見出し画像

「 デザイナーの小玉文さんと作る 48×48mm 箔押しシール 」

コスモテックの青木です。
今回ご紹介するのは、BULLET Inc.  アートディレクター / グラフィックデザイナーの小玉文( こだま あや )さんと作る 48mm 正方形の箔押しシールです。

コスモテックの note を愛読してくださっている方は、小玉文さんのお名前を聞いてきっとピン!とくるでしょう。 小玉さんは世界的なデザイン賞を数多く受賞され、その奇想天外なアイデアから生み出される魅力的な製品は多くの人の心を揺り動かします。小玉さんの製作物はどれも本当に魅力的で素敵なものばかりです。

また、箔押しを含めた特殊印刷加工、シール・ラベルデザインにも精通していらっしゃり、今や伝説との呼び声も高いコスモテックの大人気製品、箔押しによる基板表現とナスカの地上絵を融合させた 『 ナスカの電子回路 』 アルティメイトマスキングテープをデザインしたその人が小玉文( こだま あや )さんなのです。

コスモテックのブログや note で紹介した小玉さんの製品・作品をキッカケにファンになられる方も数多くいらっしゃいるようです。


◉ 小玉さんへの挑戦状!

コスモテックが今回 【 期間限定 】『 すべて、完全お任せ箔押しシール作成! 』 のキャンペーンを開始するにあたり、私 青木が個人的に 「 ぜったい見てみたい! 」 と思ったのが、グラフィックデザイナーの小玉さんがデザインする 48×48mm の 『 自作シール 』 です。

数多のデザインアイデアをお持ちで、特殊印刷加工の百戦錬磨であり、印刷加工オタクでもあるグラフィックデザイナーの小玉さんが作る 48×48mm の小さな面積に箔押しを盛りに盛った( 押しに押した ) 『 自作シール 』 を、ただただ私は見てみたかったのです。

「 箔押しやシールの特性も日々の仕事上熟知されている小玉さんなら、一体どのようなシールを作るのか? デザインするのか? 気になる! 」 … 

『 すべて、完全お任せ箔押しシール作成! 』 のキャンペーンを開始する前に、キャンペーンの企画や内容を小玉さんにご覧いただく機会がありました。

 「 48×48mm の 『 自作シール 』 すごく興味あります! 実はずっと作ってみたかったのですよ! 」 という小玉さんの前向きなお言葉をいただき、今回、通常のご依頼という形でお任せ箔押しの 『 自作シール 』 を製作・加工させていただけることになりました。

◉ 『 バレット・バニィ 』 シール!?

今回の通常のご依頼で『 キャンペーンとは異なる点 』について
・ お任せの箔色のセレクトを私 青木が選定( キャンペーンは前田・太田 )
・ シールの仕上がりパターン数は計4パターン( キャンペーンは2パターン )

普段の仕事上、箔色の選定は主にデザイナー( ご依頼主 )が行うのが一般的であり、箔色をデザイナーが選べない・加工所に一任するということはなかなかないことです。

『 すべて、完全お任せ 』 の趣旨や醍醐味を小玉さんが理解してくださり、「 どのように仕上がってくるのか、今から楽しみ! 」 とおっしゃっていただけたことが大きな励みでもあり、私にとって大きなプレッシャーでもありました。

そして、今回小玉さんからご入稿いただいたシールデザインはこちらです。
その名も 『 バレット・バニィ 』 シールです。

シールの表面が箔押し3版構成
シールの裏面が箔押し1版構成


『 バレット・バニィ 』 の名前には、小玉さんのデザイン事務所の屋号である BULLET が入っており、ウサギの持つ手には弓矢、弓矢の先端につけられた矢じりにはアルファベットの 『 B 』 が配置されています。

「 『 B 』 は BULLET ?( バレット ) BUNNY?( バニー ) 」
「 もしくはその両方なのか……!? 」 

そしてシールデザインを見ながら、今回の小玉さんの 『 自作シール 』 はグラフィックデザイナー 小玉文さんのもう一つの顔である先生( 東京造形大学の助教 )として、教え子の学生さん達に渡してもきっと喜ばれるものではないか!? と私は想像を膨らませました。

東京造形大学 小玉ゼミの 「 箔押しの現場 」 見学会を開催した時
ゼミ生40名さまがコスモテックの現場に!
コスモテックの「 箔押しの現場 」 箔押し機の前で
ゼミ生の皆さんに箔押しについて熱く語る小玉先生
皆さんの真剣なまなざしが印象的

