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「これが紙?『 牛+カセット 』年賀状」

こんにちは、現場の前田です。

お待たせしました! 毎年楽しみにしている方も多いと思います。
今回は、今年もやってまいりました、デザイナーの小玉文さまによる ご自身の会社 BULLET Inc. さまの年賀状です!

毎年想像を超えた驚きの年賀状で見る者だけでなく作る者をも楽しませてくださる BULLET Inc. さまの年賀状。お手伝いをさせていただいたのは光栄なことに今年で6回目となります。

コスモテック 青木より

光栄なことに2016年から今年2021年に至る6年もの間、 BULLET Inc. の年賀状製作に携わらせて頂きました。今回の年賀状も BULLET Inc. の小玉文さん・型抜き加工 東北紙業社の加藤さん、そしてコスモテックのチーム!

今まで BULLET Inc. の年賀状に使用した紙や加工は多岐に渡ります。
紙をめくると違う紙が出現したり、紙が交差したり、ねじれていたり。毎回毎回繰り出される斬新な発想や設計、創意工夫の数々には驚きを禁じ得ません。

どの年賀状にも言えることは 「 モノとしての力強さ 」
目の前に突然出現する 「 予期せぬモノ 」 「 予期せぬ物体 」

小玉さんの年賀状の記事を更新すると 「 どのくらいの打ち合わせを重ねているのですか? 」 とよく質問を頂くのですが、 BULLET Inc. の年賀状に関して言えば、実は3社での打ち合わせはわずかなものでした。その上、僕の記憶が正しければ、例年校正( テスト )なし、 まさかの 『 ほぼ一発本番 』

これはお互いをよく知り、信頼関係が成り立っているからこそ出来ることです。各々細かい情報のやり取りをしながらも、小玉さんの想い描くゴール、その先にある年賀状を手にした方々の驚きや笑顔を想像しながら、年末に向けて3社でずんずんと突き進んでいく感じは、とてもスリリングであり、且つ、爽快感でいっぱいでした!

今回の年賀状のご紹介の前に、今までの年賀状を遡りながら振り返ってみましょう。

2020年年賀状 | 子

全て紙で作られた、チーズのフロッピーディスク型年賀状

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2019年年賀状 | 亥

1本の細長い紙で作る「 亥 」の文字年賀状 

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2018年年賀状 | 戌

骨年賀状( 立体交差する骨 ) 

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2017年年賀状 | 酉

卵年賀状( 殻剥けます ) 

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2016年年賀状 | 申

バナナ年賀状( 皮剥けます )

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いよいよ2021年丑年の年賀状の登場です!

2021年年賀状 | 丑

今年の年賀状はなんとカセットテープ型です!
丑年ということで、カセットテープ自体がウシの顔に見えるという、その名も 「 COWSETTE 」

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「 このカセットテープ本当に紙でできているの!? 」 と思うようなびっくりクオリティとなっております。今年も BULLET Inc. さま・東北紙業社さまとの連携プレーで加工にあたっています!

■ デザインコンセプト

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デザイン 小玉文さま( BULLET Inc. ) より

BULLET Inc. 丑年の年賀状は、ウシのカセットテープ。
2021年、いい音楽でも聴いて、マイペースにゆっくりいきましょう (´◇` )

実はこちら、本物のカセットではなく
牛乳パックの再生紙[ スノーボード ]を8枚積層して作っています。
カセットらしさを再現するために、リアルにネジ止めしているところがポイント。この数日間で、電動ドライバースキルが上がりました。

伸びたテープ部分には、
箔押し加工に用いる[ 金の箔ロール( 3号金 [ BL ] ) ] を
4mm幅にカットしたものを使用。

コスモテックの前田さんが頑張ってくださいました。
これが箔だと気づいた方は、超マニアックです (´◇` )

他にも、カセットテープ世代には懐かしい要素をいろいろと盛り込んでみました。

名付けて COWSETTE 。
ギリギリまでお付き合いいただいた東北紙業社さん、コスモテックさん、ありがとうございました!今年もよろしくお願いします。


それぞれの組み立てパーツを東北紙業社さまとコスモテックで製作し、最後に BULLET Inc. の小玉さま自身の手作業・DIY によってカセットテープ型に組み上げられています。


コスモテックでは [ カセットパーツ ] と [ 台紙 ] 、そしてカセットから伸びたテープの加工に携わらせていただきました。

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写真は完成したカセットテープ年賀状の裏側。
黒色の台紙がGAファイル。この反対側の面に全体的に白箔押し加工!


