「ありがとう、ポーラライト箔。」
コスモテックの青木です。
『 ナスカの電子回路 』 アルティメイト箔押しマスキングテープからスタートした、箔押し屋コスモテックがつくるオリジナル箔押しマスキングテープ。このプロジェクトは2015年に開始。気づけば6年がかり(現在2021年も継続中)の大がかりなものとなりました。
今回はこれまでにコスモテックが生み出した箔押しマスキングテープの中から、最近製作した 『 白夜飛行 』 - LAST POLAR LIGHTS - をプロジェクトの一例としてご紹介します。こちらは、今年(2021年)に廃盤となったポーラライト箔を使用するほぼ最後の機会となりました。
◎ ありがとう、ポーラライト箔。
2021年6月、ポーラライト箔の製造メーカーでもあるKURZ社さま(ドイツの箔メーカー)よりポーラライト箔廃盤のご連絡がありました(流通在庫のみで、製造中止とのご連絡)。
ポーラライト箔は独特の美しい色合いが大人気の箔で、メタリック調の光が見る角度によって、グリーン・スカイブルー・パープルのように変化して見える唯一無二の不思議な箔です。コスモテックにご依頼頂く作品づくりにも愛用されている方々がたくさんいらっしゃいました。また、コスモテックの Web Store で販売している製品の中にもポーラライト箔を使っているものがいくつかございます。
はじめて廃盤のご連絡を頂いた時は 「 まさか、ポーラライト箔が……! 」 と衝撃を受け、がっくり肩を落としたことは今でも忘れられません。
◎ ポーラライト箔、最後の大舞台の企画を練る
コスモテックサンプル直売所( Web Store )では、お客様からの声やその場・その瞬間の思いやノリを大切にして、製品の企画・制作を行っています。
「 今までポーラライト箔にはとてもお世話になったのだから、最後にコスモテックとして盛大に使うことはできないだろうか? 」
ポーラライト箔の廃盤に驚き、残念に思うお客様や自分自身の気持ちを大切に、何か記念になる作品作りをしたいと思いました。そこで、「 コスモテックサンプル直売所 」 でも大人気の箔押しマスキングテープ 『 白夜飛行 』 シリーズのひとつとして、『 白夜飛行 』 - LAST POLAR LIGHTS - という箔押しマスキングテープの企画を練りました。
◎ その時代・その時でしか生み出せない価値
時は2021年。10年後2031年、20年後2041年に偶然にもこの note の文章を見つけ、ポーラライト箔の存在を知っても、その時にはポーラライト箔を手に入れることができない可能性は極めて高いでしょう。
個性的で美しいポーラライト箔の魅力を、この note の文章や写真でしか伝えることができないかもしれません。
KURZ社さまにポーラライト箔 最後の流通在庫のご注文
この企画を練るにあたって、 『 今でしか手に入れることができないモノ・価値 』 ということを念頭に置いて、出発地点(制作開始)と到着地点(納品)までのロードマップを描きました。
時折、僕が頂く質問でこのようなものがあります。
「 コスモテックサンプル直売所の製品づくりは、どのように進めているのですか? 」 というものです。
◎ ゆるふわ感で臨機応変に変化
大きなくくりで、スタートとゴールの2つの点のみをセッティングしつつ、都度 その場の雰囲気やノリ、空気感、思いつきなどから ゆるく、ふわふわと変化を何度も繰り返しながら、決められたゴールに向かっていく製品づくりをしています。
ここで言うゴールというのは製品・作品を納品時、お客様が満足して下さるということを指します。決してガチガチに、徹底的に、仕様や設計など含め固く決めていることは無いのです。走りながら、意見を聞きながら、考えを巡らせているような感覚です。
『 受注生産 』 で印刷・加工を終えた
積み上げられた特大のロール状の箔押しマスキングテープ
コスモテックの箔押しマスキングテープ プロジェクトは主に 『 受注生産 』 によるご注文受付をします。 上の写真のように、『 白夜飛行 』 - LAST POLAR LIGHTS - では、ポーラライト箔を今後2度と手に入れることができないかもしれないということもあり、本当にたくさんのお客様が賛同し、ご注文して下さいました。誠にありがとうございました。
これだけ多くのご注文を頂くと、嬉しいのと同時にプレッシャーもあります。ただ、ご注文を頂いた段階では、実はパッケージングに使用する天面ラベル・底面ラベルの仕様や見せ方など、決まっていないことがまだたくさんありました。
◎ てんこ盛りにしてみたい