「 のせ 」 「 ぬきあわせ 」 を駆使

3つの箔押しレイヤーを重ね合わせて
表面の 『 バレット・バニィ 』 を完成させる


ゆるく、かわいい、『 バレット・バニィ 』 シールですが、箔押しの加工の位置合わせやデータ作りは緻密に計算されていることがうかがえます。

箔押し1 ➡ 箔押し2 ➡ 箔押し3 とレイヤーを重ね合わせていき、シールの表面の完成図が一番右の 『 バレット・バニィ 』 シールです。また、『 すべて、完全お任せ箔押しシール作成! 』 では 箔押し1 の前段階でシール地に総ベタで箔押し加工をして、シールの土台を作成しています。

上の図案の白( ぬき )で表現されている部分も箔になることから、シール表面のみで箔押し4色構成となります。このことを念頭にデザインされた小玉さんの 『 自作シール 』 では、データ上 「 のせ 」 と 「 ぬきあわせ 」 を絶妙なバランスを駆使して制作していることが感じられます。

図案はゆるかわでありながらも、箔押し加工は超ストイックな 『 自作シール 』 です。

「 のせ 」「 ぬき( けぬき )あわせ 」
「 のせ 」 は、下に箔押し( 印刷 )した別の図案があって、その上に箔押し( 印刷 )をかぶせること。「 ぬき( けぬき )あわせ 」 は、下に箔押し( 印刷 ) の図案がなく、シール地 / 紙地に直接箔押し( 印刷 )すること。

小玉さんのデザインデータを見ながら、
「 ここが 『 のせ 』 になっていて… 」 「 お! ここは 『 ぬき 』 なのか!? 」 と じっくり細部までデータチェックをしていくと、48×48mm 内に小玉さんの図案づくりの職人技、コダワリが伝わってきたのです。

デザインデータから製作した箔押し加工に使用する金属版
シールの裏面(セパレーター面)の箔押しで使用する金属版 非常に細かい

◉ いざ! お任せ箔押し!

小玉さんからご入稿いただいたデザインデータから、パターン1~4までの箔押しの組み合わせをエクセル内でシミュレーションしました。

『 バレット・バニィ 』 と睨めっこしながら、小玉さんが求めているであろう想定の範囲内のもの( パターン1) から、良い意味で予想を裏切ってみたい、仕事柄使う機会が少なそうな箔のオンパレードバージョン( パターン2 )のものまで、合計4パターンを頭を悩ませ、箔色をしぼり出しました。

私が 『 バレット・バニィ 』 の図案から考えた箔の組み合わせ表
上のエクセル表をもとに 『 バレット・バニィ 』 製作のため準備した箔材


この考えた箔色の組み合わせリスト( 上の表 )をもとに、コスモテックの箔押しの現場で実際に箔を押してみながら、「 うーん、ちょっと箔色を変えたほうが良いかな? 」 と感じた場合は即興で違う箔色を試し、箔の組み合わせを決めていきます。

シール地に総ベタ箔押しし、シールの土台を4パターン準備作成
ここに 『 バレット・バニィ 』 の図案を箔押しで重ねていく
1枚1枚、慎重に手作業で箔押し加工
1版、1版、重ね合わせていく過程の中で
慎重に加工の位置調整を行っていく 目視でミリ単位の誤差を微調整


こうして完成した4パターンの小玉さんの 『 自作シール 』 は下記のとおりです。それぞれに付けたタイトルは私 青木が意識した箔の組み合わせと仕上がりの方向性から勝手に名付けてみたものです。

パターン1 ちょいワル風 ピンクホロ

シールの表面に特徴あるピンクのホログラム箔を使用


「 ちょいワル風でイカしたヤツ 」 に仕上がればとの思いと、小玉さんが求めていそうなパンチの効いた組み合わせを想像しての箔色選びを考えました。

1・2工程目の箔押しを終えた状態
この時点では比較的落ち着いた印象
3工程目の箔押しでは上の金属版を使用し
ギラギラのピンクのホログラム箔で箔押し加工


アクセントにピンクのダイヤモンドカット風のホログラム箔を添え、紺色の箔や王道の銀箔などを箔押しすることで作品にすこし落ち着き感を与えることも意識しました。 裏書の箔は油膜のようなギラギラ感のある レインボー170 をセレクトしました。

