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権力、権威とは何か

 みなさんの周りに、社長や役員、部長などの上司で、権力のあるポジションにいながらも人望がない方はいないでしょうか。
私は、学生時代にバイトをしている時からそれが疑問でした。それなりの役職に就く人は、それなりに優れていて人望もあるものと思っていました。

 結論から言えば、人望があったり、周りから認められるには、権力に加えて権威が必要ということです。
 権威とは、優れた技術や知識や人徳を持ち、周囲にそれらを認められることですので、会社でいえば、地位に関係なく「あの人が言うのならば間違いない」とか、「この事については、あの人に聞いてその通りにすれば間違いない」という風に思われている人・頼られている人が権威を持っている、と言えます。
 一方、権力とは、能力ではなく地位、ポジションにくっついているものですので、優秀な人であろうが、そうでない人の2名がいたときに同じ地位なら二人の間に権力(権限)に差はありません。極論、お犬様でも地位にさえつけば権力を与えられるのです。肉球印の印鑑も悪くはないですが。

 つまり、権威を持つ権力者は周囲から(本心から)認められます。一方、地位にふさわしくない低い権威しか持たない人、もしくは権威のない人は、周囲から(表面上は従っているかもしれませんが)認められることはありません。ただ、権威があってもモラルや人格に問題があると人望を得ることはできないでしょう。

 分かりやすい例では、大企業の創業者が後継者探しに苦労しますが、権威と権力の関係から考えると原因は明らかです。創業者は両方有しているのに対して、後継者はよほどの事がない限り、権威を創業者ほどは持っていないのです。つまり、後継者が優秀な能力を持っていても周りがついてこない、社員がいつまでも創業者の方を向いて仕事をしているというリスクが大きくなるということです。

 もう少し大きな単位でみると、世襲制の国の指導者で、昔は初代国王や皇帝が後継者に暗殺されたりといったことが起きていますが、これは先ほどの企業と同じです。まず、国を興した初代国王・皇帝が権威・権力を持っていたとします。後継者が十分な権威を持っていない場合、初代国王・皇帝が退任したとしても家臣たちは初代の意見を優先することになるでしょう。こうなると後継者から見ると初代国王・皇帝がいるおかげで家臣は自分の方を向かず国家運営の邪魔になりことから、暗殺、という手段をとっていたのです。
 現代でも、やたらと国の指導者の勇敢さや優秀さを喧伝している場合、権威が足りていないから権威付けをしているということです。ただ、今の世界では偽情報はすぐに見破られますので、成果を盛ってもバレるので逆効果です。また、勇猛さや勇敢さを画像や映像で示そうとした場合、ネットミームとして活躍することになります。

 企業では最初から権威と権力を両方有するのは難しいので、異動して仕事内容が変わったり、昇進したり、転職した場合、いち早く地位に見合った実力を有していることを周囲に示した方が良い、ということになります。
 要は、早く「どんな事でもよいので一目置かれる」というのが重要です。たまに「部下がついてきてくれない」という上司がいますが、部下と話をしたぐらいでは解決できないと思います。手っ取り早いのは、権威を身につければ、自然と部下はついてきます。簡単ではないですが。

 最後に、この記事がみなさまのお役に立てば幸いです。

 


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