「2024年で8回目! BULLET Inc. 小玉文さまの年賀状」
コスモテックの現場の前田です。
2016年から2024年( 本年 )までの合計8回にわたり、コスモテックではBULLET Inc. 小玉文さまの年賀状の箔押し加工をお手伝いさせていただきました。
製作回数を重ねるたびに 「 この年賀状はぜひ入手したい! 」 という方が急増( 激レアな年賀状なのです ) BULLET Inc. アートディレクター / デザイナーの小玉文さまの奇想天外なアイディアがぎゅっと凝縮されています。 BULLET Inc. の年賀状は大きな魅力を放ち、予想もしないような発想から形づくられており、毎回多くの人たちの気持ちを掴んで離さないのです。
箔押し加工を含めた特殊加工のみならず、小玉さまによるハンドクラフトを駆使して製作している年賀状。まずは、下記の 2016年~2022年 の BULLET Inc. の年賀状の振り返りからご覧ください!
2016年 申(さる)~ 2021年 丑(うし) | コスモテック1~6回目の箔押し
2022年 寅(とら) | コスモテック7回目の箔押し
ご覧いただくと分かりますが、年賀状の形状がすでに 「 造形物 」 であり、その年の干支を彷彿させるものになっているのです。
コスモテックの箔押しは年賀状内の加工のあくまでも一つのパートを担っており、型抜き加工であれば 株式会社東北紙業社 というように、加工現場のプロフェッショナルの競演・チームワークが小玉さまの年賀状製作を支えております。
それでは、気になる 2024年の BULLET Inc. 小玉さまの年賀状についてご紹介させていただきます。まずは、小玉さまよりいただいたコンセプトの文章からご覧ください!
◉ 8回目! 2024年 辰(たつ) は 『 逆鱗 』 がテーマ
上のメッセージは年賀状の表面に箔押しした 『 SCALE OF THE DRAGON 』 の和訳です。強いメッセージ性が感じられるこの文章はアートディレクター / デザイナー 小玉文さまご自身のことが語られているのです。「 放浪の旅に出てから10年 」 というのは、小玉さまが BULLET Inc. を立ち上げてからちょうど10年目なのです。
小玉さまの一つの節目と考えると、その大切な時期にこうして年賀状の箔押し加工をお任せいただけたことを大変光栄に思い 「 小玉さまが求めている一押しを実現させてご満足いただきたい 」 と強く感じました。
◉ 『 逆鱗カード 』 の設計
年賀状で使用している紙は3枚の紙を貼り合わせして、がっしりとした厚みを作っております。ブラックS( 600g/m2 )という濃い黒色の厚手の紙を真ん中の芯材として使用し、その紙の表面と裏面にそれぞれ黒気包紙 C-FS L判Y目( 215.5kg )を貼り合わせした3層構造の紙なのです。
上のデザインデータの裏面の白色の丸部分をご覧ください。
この白色で表示されている部分は穴が貫通している箇所です。コスモテックで箔押しする時は3枚貼り合わせされた紙で仕上がりサイズ( 157×157mm )、しかも丸い穴が貫通した状態の紙の両面に箔押し加工をしました。
表面に1色の箔押し( データ上のシアン部分 )、そして裏面のまるで迷路のようなグラフィック面には全面に箔押し加工をして BULLET Inc. 2024年 年賀状 『 逆鱗カード 』 を仕上げました。
◉ まずは、箔押し校正( テスト )から
「 ①と② で校正箔押しを見てみたい。 」
というのが小玉さまからの一番の要望でした。
小玉さまの事務所設立10周年にかける思いが込められたメッセージは年賀状製作の過程の中、事前に私と青木(コスモテック)へ共有されており、普段の小玉さまのデザインや仕事への姿勢から 『 ついでにやってみる 』 『 無駄なんてものはない 』 など、今までたくさんの大切なことを仕事を通して学ばせていただきました。
これらをふまえて、青木(コスモテック)と作戦を練り、
「 小玉さま希望のパターン ①と② の校正を確実に作りつつも、勝手ながら小玉さまが気に入りそうな ③・④・⑤(下記)の可能性も探りつつご覧いただこう! 」 ということになりました。
年の瀬でコスモテックの年内の営業最終日も本当に間近という中だったのですが、それ以上にいつもお世話になっている小玉さまの10周年にかける強い思いに感化され、盛り上げたいという気持ちが湧いてきてしまいました。
おそらく通常では、この土壇場で、しかも勝手に ③・④・⑤ のパターンを作る手間をかけようとは思わないのですが、この時はなぜだが確実に 「 これは必要になる 」 という確信 が私と青木の中にはあったのです。
◉ そして、決まった箔色!
