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人生で2度の就職氷河期を乗り越えた男が語る就活の方法について

新型コロナウイルスの影響により、2020年の就活生は大変なんだろうと想像しています。実際に、就職セミナーなどの開催が中止になっているなどの話題がニュースで取り上げられています。ネガティブな話題が取り沙汰され、不安な気持ちでいっぱいな学生も多いと思います。

でも、こんな時代でも希望した会社に就職する人はいます。
どうしてなんだろう?と思いますよね。
私は2度の就職氷河期を乗り越えた男として、その時の方法をお伝えしたいと思います。

人生で2度の就職氷河期について

(1)1度目の就職氷河期について
そもそも、私は「就職氷河期世代」と言われる年代です。私の時代の就職氷河期とは、内閣官房長の「就職氷河期世代支援プログラム(令和元年6月21日)」によりますと、就職氷河期世代とは、次のような世代のことを言います。

現在、30 代半ばから 40 代半ばに至っているが、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代であり、その中には、希望する就職ができず、新卒一括採用をはじめとした流動性に乏しい雇用慣行が続いてきたこともあり、現在も、不本意ながら不安定な仕事に就いている、無業の状態にあるなど、様々な課題に直面している者がいる。

池井戸 潤(いけいど じゅん)先生の作品にもある半沢直樹シリーズの「ロスジェネ世代」です。この世代がどれだけ大変だったかは、半沢直樹シリーズにお任せしたいと思いますが、実際に厳しい時代でした。

しかし、私事ですが、そんなことも全く知らずに、第一希望の会社に内定をもらいました。地元で一番大きい会社です。コネなどはありませんので、勘違いはしないでくださいね。

(2)2度目の就職氷河期について
私は公認会計士ですが、なんと2度目の就職氷河期は、公認会計士試験に合格した後の就職の時です。想像がつかない方もいると思いますが、まずは公認会計士になるための流れを説明します。日本公認会計士協会のホームページにまとまっているものがありましたので、引用します。

公認会計士試験(短答式試験、論文式試験)に合格し、2年以上の業務補助等の期間があり、一般財団法人会計教育研修機構が実施する実務補習を受けて日本公認会計士協会による修了考査に合格した後、内閣総理大臣の確認を受けた者は、公認会計士となる資格が与えられます。
公認会計士として開業するためには、公認会計士名簿に登録し日本公認会計士協会に入会することが義務付けられています。

この様な流れになりますが、現実的には、公認会計士試験合格後に、一般的には「監査法人」という公認会計士などが多くいる組織に就職し、そこで実務経験などを積むことになります。多くの方が、この組織で実務経験を積んで、「公認会計士」の資格を取得します。

この一般的な流れが、私が公認会計士試験に合格した時代には、崩壊しました。
いままでは、公認会計士試験にさえ合格すれば、当然の様に「監査法人」に就職することになっていましたが、公認会計士試験合格者の数と監査法人で採用する人数のミスマッチが発生しました。つまり、監査法人の採用枠を遥かに上回る公認会計士試験合格者の数になりました。原因などは色々とありますが、それは今回の話とは別なので割愛しますが、とにかく、あの難しい試験に合格した人たちが、本来の流れである監査法人に入ることができない事態が起きました。合格者の約40%の人しか、監査法人に就職できなかった、と伺っています。

たった40%ですよ!

私の仲間は、「人生を賭けて、難しい試験に挑戦したのに、なんで監査法人に就職できないんだ!」と叫んでいました。私も、会社を退職して、公認会計士試験に挑戦しましたので、その気持ちは痛いほど分かります。

しかし、私は監査法人に就職しました。
しかも、希望先です。

就活はマーケティング力が試される

「どうやって、2度の就職氷河期を乗り越えたのか?」という問いに対して、私は「マーケティング力を駆使したから。」と回答します。

マーケティングは、少し広い概念になりますので、今回は大前研一さんが考案しました「3C分析」を利用しながら説明します。

3C分析とは、「Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)」の3つを利用した分析方法になります。頭文字の3つのCをとって、3C分析と言います。3C分析の詳細の説明は、ここでは割愛するとして、この3C分析を利用した就活方法をお話しします。

3C分析を就活にあてはめてみると、

Customer(市場・顧客)は「内定をとりたい会社」
Competitor(競合)は「自分以外の就活生」
Company(自社)は「自分自身」

です。

それでは、具体的に見ていきます。

(1)Customer(市場・顧客):「内定をとりたい会社」
まずは、内定をとりたい会社の分析をすることが重要です。
当然のことですが、徹底的に会社のことを知る必要があります。
会社のホームページを読み込むのは当たり前のこととして、会社のことが掲載されている新聞記事、雑誌の記事や業界固有の情報誌なども読むことをオススメします。また株式上場している会社であれば、有価証券報告書などを読むのも良いかもしれませんね。たぶん、何を書いているか理解することは難しいですけど、色々と調べながら読むと、すごく勉強になりますので、やってみてください。

後述することになりますが、就活に勝利するためには、Competitor(競合):「自分以外の就活生」に対して差別化を図る必要があります。他の就活生が知らないことを知っていることで差別化を図ることができます。

例えば、エントリーシートの志望動機などに、他の就活生が書いていないようなことを書くだけで、人事担当者が「お!よく調べてるな!」となります。また、面接などの際に、「〇〇という業界新聞で、〇〇という記事を見ました。このことについて、興味がありますので、どのようなことかをご説明していただけますか」などといった鋭い質問をすることができます。

この例え話を見ているだけで、内定をもらえる気がしませんか?

