出身ですが、Sabaも同郷です。彼らが築いたシカゴのチョッパー・スタイルは現在も続いています。
Fast Life Yungstaz
アトランタのラップグループ。
2000年代後半に盛り上がったサブジャンル、「フューチャリスティック・スワッグ」の代表的なグループです。トラップとスナップ、ロックを陽気にミックスしたスタイルで、シングル「Swag Surfin'」がヒットしました。
ちょっとコミカルな味のある歌も織り交ぜたラップは、今聴くとYoung Thug前夜の味わいがあります。
Federation
ベイのラップグループ。
高い声のキレのあるラップ、低い声のイナタいラップ、ダミ声のブチカマシ系と異なる三人が見事なコンビネーションを聴かせるグループです。「別冊ele-king ヒップホップ誕生50周年記念号」でも2007年作「It's Whateva」が掲載されています(レビューは私が担当)。
2000年代半ば頃から活動し、ベイのヒップホップのサブジャンル「ハイフィ」のシーンを盛り上げました。低音のイナタいStresmaticは現在も客演で活躍中。
Grit Boys
テキサスのラップグループ。
2000年代前半に登場し、イナタくコクのあるラップスタイルとSwisha House的なサウンドで一部マニアの人気を集めました。
2007年のアルバム「Ghetto Reality in Texas」には、グライム畑のDizzie Rascalやパンク畑のTravis Barkerなどが参加。しかし別に越境的ではない音楽性で不思議なセンスを放っていました。名盤です。
The LOX
NYのラップグループ。
グループでの動きよりもメンバー個々の動きが目立つ三人ですが、集まった時にはならではの輝きがあります。正統派二人とラフなスタイル一人のバランスの妙です。
2000年作「We Are The Streets」での道と一体化したアートワークは、ヒップホップ史屈指の名(迷?)ジャケだと思います。
Migos
アトランタのラップグループ。
史上最高のラップトリオを選ぶとしたらMigosを挙げる方も多いのではないでしょうか。2010年代前半にブレイクし、三連フロウをトラップビートへの乗せ方の基本として定着させた偉大なグループです。
歌心のあるQuavo、迫力ある低音のTakeoff、スキルフルなOffsetと同じスタイルのようで違う持ち味があります。
Westside Connection
西海岸のラップグループ。
1990年代半ば頃から2000年代半ば頃にかけて活動し、武骨なラップで西海岸ヒップホップのタフな側面を見せたグループです。
Ice Cube、Mack 10、WCの三人組で、グループとしての活動が止まった後もIce CubeとWCはたびたび共演しています。
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