[ 台紙 ]  に使用されている紙はGAファイル(ブラック) 620kg。
上の写真は台紙の裏側が写っていますが、表側には顔料箔の白ツヤ箔で面積の広いベタ面を箔押し加工し、牛柄を表現しています。

[ カセットパーツ ] は小玉さまのご説明にもあるように、実は牛乳パックの再生紙[ スノーボード ]を8枚積層してつくられています。コスモテックではその内の、カセットテープの外側( 表裏 )にくる部分を箔押し+デボス加工( 型押し加工 )してリアルなカセットテープ感を演出しています。

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ネジ以外が、まさかの全て紙…。
3Dプリンターやレーザーカット加工などの最新技術は一切無し。
ピタッと合わせるための型抜きの精度の良さは東北紙業社のなせる業!


まずは、箔色は顔料箔の黒のツヤ消し箔を使用して、台紙と同様に牛柄を表現。その後、上から圧を強めにガツンとかけてデボス加工を施しています。

デボス加工は圧をかけすぎると紙にひび割れが生じてしまうため、ギリギリの調整をおこないながらくっきりと凹むように圧をかけ、カセットテープらしい立体感が出るよう加工しています。

■ これ、箔の材料なんです

そして、カセットテープの牛の鼻から飛び出す鼻輪にあたる伸びたテープの部分は、なんと箔押し用の箔をカットするための専用の機械を使用して、3号金 [ BL ] 箔を4mm幅にカットして作っています。

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箔名の中の [ BL ] とは箔の糊の種類のことです。
箔押しは加工する紙やデザインとの相性によって、箔の糊の種類を変えて加工しています。

箔の糊の種類には [ 柔らかめ ] [ 硬め ] とあり、今回は 4mm 幅という非常に細いカットということで、均一な幅にカットしやすい [ 硬め ] の糊が使用された箔を、更に、硬めの糊の中でも特に硬めの [ BL ] の糊が使用された箔を選んでいます。

写真 2021-01-09 16 52 22

写真は銀箔のロールで、本番前に 5mm 幅にカットして練習したもの。
更に 1mm 詰めて、本番では 4mm 幅でカットするのは至難の業でした!


機械は自動で指定の幅にカットするものではなく、手で刃を箔に押し当てながらカットしなくてはなりません。4mm 幅という極細状態にカットする作業のは初めての経験で、しかも均一な幅をキープしてカットするのは非常に難しい作業でした。通常、こんなに細い幅でカットすることは、まずありません。


コスモテックでパーツを加工した後、東北紙業社さまでそれぞれのパーツに精密な抜き加工が施され、最後に小玉さまが自らの手でひとつひとつのパーツを組み上げ、ネジ止めして仕上げています。

■ 設計

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- Credit -
デザイン : 小玉 文 + BULLET Inc.
制作 : 東北紙業社 + コスモテック + BULLET Inc.

- 仕様 -
紙:
[ カセットパーツ ]  牛乳パックの再生紙 [ スノーボード 750g/m2 ]
[ 鼻のパーツ ] ケンラン(しゅ) 4/6判Y目<400kg> を3枚合紙
[ 底パーツ ]牛乳パックの再生紙 [ DKホワイトA 400g/m2 ]
[ 台紙 ] GAファイル(ブラック) 4/6判Y目<620kg>

サイズ:
[ カセット ] 100×63mm
[ 台紙 ] 175×125mm

加工:
[ カセットパーツ ] 型抜き + 顔料黒消し箔押し+型押し
[ 鼻のパーツ ] 型抜き + タック加工
[ 底パーツ ] 型抜き + タック加工
[ 台紙 ] 顔料白ツヤ箔押し


なんと、手間ひま掛けて完成された年賀状なのでしょう!

コスモテックで加工した際には、パーツ部分のみのため完成形が見えず、一体どうなるのかとドキドキしておりましたが、細部までこだわり抜かれ完成した年賀状を拝見した時は興奮いたしました!

年賀状を手に取られた方の驚きや歓喜の声を聞くと、お手伝いをさせていただけて、本当に良かったと光栄に思います。

小玉さま、今年もお声がけいただきありがとうございました!


【 箔押し加工 】

有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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