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「WEB ストア に託す思い と これから」

今回は、コスモテックのWEBストア『 コスモテックサンプル直売所 』( ※ 以下、『 直売所 』 と略します )の話です。

2021年4月21日に、『 直売所 』 はおかげさまで7周年を迎えることができました。

7年前に僕(青木)が開設した『 直売所 』。 思いもひとしおです。


◉ 思いつきを形づくる

7年前のある日、ふと 「 やってみよう! 」 と、ほぼ思いつきのまま、大きな目標や目的も特に掲げずスタートしたWEBストア。

気づけば7年もの月日が流れ、お客様にお届けした製品はなんと累計32,160個( 2021年5月15日現在 )です。この数、改めて確認した自分が一番驚きました!皆様、本当にありがとうございます。

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ドメイン名には 「 ぎょが5つ並ぶ 」 "gyogyogyogyogyo" 。

その時の気持ちを思い返してみると、「 みんな(お客様)を驚かせるんだ! 」 という、ショップ開設当時の僕のがむしゃらな意気込みのようなものが感じられます。コスモテックのショップなのにドメインには "cosmotech" は入っておらず、7年前の自分の青さと勢い任せな決め方に少し気恥ずかしさを感じます。

そして、WEBストア名はコスモテックの 「 町の加工所らしさ 」 を大切にし、気取らずそのまま 『 コスモテックサンプル直売所 』 に決め、開店させました。

◉ アウトプットの場として

依頼を受けて製造する「 受け仕事 」、自ら提供する「 サービスの仕事 」

コスモテックは企業、デザイナー、同人作家をはじめ様々なお客様から箔押しのお仕事をお任せ頂いております。日々の仕事から得るものや学びは幸せなことにたくさんあります。多様なデザインを眺め、たくさんの紙の種類を覚え、印刷加工の表現を追求し、さらにモノの価値の捉え方について深く考えるなど、製造をメインとした仕事の中で考えさせられることは山ほどあります。

前田の note には日々の箔押し仕事が掲載されている


これらを「 インプットの場 」と考えた時、コスモテックでは 『 直売所 』 を「 アウトプットの場 」として捉えています。

コスモテックが毎日の仕事で経験させて頂いたこと、学ばせて頂いたことなどを自社製品の製造や加工実験としてモノへ落とし込み、お客様へご提供するアウトプットの場が 『 直売所 』 なのです。『 直売所 』 の製品にはコスモテックの毎日の学びがギュッと詰まっています。


視聴回数 62,000回 突破!の 『 直売所 』インタビュー動画

動画内で語られるように、製品企画会議はない
まずは 「 やってみよう! 」 の挑戦と実験からはじまる

◉ 製品に技術と共に思いを込めて

徹底した工場直販の追求
コスモテックは町の小さな箔押し印刷会社です。
コスモテックには一等地に実店舗を構える力もなければ、そこに割くための人員や時間もありません。

「 どうやって製品をお届けしようか? 」 と考えた時、売り方や届け方もシンプル且つスマートである方が、お客様に 「 コスモテックという存在 」 が伝わりやすいと考えました。

『 直売所 』 開店から今も変わらず、続けていることは 「 WEB ストア のみの工場直販 」 です。ありがたいことに卸しや委託販売のお誘いもたびたび頂きますが、全て丁重にお断りさせて頂いております。コスモテックの自社製品・加工実験製品が手に入るのは『 直売所 』だけ。そのシンプルさがとても気に入っているのです。

『 直売所 』で販売している製品は一点一点手仕事で仕上げている
動画は箔押し便箋を加工しているところ


自社に箔押し機があるという強みを生かして、フットワークは軽く。
そして小さな箔押し会社であることの利点・欠点を理解し、それらに徹底的に向き合う。「 僕らコスモテックの等身大の姿とは何だろうか 」 と想像し、シンプル且つスマートに伝えることに注力しました。

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伝説と称される、ロマンの塊!
アルティメイトマスキングテープ 『 ナスカの電子回路 』


製品をご注文・ご購入して下さるお客様には、箔押しのキラキラとした華やかな印象だったり、難しげな職人技を用いた表現方法、繊細な図案の魅力などが真っ先に目に飛び込んでくるかと思います。

それももちろん大事なのですが、僕たちが製品と共に一番お届けしたいものは、コスモテックという会社の技術だけでなく、僕たちの 「 思い 」 や 「 まごころ 」 です。

さとうリボンシール赤

梱包ラベルとして一時使用していた
網点箔押し表現による匠のリボンラベル
梱包・発送も印刷加工実験の表現の場とする試み
( デザインは固定せず、都度変化させていく )


お求め頂いたコスモテック製の製品や作品を通して、この会社やここで働く人たちの姿が想像できるものを作り続けていきたいと僕は願っています。

1枚1枚の紙に手作業で箔押ししたり、仕上がった製品を丁寧な手仕事で梱包したり、自社の製品や作品を通して、お客様と加工現場が見えない思いの糸で繋がっていく。そんなシーンを生み出せたらいいなという願いを 「 WEB ストア のみの工場直販 」 という販売方法に託しています。 

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ダンボールの全面に箔押し加工して仕上げた
福袋ならぬ、福ボックス(2020年)

