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日記:旅行に行ったら何を見る

 友達と京都旅行に行った。私を含めて5人。全員が中学の同級生である。私たちが高校生であるため、未成年だけで泊まることが出来るのかという不安が頭をよぎったが、親の同意があれば宿泊自体はできるらしい。しかし私たちにとっては初めての同級生だけでの宿泊ということもあり、やすいビジネスホテルでも十分に楽しむことができた。

 旅行をする前からどこを観光しようかという話になり、清水寺とその周辺を観光するに到った。
 ネット上のどのサイトにもどのSNSにも観光地として映っているあの辺りに行ってみたいとなんとなくの流れで決まったのだ。

 旅行当日、京都河原町駅から徒歩で清水寺のある方へ向かっていた。
 この京都という街は、私の好きな小説家の一人である井原猛の書く小説の多くで舞台となっている街であり、私にとっては”京都を歩いている”という事実だけで心がはずみ、目的の清水寺に向かうまでの道でも十分に楽しむことができた。
 四条大橋を渡って八幡神社へ向かうまでの道だって、井原の書く「ある夏の真昼の祭典」という小説の中で、主人公の八郎が本作のヒロインである柚木と出会うシーンの舞台として登場している。
(本当にこの通りがあるんだなぁ。。。)と目を輝かせながら歩く私には目もくれずに、他の4人は死んだ目をしながら「早くつかねえかなぁ」とダラダラ歩いていた。

 その後、二年坂や三年坂をまたもダラダラと観光した私たちは、本当にあっけなく清水寺についた。

 400円を払い、清水の舞台として有名なあそこについて、私たちは写真を撮った。私以外の4人は街の風景や清水寺自体を写真に収めていた。

 こういう時、私は風景の写真を撮らない。なぜなら、その程度のアングルの写真なんてインターネットに腐る程転がっているからだった。
 それでも友達たちは、そこで目を輝かせながら、ネットの写真と全く同じ構図の写真を撮っていた。

 旅行って、結局何してるんだろうとこの旅行を通じて思った。

 私が京都に行きたかったのは、井原猛の小説の舞台になっている街をこの目で見たいからという理由だった。友達等にとっては何が目的で京都に来たのだろう。
 三年坂のお土産屋さんはどこのお店にも同じような商品のみが並べられていた。京都駅にもあったぞ、この八つ橋。

 京都にしか無いのかもしれないけれど京都にならどこにでもあるお土産を見て、
 京都にしか無いのかもしれないけれどインターネットに転がっている風景を見て、
 それをあたかも当たり前のように享受する友だちを見て、私はどこか違和感を覚えた。

旅行の目的って、なんなんだろう。と考えることができた旅行だった。

夜のホテルは最高だった。

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