002_のコピー

ありがとうポイント

ある朝、お母さんがハグしながら
「たけし、いつもありがとうね。」
といった。「うん」といおうとしたら、
「もうずいぶんありがとうポイントが貯まったね。」
とお母さんは続けていった。
ぼくは「えっ?」と思って聞いたんだ。
「ありがとうポイントってなに?」
「ありがとうポイントはね、お母さんが
 こころからたけしに感謝したときに
 つくポイントだよ。」
ぼくははじめて聞いたので、
わかったような、わからないような感じだった。

「ポイントがつくとなにかいいことがあるの?」
と聞いた。素朴なしつもんというやつだ。
「とってもうれしい気持ちになるでしょ?
 そうしたら、もっとポイントをもらえるように
 お母さんにいいことしたくなるわよ。」
「でも、ポイントがつくなにがいいことかなんて
 わからないよ。どうすればいいの?」
「それはたけしが考えなさい。最初から
 こたえがわかっていたら、ありがとうって
 気持ちがわかないかもしれないわよ。」
それでもぼくは、
わかったような、わからないような感じだった。

でも、なんとなく納得することにして
「うん」と返事をした。
するとお母さんはこんなこともいった。
「ありがとうポイントが貯まるようになったら、
 ほかの人にもいいことがしたくなるわよ。
 そうしたら、
 その人からもありがとうポイントが
 もらえるようになるわね。」
ふ〜んと、返事をしたぼくは、
なんだかうれしくなってきた。
ハグしたお母さんもにこにこ笑っている。
いつもよりあったかいハグだった。


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