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「ステーショナリーブランド nandaka」

こんにちは、現場の前田です。
今回、ステーショナリーブランド nandaka( なんだか )のペーパープロダクトの一つ 「 Birds Are Dinosaurs 」 の製作・加工のお手伝いをさせていただきましたのでご紹介させていただきます。

2022年10月7日(金)よりステーショナリーブランド nandaka のオンラインストアもオープンしました! コスモテックがお手伝いさせていただいた 「 Birds Are Dinosaurs 」 もお求めいただけますので、 ぜひこの記事の最後に載せているリンクからチェックしてみてください。


nandaka とは?

プロデューサーの菊田ひとみさま、デザイナーの堀太誌さまのお二人が立ち上げたステーショナリーブランド、それが nandaka( なんだか )です。

nandaka について

なんだか手紙が書きたくなった。
そんなふうに思える相手や機会がふっと訪れた時、普段の自分の文字数やその時の気分に合って、自由に書きたい気持ちを尊重してくれるレターセットがあったら。

そんな個人的な願いから立ち上げたステーショナリーブランドです。

手紙を書く時に本当に必要なカードや便箋は、書く行為をさりげなくサポートし、応援し、時には思いがけず、自分の魂に近い場所からするりと言葉を解放してくれるものではないかと思います。

このような手紙の在り方を起点に、常に改良を重ね、「 なんだかいい 」 手紙のデザインを追究していきます。


菊田さま、堀さまから、 nandaka を立ち上げるに際し、コスモテックの箔押しを用いたステーショナリーを製作したいとお声がけいただいたのは 2022年6月下旬の出来事です。

お打ち合わせや箔押し加工の立ち会いなど、菊田さま、堀さまのお二人はお忙しい中 コスモテックに何度も足を運んで制作の確認や意見交換をしてくださり、今回ついにリリースすることができました!

製品 「 Birds Are Dinosaurs 」 について

サイズの異なる4サイズのカード、それを納める封筒4種、封緘シール4種。これらが一まとめになったものが 「 Birds Are Dinosaurs 」 のペーパーアイテムセットです。

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製作で使用した紙は銘柄を統一
その中で紙色の異なるもの4色をセレクト

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封緘シールはふかふかの和紙素材を使用
活版印刷でシルバーインキを印刷

製品解説( 文 nandaka )

昔もらった手紙を発見することと、化石を発掘することは似ているように思います。その人の筆跡が確かなものであるように、そこに書かれた人やもの、事、時代が確かに存在し、その事実が今の自分を作っていると実感できる。時を経てこそ手紙は本領を発揮します。

子どもの頃、恐竜は6500万年前に絶滅したのだと覚えましたが、今の学説では現在生きている鳥類はすべて恐竜の一種である獣脚類の生き残りなのだそうです。

手紙という文化も滅びずに、人間の営みがある限り続いてほしい。
そのために人々がとっておきたくなるような、なんだかいい手紙用品にするべくデザインしたレターセットです。ぜひ自由に楽しんでお使いください。


紙 「 新バフン紙N 」 を活かす

4種類のカードで使用している紙は、新バフン紙Nを使用しています。
新バフン紙Nは、 「 古い民家の土壁のような風合いを持たせたファンシーペーパー。どこか懐かしさを感じる、がさっとした手触りが特長的です。 」平和紙業株式会社ホームページ より )

コスモテックでも今まで新バフン紙Nを普段の仕事で使用することが多々ありました。紙そのものが持つ風合いや印象のせいなのか、比較的 「 和 」 を感じさせる案件で多く使われていた印象があります。

そのため、今回の nandaka のステーショナリーで新バフン紙Nを使用したいと、菊田さま、堀さまからはじめてうかがった時はちょっと驚きました。私の頭の中では経験的に 「 和 」 の印象が強い紙だったため、今回のカードのデザインとうまくマッチするかが想像できず不安に思ったのですが、お二人の中ではすでにお打ち合わせの段階からはっきりと着地点が見えているように感じました。

そして、いざ箔押し加工をしてみると、私の小さな不安は驚きと感動に変わったのでした。

Wagtail( セキレイ ) | 80 × 130mm

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今回 「 Birds Are Dinosaurs 」 で製作したカードは、上の写真の Wagtail( セキレイ )をはじめ、 Gallus( ニワトリ ) ・ Gastornis( ガストルニス ) ・ Tyrannosaurus( ティラノサウルス )の合計4種類の箔押しカードです。

紙は新バフン紙Nの14色の紙色( 2022年10月現在 )の中から、ゆげ・とりのこ・くも・つちの4色を選び、4種類のカードの図版に割り当て、使用しております。

彩光腐食(さいこうふしょく)の登場

カードの仕上がり寸法は4種のカードでそれぞれ異なり、各カードの箔押し面積も全て異なるため、4種を並べて見比べてみると、それぞれのカードの印象もずいぶん異なります。

また、箔押し加工をしていて特に感じたのが、箔を押す部分と押さない紙地の余白部分が絶妙なバランスで成り立っており、シンプルな佇まいながらも非常に贅沢で上質なカードという印象を受けました。

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紙は新バフン紙N(ゆげ) × 彩光腐食版 「 Type-D 」 を使用