パターン2 ありえないカオスの塊

キワキワ箔の夢の共演をめざして製作


シールの土台には貝殻のような光彩を放つ、ドイツの箔メーカーKURZ( クルツ )社製の箔を使用。さらにトロピカルレインボー箔を加え、数社の箔メーカーのクセ強めの箔を1枚のシール内にミックスして使用しました。

シールの土台箔として使用した 『 アバロンセレクト 』( KURZ社製 )
ありえないカオスの塊、ここに爆誕


小玉さん含めたデザイナーの皆さんがおそらく普段なかなか使う機会が少ない箔を、バランスを考えつつ、私にとっても予想不能なディープな仕様を目指して製作しました。 裏書の箔は可読性を考慮し、ヴィヴィッドカラーのチェリーピンクを使用。

パターン3 ホンモノゴールド 金ぴかギラギラ

シールの表面は 金 × 金 × 金 × 金 の4色のゴールド構成


京都の箔材メーカー KANMAKI 製のブロンズパウダー( 真鍮粉 )使用の青金と赤金の2色の箔を選びました。古( いにしえ )顔料箔を使用したホンモノ感漂うピカピカ仕様です。

ホンモノ志向の方にはこちら
背景には KANMAKI 製の渋みのある青金・赤金の箔を使用


青金と赤金の箔はシールの背景をメインとして( 押し面積が大きい部分に )使用し、他の箔色は赤みの強い金ツヤ箔や金のホログラム箔を使用し、表面は全ての箔をゴールドに主軸を置いた箔色の展開としました。

パターン4 キャンディカラーCMY

あわい CMY の中にある力強さ


キャンディのようなポップなカラーを意識
して、C( フレッシュウォーター )・M( シルキーピンク )・Y( ビアゴールド )の箔色の組み合わせを考えました。

シール表面の4色目には上の写真の金属版を用いて
シルキーローズの箔色で箔押し加工
作品にぎゅっと締まりを持たせて完成!


また、キャンディカラーのみの表現にした場合、「 キュートになり過ぎるのでは? 」 と想像し、可愛らしさを最大限キープしつつアクセントとしてシルキーローズの濃い色を最後に押すことで作品に締まりを持たせました。

◉ 小玉文( こだま あや )さんからメッセージ

・ プロフィール

小玉文( BULLET Inc. )
2013年グラフィックデザイン制作事務所 BULLET Inc. を設立。

特殊紙の質感や箔押し・抜き加工など
「 手で触れて感じることのできる 」 デザインの面白さに魅せられ、紙を用いた製品や作品を多数制作。

BULLET Inc. としては、食品や飲料のパッケージデザインをはじめ、店舗や企業のブランディング・web・装丁など、幅広い分野のアートディレクション・デザイン制作を行う。

主な受賞歴に、German Design Award、One Show (gold)、Pentawards (platinum)、Cannes Lions、D&AD (graphite)、Red Dot、iF Design Award、グッドデザイン賞など。

・ 『 バレット・バニィ 』 について

シール表面( 1種×箔4色×4タイプ )
シール裏面( 1種×箔1色×4タイプ )


48×48mm の箔押しシール企画… って
えっ、憧れのビックリマン風シールがつくれる… ってコト!?
こりゃあ、参加せんわけにはいかんでしょう!

なにをかくそう、昔[ 十字架天使 ]大好きだったんです〜
この写真は全然楽しくなさそうですが、大好きです。笑

せっかくなので、なにかオリジナルキャラをと思い
[ BULLETのひみつ ] をキャラ化したシールをつくることにしました。

休みの日にガリガリ描きました。
久しぶりにこういうのを描いて楽しかったです。

完成した箔押しシール4種類を持つ小玉文さん


BULLET という社名は私の名前( 小玉 )からつけたのですが
「 貫通力のある強いデザインを作りたい 」 というイメージでした。
ちょうどこのとき、複数の仕事を頭を切り替えながら進めていたので
そういうテンションで、二兎を追うウサギのキャラができました。

セパレーター面に001とナンバリングしていますが、
次につくるなら [ 井の中の蛙 ] 的なキャラかなぁ・・・

・ コスモテック 青木さんへ

箔4色の贅沢仕様、「 のせ 」 と 「 ぬきあわせ 」 の入稿データをつくる練習課題のようでした!笑

お任せで選んでいただいた箔はピンク系多めで、どのバニィちゃんもイカレててかわいいです〜 さっすが、わかってるぅ〜!!!


【 連絡先 】
ようこそ!行列のできる『箔押し印刷工房』へ
http://blog.livedoor.jp/cosmotech_no1/
有限会社コスモテック 青木政憲
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?