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受験生の妻

さて、明日はついに、夫の一級建築士試験。

仕事をしながら(しかも連日やたらと遅い帰宅)の受験は、やはり大変だと思う。勉強すれば受かる試験かというわけでもないようで(何それ)、なかなか過酷だ。ただ、一度、彼の弱音が続いた時に身体を気遣って「無理しないでね?」と声をかけてみたことがあるのだが、それに対しては“そういうことじゃない、激励してくれ”と。はいはい、頑張れ。

プレッシャーは感じているようだけれど、彼は決して試験前だからといってイライラ・ピリピリするようなことは無く、二日前も朝勉強をしながらホームポッドに「chillな音楽かけて」と話しかけていた。何がチルだよ。試験前は荒くれ者と化するタイプの私からすると、彼の穏やかさに驚くことが多いのだけれど、そのキャラクターに救われているな、と感じる日々だった。

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覚悟していた受験

夫の受験は今年2回目。昨年付き合っているときに一度受験している。私は当初、試験に受かってから結婚しようと考えていた。しかしたまたま身近な所に“元一級建築士受験生の妻”がいて、その方から「そんな簡単に受からないから、結婚しちゃえ」と助言をもらい、まぁそりゃそうだな…と。そういうわけで結婚。しばらくは式も旅行も考えていなかったし、今年は受験の年だ!と、割り切って臨んだ結婚一年目である。コロナ自粛関係なく、我が家は始めから受験生がいるので自粛覚悟だった。

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ある程度の家事はやろうと思っていたし、仕事と試験勉強が彼の生活の中心になることも理解できていた。その間は私も何か勉強してみたり、一人で遊べばいいや、と結婚当初は思っていたのだが、蓋を開けてみればコロナで世の中が本気の自粛モード。私も医療従事者として徹底的に自粛した。何か勉強しようとも思っていたが、受けようと思った研修は中止。そしてタイミングが悪く、コロナ関係なしに激務だった。私の上手な息抜き方法が見つからないまま、梅雨入り。


妻、荒れる。

梅雨はテンションが下がる。雨だけなら良いのだけれど、強風が辛い。こんなにも風が辛いとは思わなかった。夫は忙しい中でも私とのコミュニケーションは欠かさないし、先述したように穏やかな性格のためストレスがあっても私には当たらない。素晴らしいと思う。しかし大らかすぎるが故に納得がいかないことが続いた。もう今では何が許せなかったか、そのほとんどが曖昧なのだけれど、とどめになったのは手洗い・うがいを促さないと忘れる、ということ。

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手洗い・うがいを忘れるのは、もうアウトだ。これだけ気にしなくてはいけないと言われ、そうでなくとも試験前の自分の体調管理は必要だ。うっかり忘れるのか習慣化していないのか、何が原因なのかは知らない。私がどんなに気遣っても本人がこんなに良い加減じゃ付き合いきれないと思った瞬間、サポートしてきた家事が途端に嫌になり、荒れた。試験1週間前、先週のことである。


妻のマラソン

荒れたタイミングが試験目前だったのは悪かったと思う。夫は私の訴えを理解した様子だった。そして家事については、もう試験までやらなくていいからね、と言われた(汚くなるから、そういうことじゃない)。荒れた直後の私は無気力で、落ち込みやすくなった(数時間)。もうこの1週間耐えられるかわからなかったが、そんな時に楽天のお買い物マラソンが始まった。

やさぐれて、これまで欲しいと思ってお気に入りに入れていた商品を買ってみたら、ポイントがみるみる貯まる…あれ?楽天って本来こうやって活用するものなの?…初参戦のマラソンが思いの外楽しく、気がつけば連日家のものを買い漁った。台湾の麺を買ってみたり、水切りカゴ代用のティータオルを新調したり。すぐに私のメンタルも復活(1日で)。家のものを買うと家を整えたくなり、いつも通り家事にも着手。ちなみにマラソン、完走とは行かなかったがそれでも満喫した。

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明日。

色々あったけれど、明日はついに試験。試験会場に老若男女たくさんの受験生が集まる。懸念されているクラスターが発生するかもしれないし、ひとまず試験を終えた夫が帰宅したら、彼を風呂に入れよう。そして夜は自己採点。

明日がうまくいってもいかなくても、ひとまず私は受験生の妻を一回お休みするつもり。よく頑張ったね、といって自分と夫を労おうと思う。