表面が黒つや箔押し・裏面がプラチナ箔押しで量産すると決定した瞬間です。 ③・④・⑤ の箔色のセレクトは小玉さまが当初あげてくださった箔色をベースに考え、類似色の箔色や今回の年賀状の設計にうまくマッチしそうな箔色を想像し、さらには今までの小玉さまとの仕事のやりとりを通して、小玉さまが好みそうな箔色を青木とともに選ばせていただきました。
『 かゆいところに手が届く 』 という対応の意識や長年積み重ねてきた小玉さまとコスモテックとのやり取りから導き出した ( 時間内ギリギリの )『 ついでの一手 』 が功を奏し、青木とガッツポーズをしてしまいました。 何よりも仕様にハマり、小玉さまが喜んでくださったことが私たちはとてもうれしかったのです。
◉ 量産! そして完成へ
表面の文字情報の箔押し表現も、そして裏面の迷路のようなグラフィック面も、ともかくとても繊細な図案。2023年の終わりも差し迫る中、「 急がねば! 」 と はやる気持ちを抑えながら、丁寧に慎重に一枚一枚心を込めて箔押ししていきました。
「 表面の情報の可読性はきっちりキープできているかな。 」
「 校正をご覧いただき、小玉さまのメッセージにもあった裏面の圧力は弱めの設定はこのくらいで大丈夫かな。 」 など、一つ一つの注意するポイントを都度確認しては、手を動かし箔押し加工することに努めました。
そしてすべての年賀状の箔押し加工を終え、小玉さまによる DIY で組まれた年賀状の完成形はこちらです( 下記参照 )
◉ 小玉さまが明かす注目のポイント!
① 年賀状の表面、右上に注目
カード( いわゆるマジックザギャザリングのようなカードゲームサイズのカード )に1枚ずつ、逆鱗ピックを埋め込みました。
② 年賀状の裏面にある穴
逆鱗ピックを裏から押して取り出すことができる穴です。
穴の周辺には自ずと、神々しい紋様が浮かび上がったといいます…… 笑
③ 黒つや箔の効果( 年賀状の表面より )
ぱっと見、真っ黒なカードですが
見る角度によって、文字が光って読める感じが、イイですね〜〜!
④ サイン( 年賀状の表面より )
関西巻取箔工業株式会社( KANMAKI )さんの煌葉( カッパー )で1枚ずつサインを入れます。ちなみに署名欄には [ indefatigable seeker( 不屈の求道者 ) ] [ date of sampling( 採集日 ) ] と書きました。笑
⑤ ピック( 年賀状の表面より )
ピックの模様は 「 モザイク 」 と呼ばれるもので、数種類のプラスチック素材をランダムに混ぜて製造されています。
ひとつとして同じものはありません。
プラスチックという素材、好きです。。
小玉さま、事務所10周年という大切な節目に箔押し加工で頼ってくださり本当にありがとうございました! そして、8回にもわたり BULLET Inc. の年賀状箔押し加工に携わらせていただき、加工のチームの一員として関わらせていただけたことは私にとって光栄な出来事です。
今後のさらなるご活躍をお祈りしております。
【 箔押し加工 】
有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362
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