今回箔押し加工に使用している版は、私が過去に書いた note の記事内で幾度となく登場している「彩光腐食(さいこうふしょく)」と呼ばれる技術で作られた特殊な金属版です。

コスモテックの note をご愛読くださっている方の中には、上の写真を見てすぐに ピン! とくる方もいらっしゃるかもしれません。箔押し加工した部分に繊細なテクスチャーが見られる部分があるのをお分かりいただけると思います。この部分が彩光腐食を施した金属版で箔押しした部分なのです。

Gallus( ニワトリ ) | 96 × 148mm

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Wagtail( セキレイ )にはセキレイのための、 Gallus( ニワトリ )にはニワトリのための…

製作にあたった4種のカードそれぞれに異なる彩光腐食のテクスチャーを菊田さま、堀さまが多岐に渡る彩光腐食のテクスチャーパターン帳の中から選んでくださいました。

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紙は新バフン紙N(とりのこ) × 彩光腐食版 「 Type-K 」 を使用


写真をよく見ると、彩光腐食の部分とそうではないフラットな部分が見て取れます。このように、一つの金属版内で、彩光腐食をする部分としない部分をデザインをし、製品 / 作品にメリハリをつけております。ちなみに、今回のデザインを箔押しする作業は2工程ではなく、彩光腐食部分とフラットな部分を1回で箔押し加工しています。

撮影したカードの写真からも、彩光腐食部分の模様の陰影がアクセントとなり、図案がいきいきと表現できているのが分かります。

なんだかいい発見!

紙の触感がガサガサっとしていて、固くぱきっとした新バフン紙Nに箔押し加工をしてみた瞬間の驚きが今も鮮やかに残っています。

Gastornis( ガストルニス ) | 115 × 165mm

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想像していた以上に新バフン紙Nの表面特有のテクスチャーが強く、箔を押した部分に紙のもともとの地が影響しました。

彩光腐食をしていないフラットな状態の箔押し部分は特に紙地の影響が強く、ツルッと平滑というよりは、しゅわしゅわっと淡く皺が寄る印象になったのですが… これがなんだかいい感じなのです。

もちろん、彩光腐食をしている箔押し部分にも多少紙地の影響はあるのですが、こちらは柄に馴染んでしまうので、紙地の影響はあまり目立ちません。

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紙は新バフン紙N(くも) × 彩光腐食版 「 Type-J 」 を使用


図案 × 紙 × 箔押し加工の三位一体の組み合わせによって、「 和 」 のテイストが強いとばかり思っていた新バフン紙Nの印象が、私の中でがらりと変わったのを感じました。

nandaka の 「 Birds Are Dinosaurs 」 の製品解説内に登場する 「 化石を発掘すること 」 の一文がありますが、今回の製作で今まで見たことがない佇まいの箔押し表現が突如目の前に現れ、まるで化石を掘り出したかのように 「 なんだかいい発見をしてしまった! 」 という気持ちになったのでした。

Tyrannosaurus( ティラノサウルス ) | 138 × 186mm

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細かい調整は加工立ち会いで

いざ箔押しする際には、プロデューサーの菊田ひとみさま、デザイナーの堀太誌さまのお二人がコスモテックにお越しくださいました。

箔色については当初のプランだとチョコレート色のメタリック箔を使う予定だったのですが、加工立ち会いする中で 「 お、こちらの方がイメージにぴったりかも! 」 と菊田さま、堀さまが選ばれたのが、新色の箔色( 2022年現在 ) 『 ピンクゴールド 』 です( 箔色は4種のカードすべて共通 )

チョコレート色も紙とよく合っていたのですが、くっきり・はっきりとし過ぎていたそうで、紙地と馴染む色合いというポイントから 『 ピンクゴールド 』 に急遽変更して、カードの量産箔押し加工に取り掛かりました。

そして、加圧加減なども目の前でご覧いただき、くっきり強く図案を押すべきか、気持ち圧を弱めてみようかなどのさじ加減をご判断いただきました。

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紙は新バフン紙N(つち) × 彩光腐食版 「 Type-A 」 を使用

nandaka が熱い

ステーショナリーブランド nandaka( なんだか )を立ち上げた菊田さま、堀さまは共に紙好き、印刷・加工好きが溢れる熱いお二人です。

また、仕様のやりとりのメールなどをはじめ、お時間をご一緒させていただき、お二人は熱い思いと共にそっと手を差し伸べてくれる優しさに溢れているものづくりをされているという印象を受けました。

コスモテックで箔押し加工したカード、活版印刷した封緘シールをよく観察してみると、nandaka( なんだか )いいな! なんだかすごい! に気づくことができると思います。

お求めはこちら( オンラインストアのご案内 )

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ステーショナリーブランド nandaka 「 Birds Are Dinosaurs 」 はお打ち合わせの段階から加工立ち会い、納品まで一貫して関わらせていただいた制作なので、私にとっても思い入れが強いステーショナリーになりました。

コスモテックでお手伝いさせていただいた 「 Birds Are Dinosaurs 」 は、下記の nandaka オンラインストアよりお求めいただくことができます。

ぜひ、多くの皆さまのお手に取っていただければ嬉しいです!


【 箔押し加工 】

有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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