◉ 誰が予想できただろうか…

先に述べた累計販売個数32,160個が多いのか、少ないのか、という判断は非常に難しいものですが、もともとWEBストアを開設したきっかけは僕の個人的な 「 やってみよう! 」 という思いつき。そう考えると上々な結果ではないでしょうか。

僕なりに、コスモテックなりに、試行錯誤しながら一生懸命続けてきたからこそ、皆さんに求められ、愛される『 直売所 』になったという驚きと、嬉しさは格別です。

2019年には『 魔導書 』を制作 SNSで話題に!
発想の源は 「 遊び心 」


また、7年間継続・持続することの大変さ、難しさも身に染みて感じております。「 なぜ続けることができるのですか? 」 という質問をよく頂くのですが、僕の答えはシンプル。 「 お客様がいるから 」 に尽きます。

『 直売所 』 で販売する製品を求めてくださる方がいる、待っててくださる方がいる、さらにはご注文時の備考欄に熱い思いをしたためてくださる方、SNSで 「 買ったよ! 」「 無事とどいたよ! 」 とご報告してくださる方など、そんな一つ一つの声が僕や加工現場の原動力になっているのです。

2018年1月19日(金)
テレビ東京のWBS( ワールドビジネスサテライト )内、
『 The行列 』 のコーナーで取り上げて頂いたことも


お客様の声に鼓舞され、「 よっしゃ!また喜んで頂きたい。 もっとすごいものを作って驚かせたい! 」 に繋がっていくのです。これは本当に、本当に大きなモチベーションです。これがなかったら7年も続けられていなかったかもしれません。

・ 「 箔押しの匠 」 とのエピソード
『 直売所 』を開店して間もない頃、今は亡きコスモテックの「 箔押しの匠 」 佐藤とのエピソードで、僕が嬉しかった出来事があります。『 直売所 』 で、とある新製品を日付が変わる夜中の0時から販売し、開始から30分も経たずに即完売をむかえ驚きと興奮の中にいた時のことです。

突然電話が鳴り、「 青木、完売したみたいじゃないか! お客さんに本当に感謝だな。 」と、匠 佐藤。 なんと、新製品がちゃんと売れるか心配していた僕を気遣い、慣れないインターネットでこっそり売れ行きを見守ってくれていたのです。家のパソコンの前でたった一人で驚いたり喜んだりしていると思っていたのに、離れた場所で佐藤もこの気持ちを共有してくれていたなんて!

 新製品を売り出す時、ドキドキした気持ちと共に、今もそのシーンを思い出すことがあります。

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たくさんのお客様がご注文して下さったということはもちろん嬉しかったのですが、その時 匠が起きていて、新製品の売れ行きや僕の不安な気持ちを気に掛けていてくれたことが、とても嬉しかったのです。このエピソードも僕の中では大事なモチベーションのひとつとなっているのでしょう。

◉ いただいたご恩で、お客様に恩返し

販売個数が多くなれば、売り上げた金額もそこそこ大きくなります。
このWEBストアでお客様からお預かりした売り上げ金は 「 お客様から頂いたご恩や期待 」 として、コスモテックは捉えています。

『 直売所 』 開設より7年の間に頂いた「 ご恩 」は、古い箔押し機から、安全性の高い新台箔押し機3台を導入することへ使わせて頂きました。若い職人が安心安全に働くことができる環境の整備は、匠 佐藤の悲願でもありました。


そして、コスモテックの技術や思いをこれから先の時代へ繋いでいくことを考える際、 売り上げたお金をお客様からの応援・支援として、コスモテックのために「 生きた使い方 」をしたいと思っています。

若い職人が働きやすい環境づくりや、コスモテックの箔押しの技術継承に役立たせることで、支援して下さったお客様への 「 恩返しの一つにもなるのではないか 」 と信じ、大切に使わせて頂いております。

新5馬力

売り上げ金を活用させて頂き、導入した新台箔押し機
おかげさまで現在(2021年5月) 3台導入 


日々のインプット( 受け仕事・製造 )➡ 『 直売所 』でのアウトプット( 自社製品・サービス ) ➡ 売り上げたお金を技術継承に活かす
… 

循環と継続によってこの7年間は大変有意義なものとなり、ぐるぐると循環させながら持続させることの大切さを、お客様に気づかせて頂きました。

◉ めぐり、めぐる、環(わ)

続けることで出会える人たちがいる 続けることで見えてくる世界がある


7年前 『 直売所 』 を開店し、そこからたくさんの出会いが生まれ、今につながっています。もし、僕の思いつきを思いつきのままで放っておいたら、今抱えているたくさんの大切なものは存在していなかったかもしれません。貴重なチャンスも学びの機会も、きっと得られなかったことでしょう。

「 始めてよかった! 続けてよかった! 」

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2018年2月24日(土)
朝日新聞(夕刊) 5 文化面 ポップに掲載
「 独特・繊細な表現力 新感覚の製品次々 」


これからの 『 直売所 』 の課題もだんだんと見えてきました。
僕たちコスモテックの思いや技術、箔押しの魅力をこれからもたくさんの人たちに届けていくために何をすればいいのか、そこから新たに何が生まれ、何と出会うのか。楽しみなことばかりです。

「 ぎょ! 」 が5つの 『 コスモテックサンプル直売所 』。

これからもお客様をたくさん驚かせ、ご恩とサービスを循環させながら末永く続けていきたいと思っています。

皆様、どうぞこれからも応援よろしくお願いいたします。

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