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coordimateの挑戦~2022年振り返り~

皆さん、こんにちは!この服アリ?ナシ?がサクッと聞けるアプリ『coordimate(コーディメイト)』Founderの飯野です。

激動の2022年が終わりを迎えようとしています。事業化決定からユーザー拡大まで目標にしていた数字はすべて達成することができました。正直1年前にここまで来れていることを具体的にイメージ出来ていたわけではないですが、チームメンバーやアンバサダー、mate、そしてcoordimateを応援してくださる関係者の方々に支えられ、自分たちが想像していたよりも少し先まで来れた気がしています。そんな1年をしっかり振り返ることで2023年は更に前進し、ワールドカップでも連日世間を賑わせていた「新しい景色」を見に行きたいと思います。


自己紹介

飯野 健太郎(coordimate Founder)
大手通信会社に新卒で入社後、法人営業に7年間従事。その後M&AやPMI、出資先の経営管理を担当。現在は教育事業の中核子会社に出向し、教養コンテンツの企画・制作・運用の責任者を務めながら、2022年7月にcoordimateを立ち上げた。小学1年生から大学までサッカーを続け、4回生の時には大学日本一!(勿論試合には出ていない)。趣味は読書と息子のサッカー観戦。弱点はジェットコースターと茶碗蒸しとレーズン。

coordimateとは


コーディネート写真をUPするだけで、mate(一般女性のファッションアドバイザー)から、あなたのファッションに対して「アリ」「ナシ」のリアクションやアドバイスをもらえるアプリです。(現在はiOSのみ対応)。立ち上げた背景は以前noteにまとめましたのでそちらをご覧ください。

coordimate全体像

2022年の振り返り

事業化決定!!

まずは、私たちの事業の進め方についてお話します。私たちは39worksというNTTドコモが行う新しく価値のある事業をパートナーと生み出し、社会にインパクトを起こしていく新規事業共創プログラムに2020年から所属しています。こちらが私たちの事業化までの全体像です。

4年間の軌跡
4年間の取り組み量

2022年以前のお話についても最近お話する機会がありまとめましたので、どこかで記事化できればと思います。ただ、今回は2022年に焦点をあてて振り返っていければと思います。

2022年は「本当に事業化できるのか?」とソワソワした、不安な気持ちでスタートしました。なぜならば、一度社内ベンチャー制度の際に事業化に「NO」と言われたことがあったからです。今回もそうなるのではないか?また検証してきなさいと言われるのでは?と思うこともありました。恐らく他の起業家の方からすれば「誰かの意思決定を待たずに自分でやってみる方が早いんじゃないの?甘えてるんじゃないの?」と思うと思います。私もそんなことを考えました。ただ、自分たちが実現したい世界に向かう上での「最速」が、まずは大企業の中で権限をもらいながら事業を立ち上げていくことであると考えていました。速度の定義は物理的なものもありますが、チームメンバーや関係者の納得感等の精神的な速度もあると思っており、それらを鑑みた私の中での「最速」がこの39worksでの事業化だったのです。

ソワソワした気持ちや不安な気持ちがあったものの、「結果」が出ていたことと、事業化プレゼンに向けて社内外の方10名以上にプレゼンを行い自分たちの考えを研ぎ澄ませていたので、事業化決定プレゼンは落ち着いた気持ちで臨むことができました。長くなりますが、自信を持てた2021年の検証結果のみ簡単に触れておきます。

2021年は現在のcoordimateというサービスではなく「チア★ハンサム」という名前で検証を行っておりました。

当時は「メンズ向けフィードバックサービス」としていました。

検証期間で唯一予算をかけた検証でした。チャネルトークというサービスで私たちが提供したい体験を疑似的に構築。簡易的なLPを制作し、少額のweb広告を打つことでLP(疑似App store)への流入からサービス利用(アプリDL~服装を相談する)までつながるのかを検証しました。

広告を少額でしか行わないため、サイトへの流入が4,000人、サービス利用が200人、相談まで行うアクティブ率10%を目標として1か月間検証を行いましたが結果は想定以上でした。

サイトアクセス者数(当時の検証結果プレゼン資料より)

サイト来訪者は2週間で目標を達成したため、データで見えている事象を踏まえ残りの2週間は他の仮説検証に費やしたりしていました。

サービスアクセス者数(当時の検証結果プレゼン資料より)

サービスのアクセス者数の目標200人も1週間で達成し、残りの期間はインタビューやサービス内の体験を少しずつ変えながら、アクティブ率をあげるためには、どうすれば良いかを検証していました。

アクティブ率推移(当時の検証結果プレゼン資料より)

当初はターゲットユーザーが抱えている課題=不を想起する広告を出していましたが、インタビューでのユーザーのお話や数値を見ると「何のサービスかが分からない」ことがアクティブまで行かない理由ではと考え、クリエイティブを変更しました。併用したところ効果があったのですが、目標まで到達しません。再度インタビューを行っていくと「結局これを使うとどうなるのかが分からない」のでアクティブに繋がっていないことが見えてきました。そこを訴求するクリエイティブに変更したところ、面白いようにアクティブ率が上がりました。

