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個別の空

窮屈だといってジタバタ暴れても
空はちっとも晴れてくれない
息苦しいといって深呼吸しても
空はちっとも澄んだ空気をくれない

ウイルスを通さないマスクをしているから
吸い込んだ酸素も薄い気がする
テーブルの前と横に
アクリル板が立てられている

透明だからといっても
触れ合えない距離は遠くに感じる
50cmほど先に君がいるのに
50kmも離れてしまったふたりは
もう元には戻れない

心が離れないように結ばれていた糸が
プツンと切れた

「当店は個別空間を確保しております。
 安心してご利用くださいませ。」

一時しのぎなのはわかっている
だけどリピーターになれそうにもない

何か大切なものが欠けている
青空には何も書いていないけれど
何か大切なものをなくしている


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