見出し画像

私が体験してきた異文化コミュニケーション

今回は異文化の人々とのコミュニケーションにおける、私の体験をいくつか紹介します。

大学院時代

研究室での出来事

私が有機化学の研究室にいた大学院時代、学会発表は研究者としての一大イベントでした。運がよく私たちの学校が主催者側に回ることもあり、その際には国際的な参加者もいました。一度、外国人研究者が私たちの研究室を訪れたことがありました。彼は先生の知り合いで、研究室に招待されたのです。
私も話す機会がありましたが、英語がまったく出てこなくて困り果てていると、彼は身振り手振りでコミュニケーションを取ろうとしました。我々が英語を話せないと理解していたみたいです。すると、どういうわけか徐々に分かりあえたような感覚になっていました。
加えて、化学構造式を書くことで、言葉を超えた理解を可能にしました。分かりやすい例でいえばベンゼンがありますね。こういった構造式を書き、簡単な英単語を使って研究内容を共有することができたのです。
この体験から、言葉だけがコミュニケーション手段ではないことを学びました。当時の私にとっては非常に大きな出来事でした。

学会発表後の懇親会での出来事

私の研究成果は特に目立つものではありませんでしたが、懇親会での経験は忘れられません。
当時、私はとにかく外国人ところにダッシュしていき、ハロー!と声をかけました。話した内容を全然覚えていないことからも、ほとんど会話はできていなかったと思います。構造式を使ったコミュニケーションの可能性を知ったばかりの私は、メモを使いながら外国人参加者に積極的に話しかけました。そんな中、とある男性と肩を組んで写真を撮ってもらいました。
彼がノーベル賞の審査員クラスの重要人物だったとは、後になってから知りました。当時の行動は若さの過ちかもしれませんが、今ではその大胆さを貴重な経験として大切にしています。私は、言葉は違っても相手もまた人間なんだということを学びました。
ちなみに、先生がA4用紙にプリントアウトしてくれた彼との写真は今でも大切に保管してあります。

社会人時代

研究開発時代のできごと

社会人になり研究開発職をしていた私は、韓国と中国への出張が多くなりました。開発した製品の問題を現地で直接解決するのは大変でしたが、韓国のマネージャーたちは日本語も英語も話せるため、コミュニケーションは比較的スムーズでした。私も英語で必要なポイントを伝える努力をしましたが、彼らの流暢な英語には驚かされました。ほんとにペラペラ話せるんです。
当時の私の環境は、周りの先輩を含めて言語を積極的に学んでいる人は皆無だったこともあり、世界は私よりずっと先に進んでいるんだということを肌で感じました。言うまでもなく、この気付きも私にとって非常に大きなものでした。

品質管理時代の出来事

グローバルな品質管理業務では、世界中の人々と英語でコミュニケーションを取っていました。例えば、ヨーロッパ、南アフリカ、アメリカ、中国、インド、アルゼンチン…といった国々でした。
基本英語で会話をしましたが、多くの人はネイティブではなかったため、お互い様の気持ちで接しました。しかし、彼らの英語を話す意識の高さには感心させられました。それは、開発時代に韓国で感じたものと似ていました。
また、これだけの国々の人と横並びにやり取りをしていると、文化的な違いによる考え方の差異を感じざるを得ません。これに気付いた当初、仕事を進めるのが非常に難しく感じたのを覚えています。一つの資料を作っても、それを他に転用することができなかったからです。
こうして試行錯誤を重ねるうちに、相手に合わせた表現方法の大切さを学び、相手の立場に立つことの重要性を実感しました。
このような姿勢で仕事をし始めてからは、たとえうまく話せなくても、相手は私のチャレンジを受け止めフィードバックしてくれるようになりました。このころから、私を一人のビジネスパーソンとして認めてくれたんだなと感じることができるようになりました。彼らとは、いいコミュニケーションが取れていたのだと思います。

そして、これから

ここまで学生時代、社会人時代の私の経験を綴ってきました。
日本に住みながらも、海外の人々との密接な関わりを持ってきた私。インターネットの普及により、私たちは今、地球の反対側にいる人とも、メール一つで簡単に繋がることができます。ビジネスの会議はオンラインで行われ、交友関係もソーシャルメディアを通じて広がっています。しかし、このデジタル化された接続が、直接対面での経験の価値を薄れさせることはありません。むしろ、実際に異文化の人々と共に過ごし、その空気を感じ、目の前で彼らの表情を見ることでしか得られない理解と絆があります。

こうした経験を、異文化間の架け橋に適応できると考えています。私が目指すのは、ただ異文化間の理解を深めることだけではありません。それぞれの文化が持つ独自の価値を認め合い、共有することで、より豊かで多様性のある世界を実現することです。この目標に向かって、私は自分の知識と経験を最大限に活用し、一歩一歩前進していきます。そして、これからも新しい挑戦を恐れずに、異文化理解のためにできることを探求していきたいと思っています。

持続可能な世界に向けて、世の中に貢献していければ嬉しいです。


この記事が参加している募集

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?