『 白夜飛行 』 - LAST POLAR LIGHTS - の印刷・加工を終えた、特大のロールの積みあがった様をぼんやり眺めながら、「 お客様がどんな形だと喜ぶだろうか? 」 と考えています。 コスモテックの Web Store で販売している製品の多くのパッケージングは、このぼんやり眺めている時間の中で偶然生まれる・ふと決まることが多いのです。
「 たくさんのご注文を頂いた。さて、どうやってお客様の期待に応えようか。どうやってお届けしようか。」 今回、製品を眺めている時間に出てきたキーワードは 『 てんこ盛り! 』 です。
上の写真 : 天面ラベル | 下の写真 : 底面ラベル
今回、『 白夜飛行 』 - LAST POLAR LIGHTS - と製品名を大きく謳っていることもあり、しかも、ポーラライト箔の製品を手に入れることができるラストチャンスかもしれない、お客様の中にはその希少性を買って下さっている方も少なくはないのではないか、などを想像して、最終的に 『 ポーラライト箔でてんこ盛り! ポーラライト箔まつり! 』 にしようと決め、パッケージングしました。
写真はマスキングテープ製造時の箔の抜け殻
天面のラベルは、厚手の白色のシール材に総ベタでポーラライト箔を箔押しし、その後 『 白夜飛行 』 のタイトル文字をエンボス加工で盛り上げました。
底面のラベルも天面ラベル同様のシール材に総ベタでポーラライト箔を箔押し。その後、コスモテックの 『 つばめ返し 』 という加工方法で荒いマット調に仕上げています。
背景をマット・文字情報をグロスで表現した底面ラベル
背景が圧で押されることで、文字情報がぐぐっと盛り上がっている
『 つばめ返し 』 で仕上げた底面ラベル。
『 つばめ返し 』 を施すことにより、もとのポーラライト箔で押されたラベルの背景が粒子のような粗めのマットなテクスチャーに変化。 箔押しマスキングテープの文字情報部分はグロス(艶あり)表現なので、グロスとマットの対比が際立つラベルに仕上がりました。
このように、メインの箔押しマスキングテープをはじめ、天面・底面ラベルにまで、ふんだんにポーラライト箔を使用した製品、そしてパッケージングにて仕上げているのです。 まさに「 てんこ盛り! 」
◎ 最後は手作業・心を込めて届けること
1点1点、丁寧に、手作業で梱包
箔押しマスキングテープ製作を行う過程はさまざまな思いつきを形づくりながら、お客様へお届けするゴールへ突き進んでいきます。
最後の仕上げは個包装。
製作した箔押しマスキングテープを包む作業を行います。ある時、個包装をしている動画をSNSに投稿した際、 「 え!? もしかして全部手作業だったんですか!? 」 「 機械で行っていると思っていた! 」 と驚きの反応が返ってきたことが僕の印象に残っています。
そうなのです! 一番はじめの 『 ナスカの電子回路 』 から、この箔押しマスキングテープ プロジェクトで今までお客様にお届けした全ての製品の最後の仕上げは手作業で行っており、また、この手作業にこだわっています。
個包装し、完成した 『 白夜飛行 』 - LAST POLAR LIGHTS -
最後のポーラライト箔の価値を届ける。
箔押しの加工技術を届ける。
僕らコスモテックの思いを届ける。
「 どうすれば、この価値や技術、思いがお客様に届くのだろうか? 」 とプロジェクトを続ける度に、毎回毎回 同じことを絶えず考えているのですが、製品づくりの最後は 『 手仕事 』 という点は、箔押しマスキングテープシリーズ開始当初より一貫しております。
製品・作品が折れ曲がらないように、潰れないように、傷つかないように。機械では表すことができないであろう細やかな気配りを個包装の作業の中で表現します。
6年間、こうしてコスモテックの箔押しマスキングテープ プロジェクトを継続させて頂けるのは、やはりそこにはリリース毎にお求め下さるたくさんのお客様がいるからです。楽しみに待っていてくださるお客様の存在は僕たちの励みなのです。
「 コスモテックサンプル直売所 」 の製品は、どこか勢い任せのノリのような、はたまた加工実験製品のような挑戦や、日々の受け仕事ではできないことを思いっきり詰め込んでお客様にお届けしています。
僕たちの製品が、僕たちを応援して下さっているお客様の生活をほんのちょっと楽しく出来れば幸いです。
【 連絡先 】
ようこそ!行列のできる『箔押し印刷工房』へ
➡ http://blog.livedoor.jp/cosmotech_no1/
有限会社コスモテック 青木政憲
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?