学問体系(学部)を通してリベラルアーツを理解しよう
今回は、大学の学部(学問体系)を、区分/分類しながら、リベラルアーツを理解するということをやっていきたいと思います。
※ 前回は、「モナリザワーク」というオリジナルのワークを通して、リベラルアーツを体験してもらうための記事を書きました。
「理学/工学/農学」は自然科学
まずは理学/工学/農学から。これらは自然科学に分類されます。比較的イメージしやすく、なんとなく「自然科学だよね」と思える人も多いのではないでしょうか。
この学部群は、大自然。もっと大きくいうと、
人がいてもいなくてもそこにある、宇宙の真理や法則といった「原理原則」を探究して、それらを解き明かしたり、自然から何かを引き出して応用したりする学問、と言えるかと思います。
自然物を対象にし、観察を通して帰納法的に自然法則を見出したり、仮説を立て、それを実験を通して演繹的に検証する、といった手法で進めていきます。
自然科学では、人を「ヒト(生物のヒト)」として捉えます。
「文学/神学/哲学」は人文学
次に、文学/神学/哲学。これらは人文学(人文科学)に分類されるかと思います。これらも同じくイメージを持ちやすいですね。
これらは、「よいわるい」「価値がある」「傑作だ!」とされるものが、国/時代/思想などで別れるのが特徴です。
例えば、「正義」なんてものも、実は立場や状況によって異なっていたり、変化したりしますよね?これは要は解釈だともいえます。解釈は人文学特有の領域と言えます。
ちなみに、法学はどうでしょうか?
一見、あとで出てくる社会科学に感じられるかも知れません。その側面ももちろんありますが、実は人文学要素も多分にあると考えられます。
例を挙げてみたいと思います。
かつての米国の禁酒法というのがありましたよね。
禁酒法って、今でこそ、なんだったの?ナンセンスだよね?おかしいよね?という感覚ですが、当時当国では、(全員ではないにせよ)、ある程度の人々が、正義だったり、正しいと解釈判断していた訳ですよね。
ということはやはり国や時代で変わるということです。これはやはり人文学的です。
モナリザという絵画(芸術)への評価もやはり人文学的といえますね。
人文学では、人を「人(他の生物と一線を画す特別な存在)」として扱います。
「経済学/経営学/商学」は社会科学
最後に経済学/経営学/商学。こちらは社会科学に分類されます。
そもそも「社会」というのは、端的には人間が形成する集団だといえますが、社会科学は、その社会の中での相互作用や関係性を探究する学問といえます。
相互作用や関係性の学問という側面があるので、効率や生産性、変化といったこと、はたまた(経済的に)合理的か、非合理的かといったことはテーマになりやすい。
社会科学は人を「要素/構成単位」といった捉えをしているといえます。
■まとめ
人というものを学問領域別に捉えると、、、
自然科学→ヒト
人文学→人
社会科学→要素/構成単位(人間?)
と表現できます。
どうでしょう?「人」といったものだけでも、これだけ捉えが変わる訳です。
この捉え方を、区別したり、行ったり来たりすることをリベラルアーツと呼び、これが自在にできる人を真に「教養のある人」といえるのです。
心理学はどの学問領域?
では最後に心理学を考えてみましょう。実はこの学問をリベラルアーツ的に捉えようとすると、意外に訓練になり、結果として整理が進むと思います。
心理学と一口にいっても、その中身は多岐に渡りますので分解してみましょう。代表的なものを挙げます。
■古典心理/言語心理
フロイト/ユング/アドラーなど。自我とか潜在意識とか。これらは人が考えた概念、言わば解釈です。なので、人文学に区分を出来得ます。
■発達心理/神経心理
これは心理を、生物の仕組み、と捉えて、観察します。人もヒトとして、つまり動物の一種と捉えて扱います。これは、自然科学でしょう。
■行動心理/群衆心理
これは社会の中での人間の行動、挙動、行動メカニズムを対象にします。これは社会科学としておきましょう。
※ちなみに、心理学を基礎心理/応用心理と分ける切り口もありますが、応用心理は基本的にはここに入ります。
どうでしょう?一口に心理といっても、どの心理学かでアプローチが違うことがイメージ出来るのではないでしょうか。
例えばですが、この3つの領域の心理学を全て扱う/統合的に扱う、と志向するのであれば、
それこそが「リベラルアーツする」と呼べるでしょう。
3つの学問領域をうまく組み合わせたり、行ったり来たりすることで、より豊かに学問が展開できたり、社会還元が進んだりしそうな期待が持てますね。
以上、大学の学部を例に、リベラルアーツの理解を深める回でした。
感想、意見、示唆頂けますとありがたいです。よろしくお願いします(^v^)。
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