鶺鴒鳴く

吾木香が秋風にゆれるころ
セキレイは鳴きはじめる

むかしむかし
まだ日本列島がなかったころ
イザナギノミコトと
イザナミノミコトは恋をした
ふたりは愛し合っていたが
愛の営み方を知らなかった
そこにセキレイがやってきて
ふたりに愛の契りを教えた
ふたりは日本最初の夫婦となり
イザナミは日本列島を生み
様々な神様を産んだ

中秋の名月を迎えるころ
野山には吾木香が咲く
お月見にはすすきと一緒に飾られる

秋にありて
時を超え　時を謳い　時を味わう
ゆえに　秋にありて我思う

※鶺鴒＝セキレイ
　吾木香＝われもこう
※七十二侯「鶺鴒鳴く」＝9月12日（2021）