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ほのぼの怪異

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現代に生きる怪異たちの、ちょっと笑えて、ちょっと心温まる、そんなお話です。
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記事一覧

ショートショート140「怪談の不始末にかかる事後面談」

「で、改めて聞くけど、これ……何?」 「耳です」 「だよね、俺、何をお願いしたっけ?」 「…

ショートショート135 「GOLDEN次郎」

 −1982年5月。  俊雄少年は、憂鬱な足取りで家路に着いた。  春の運動会。今回もかけっ…

ショートショート113「URAMESHIYA」

 しんしんと雨の降る夜だった。川をまたぐ橋の袂(たもと) にその女は佇んでいる。  橋が防…

ショートショート104「メリー」

 私メリーさん、今あなたの後ろにいるの。  そしたら、あなたはとても怒った。  でも、私…

ショートショート102 「都会の花子さん」

 ----正直、自分がこんな騒がしい場所を訪れる日が来るなんて夢にも思わなかった。  宙…

ショートショート94 「恋するムラサキ」

 ここはとある山奥の廃寺。  モジモジと身をよじりながら、紫ババアは親友の雪女に恥ずかし…

ショートショート90 「適材適所」

 本日は、私どもの刊行するビジネス誌「日財ワークマン」のインタビューにお時間を頂戴し、誠にありがとうございます。 「お役に立てるといいのですが、どうぞよろしくお願い致します」  御社は、日本初の妖怪を社員として採用された会社ということで、業界の注目を集めてらっしゃいますよね。  しかも、当の社員は入社半年にしてトップの営業成績を上げられているとか。 「ええ、彼を採用した私の目に狂いはなかったと、ホッと一安心しております」  日本初の英断に踏み切ったポイントはなんだっ

ショートショート83 「幽霊不動産」

 御来店ありがとうございます。幽霊不動産です。  あ、最近お亡くなりになった方なんですね…

ショートショート82 「前向きブランコ」

 夜の公園でブランコに腰掛けて、小さなため息をこぼす。  絵に描いたようなくたびれた中年…

ショートショート70 「恋と個性」

 その日も、海坊主は沖合からとある海女の姿を眺めていた。妖怪と人間、種族を越える恋を成就…

ショートショート62 「S町役場のお仕事2」

---前作はこちら S町役場の行政相談窓口。 ショートカットの女性職員が真剣な面持ちで、窓口…

ショートショート32 「S町役場のお仕事」

S町役場の行政相談窓口。 透明パネルで仕切られた受付の奥に、4つだけ並ぶデスクの一番端の…

ショートショート58 「スクリーミング配信」

ここは、ある山奥の廃寺。 妖怪達が一堂に会し、長であるぬらりひょんを中心に会合を開いてい…

ショートショート36 「本日の釣果」

釣りをしている時間が大好きだ。 寄せては返す波の動きは、休みなく続いているのに、せわしなさは感じさせず、むしろ心を落ち着かせてくれる。 釣り糸を垂らして待つこの時間は、人生における重要なスパイスだ。着水のトポッという音を合図に、僕の周りから音が消える(ように感じる)。 あとは竿先の動きに神経を尖らせ獲物がかかるのをじっと待つ。 獲物がかかった瞬間はエキサイティングで、刺激的。 この待ちの静寂と、釣り上げのせわしなさのコントラストが、僕の休日を色鮮やかに染めてくれるの