他にも面白い結果がたくさん出たのですが、書き出すとキリがないので、これ以降は他の記事に譲るとして、こんな結果を引っさげて事業化決定をもらうための会議に付議しました。

結果は・・・「事業化決定」でした!!!(見出しが事業化決定なので煽る意味ないですね)これが2022年2月9日の出来事です。当日はそれ以降どんな仕事をしたのか全然覚えてないです。ただ、会社の同期やこれまでの活動を応援してくださっていた方、家族から「おめでとう」と言われ、ついにスタートラインに立てるんだなと思ったフワフワ嬉しい気持ちと、ついに!という高揚感と、もう逃げられないという怖さとが入り混じった気持ちになったことだけ覚えています。

チア★ハンサムからcoordimateへ

事業化に向けて2022年2月10日より本格的に始動しました。最初に行ったのが、開発の仕様を固めることやマーケティング戦略を話すことではありませんでした。まずはチームとしての原点をつくるために飯野が本当にやりたいことは何なのか?メンバーがそれのどこに共感してきたのか?それを端的に言うとどういうことなのか?ということばかり、2か月間延々と話しました。実はこの進め方は外部の方からのアドバイスだったのですが、これがなければすぐに開発着手してしまっていたと思います。実際やりたいことや進みたい方向もチームでぶれている認識はなかったので、正直「この時期にこの活動いる?」と思っていました。ただ結果的には2022年の取り組みとしてここが一番大事で、このタイミングでできて本当に良かったと思います。2022年のハイライトは個人的にはこの取り組みだと思っています。

MV決定までの2か月間の取り組み

ここでのポイントは「そぎ落とす」です。世の中の大半の人がやってしまいがちで、私たちも何度も外部のメンターに指摘されたのですが、あれもこれもと盛り込んでしまうんですね。不安や心配からくるのかなと思うのですが、やたら単語や話を入れたがってしまう。でもそれだと本当に伝えたいことが伝わらないことがやってみてわかりました。あと、詰め込みすぎると余白がなくなる感じもしました。これは結構重要だと思っており、その背景にある想いや世界を私たちに関わってくださる方々が自分たちの考えでイメージできる感覚が狭まってしまう。そうすると私たちが想像した以上の世界にはならないんじゃないかなと思いました。なので、そぎ落とし、そぎ落とし、尖らせること。この過程でチームで進む方向性の解像度や納得感も体感100倍くらいは増した気がします。あと自分たちだけでは中々できないので、客観的な方に何度も壁打ちしてもらうことも大切だと思いました。自分たちだけでは「こんなもんでいいかな?」とかすぐに思ってしまうので。

Mission
Vision
私たちが実現したい世界

2か月の期間を経て完成したMVや実現したい世界がこちらです。これができたことにより何を決めるにしても「本当にこれは安心して失敗できることに繋がるのか?」という判断基準をチームが100%合意した状態で持てるようになりました。またこの世界を実現していくにあたりチア★ハンサムというサービス名では偏りすぎているという議論になり、サービス名も変更することにしました。

チア★ハンサムからcoordimateへ

新しいサービス名はcoordimateです。coordimateはcoordinate(コーディネート)とmate(メイト)の造語です。coordinateは調和させるという意味や同等のという意味があります。mateには仲間や相棒という意味があります。同じような仲間や相談できる仲間がいるからこそ安心してコーデに失敗できる。そんな思いを込めてサービス名を考えました。
ちなみにサービス名についてチームでかなりの数アイディアを出したのですが(50個以上はあった気がする)、私はファッションと同じくネーミングセンスも無いようで、チームメンバーから「なんとなくダサい根源を見た」としっかりいじられましたw。私もチームメンバー(mate)がすべてを受け入れてくれる安心感があるからこそ、失敗(恐らくみんなからしたらダサい?)ができたのであって、サービス名を決める時からしっかりcoordimateの思想を体現できていたのは良かったですw。

いよいよローンチ

チームとしての判断基準もチーム名も決まり、開発に着手したのが2022年4月1日でした。計画上6月中のローンチを見据えていたため、そこから逆算した開発着手のギリギリが4月1日でした。チームで議論し、当初の計画にはなかったのですが、最低限の体験ができるアプリが開発できたタイミング(完成度20~30%程度)で1度テストマーケティングをすることにしました。これはユーザーの声を一度も聞かないままローンチしてしまうと後戻りできない部分が出るのではと議論した結果です。

4月末から5月2週目にかけて2週間で27人のユーザーにテストアプリを使っていただき、14人の方にインタビューもさせていただきました。そのうち2人は会議室にお越しいただき、実際に初めてアプリをDLするところから自分のコーデを投稿するまでを後ろから撮影させていただき、止まった箇所や疑問そうにしていた箇所を映像を見てもらいながらインタビューもさせてもらいました。