少し余談にはなりますが、過去に何人かのエントリーシートを添削したことがありますが、みんな同じことを書きます。志望動機では御社の〇〇に興味があり、自己PRでは大学時代は〇〇部で頑張りました、〇〇サークルで協調性を学びました、などです。

正直、みんな同じなので、誰と面接して良いかすら分かりません。
じゃあ、みんなと面接するかと言ったら、それは無理です。
人事担当者も暇ではありません。

「あんなエントリーシートだけで、あんな面接だけで、私のことを理解できるわけがない!」という文句を聞きます。
私が考える回答は、「そうです、あなたのことは、わかりません」だと思います。
だって、エントリーシート数枚と数十分の面接だけで、理解することができるわけがないじゃないですか。
みなさんだって、同級生全員のことを完璧に理解することはできませんよね?
知り合いのことだって、全部を理解することができないのに、エントリーシートや面接だけで理解することができるわけありません。

じゃあ、どうすれば良いのか!?というと、徹底的な他者との差別化です。
でも、勘違いしないでくださいね。
いくら他者に真似ができないことを書いても、会社にマッチングしなければ内定はもらうことができませんので。

そのためにも、まずは、しっかりと「内定をとりたい会社」の情報を押さえるようにしてください。また、更なるポイントとしては、「内定をとりたい会社」が、どんな学生を欲しがっているか、という情報もしっかりとキャッチする必要があります。この情報が無いと、エントリーシートに何を書けば良いのか分かりません。
よく、就活は恋愛と同じ、という人もいますが、確かにそうかもしれません。
相手に気に入られるためには、相手が喜ぶことをする必要がありますよね。
ですので、就活でも、「内定をとりたい会社」(=好きな相手)に、内定(=好き)と言ってもらうために、まずはしっかりと相手のことを理解することが必要です。

(2)Competitor(競合):「自分以外の就活生」
正直、ここは、そんなに意識しなくても良いかもしれません。
先ほど述べたように、会社がどんな学生を欲しいかについて把握するこが大事です。
会社が複数人を採用する場合には、バランスよくとると思います。
そのように考えると、そのバランスの中に、自分が入っていれば内定となります。
しかし、自分以外の就活生もいますので、自分以外の就活生のことを想像する必要があります。
例えば、部活で頑張ってきたことを自己アピールで使おうと思っていたら、自分以外の就活生は、どのような人が来るだろうか?その人が、どのようなことをアピールするだろうか?ということを想像することです。

この想像がうまくいくと、自分が何を、どのようにアピールするかが見えてきます。

他人のことは変えることができませんし、相手のことを誹謗中傷するわけにもいきません。でも、「自分以外の就活生」がどんな人たちなのかを徹底的に分析することで、差別化を実現することができます。

(3)Company(自社):「自分自身」
自分自身のことって、意外と知っているようで、知らないことが多いです。
相手から言われて、「そうなんだ」と思うこともありますよね。
受け入れるかどうかは別ですけどね(笑)

まずは、しっかりと自分自身と見つめなおすために、生い立ちから現在までの年表などを作ってみるのをオススメします。
例えば、どの病院で産まれたのか?どんな感じで産まれたのか?また、どんな赤ちゃんだったのか?など、自分では記憶がない?覚えていない?時代のことも整理すると良いでしょう。

また、些細なことでも年表に埋めておくと良いでしょう。
そういうところが差別化につながります。
面接のときに、変わった角度からの質問にも回答できる可能性が高まります。正直、面接で何を聞かれるかは分かりませんので、徹底的に準備をして、話題を引き出しに入れておくことが大事です。アドリブでうまいことを言える方は別ですが、私が知る限り、そういう人は一握りです。多くの人が緊張して、いつもよりも話がスムーズにできないと思います。
おそらく、テレビに出ている芸人さんも事前にネタなどを準備している方もいると思います。準備しているからこそ、アドリブも生きてくるのだと思います。

更に、この年表を詳細に書くことで、意外と自分って、こんなこともしてきたんだ!という発見もあります。
就活生の多くの方が、一番得意なことや思い出に残っていることをエントリーシートに書こうとしますが、私は間違いだと思います。

自分以外の就活生という競合他者がいる中で、一番得意なことや思い出に残っていることで他者に差別化できているかは分かりません。もし、差別化できていなければ、内定はもらえない可能性が高いですよね。また、内定をとりたい会社が採用したい人物像と一致しない場合には、内定をもらえない可能性も高いです。

そのように考えると、やはり詳細に書き出してみて、意外な自分を見つけておくことが大事だと思います。

マーケティングを駆使して、内定をとろう!

色々と書いてきましたが、そもそもマーケティングとは自社の商品などを販売するために利用する概念です。このマーケティングが当たれば、商品は売れます。マーケティングがうまくいかなければ、商品は売れません。

正直、なかなか難しいところもありますが、徹底的に考えて準備をすることで、成功の可能性が高まります。

就活生の皆さんも、将来を決める就職ですので、徹底的に考えて準備を進めてみては、いかがでしょうか。

少なくとも、私は今回ご紹介したマーケティングを徹底的に駆使して、2度の就職氷河期を乗り越えました。私は内定をとったことよりも、自分が行ったマーケティングが当たったことのほうが嬉しいです。そして、おそらく他の学生さんよりも、会社のこと、他の就活生のこと、自分自身のことを徹底的に分析し、エントリーシートを作成したこと、面接に臨んだという自信があります。それくらい言えるくらいやってみるのが大事かもしれませんね。決して根性論を書いているわけではなく、冷静な分析をし、それをエントリーシートや面接で情熱を表現することで内定を取れるものと信じています。

今回の記事が、就活生の皆様にとってご参考になれば幸いです。

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