改善箇所数

結果的にローンチまで大小合わせて281箇所の改善を行うことができました。自分たちでは全く想定していませんでしたが、初めて使ってもらうユーザーに指摘され「確かに!」と思う箇所もあり、計画を変えてでもテストマーケティングをしておいて本当に良かったと思いました。ただこれも闇雲にテストマーケティングをするのではなく、チームとして判断基準をもっていたからこそ具体的な改善点が見つけられたのではないかと今振り返ると思います。

最終的App storeの申請でリジェクトされるトラブル等もあり、計画より遅くなりましたが、2022年7月5日に無事にローンチすることができました。

初期のApp store画像と説明

最低限の体験設計

ローンチ後は、私たちが考えている最低限の体験(アプリDL⇒相談作成⇒相談する⇒mateからコメントが返ってくる)が回るのか、ということを数値をみながら改善していきました。目標はMAU/DLが5%以上になること。相談するハードルが高そうであることは分かっていたので、まずは相談する手前まで来てもらえているのかにも着目していました。
また過去の検証にてターゲットユーザーは18-25歳のパートナーのいない男性に定めていたため、大学生を中心に初期ユーザーを獲得していくことにしました。そして大事なこととして、最低限の体験が出来上がるまでは、マーケティングにお金をかけずに進めようという決断をしたことです。これはバケツに開いている穴の大きさが分からないまま蛇口を捻っても水を溜められないことと一緒で、穴の大きさがある程度(MAU/DL 5%)見えるまではマーケティングに一切お金をかけない決定をしました。

初期のマーケティングアプローチ

実際に学生イベントにも登壇させていただいたりすることができました。ほぼノープロモーションにも関わらずApp storeのimpは1万を超え、ファッションを誰かに相談したいニーズは確実にあることが見えてきました。

ローンチ1か月の結果

このタイミングでの評価が正しいか分かりませんが、初期ユーザーたちは最低限の体験でも使ってくれていることが見えてきました。私たちとしては想定した期間で目標を達成できたため、次のフェーズに移行することに決めました。

体験改善のための定量データ集め

ここから継続率や相談数をあげていくためには、機能開発や体験の開発が必要になりますが、そこにはリソースを振り向けていく必要があります。私たちに大きなリソースはないので、機能開発等で一つ手戻りが起こればかなりのダメージを追ってしまいます。そこで、最低限の体験が成立していることは確認できたので、本格的にマーケティングを始め、集まったデータを元に効果的な機能や体験設計にリソースを振り向けることにしました。事業計画を上回る数値でしたが、2023年1月末までにDL数5,000、MAUで1,000を目標に進めました。ちなみにこの5,000という数値は今後の事業拡大を見据えた計画数値だけではなく、分析観点で機械学習が走りだせる数値も意識して設計しました。

まず、マーケティングを始めるにあたり、初期ユーザーとしてcoordimateを使ってくださっていた大学生に再度インタビューを繰り返し、マーケティングコンセプトを変更しました。

大学生インタビュー結果
新しいマーケティングコンセプト

上記コンセプトをベースにweb広告を11月7日から開始しました。インタビューで出てきたユーザーの課題感を自分たちで精査した上で、16個のクリエイティブを仮説立てたターゲットに配信しながら、CPAが安いものに注力していきました。

運用したクリエイティブ(皆さんも一度は見たことがある?)

また大学生のコミュニティに飛び込むために、色々動いていきました。
まずは、テレビ東京×DMMオンラインサロン×dodaキャンパス合同企画として行っている「STEAMファクトリーHOPEZ」のオンライン就活番組に出演させていただきました。(1時間30分ごろからの第二部に登場しています)

これも「大学生に幅広くcoordimateを知ってもらう機会があれば何でもします」といろんな方にお話している中で、急遽出演できることになりました。出演者の皆さまにもcoordimateを実際に使ってもらい、その面白さを発信できたこと、そしてこのYouTubeを見てもらうだけで、大学生に簡単にアピールできるようになったことが大変ありがたかったです。

そして、大学生を巻き込みcoordimateを使ったファッションショーができないかと考えていたところ、関西学院大学4年生の田中さんと出会い、彼が大学の起業塾で古着屋事業を立ち上げていることなどを話していくうちに一緒にファッションショーをすることが決まりました。9月21日に話をし、11月26日行うことだけを決めてスタートしました。
それがcoordimate RUNWAY 2022です。

私たちとして初めてプレスリリースを出しただけでなく、この活動を面白いと思ってくださった関西学院大学の広報室の皆さまが大学公式のプレスリリースも出していただけました。
関西学院大学の学生やファッションショーに精通したアパレル関係の方などを巻き込み、2022年11月26日に無事にcoodimate RUNWAY 2022を行うことができました。

会場に来てくれたお客様と出演者集合写真
出演者と運営者集合写真

そして女性向けメディアですが、mate獲得や寄稿実績を積むことを目的にカワコレメディアというwebメディアでの連載もスタートさせました。

公式SNSも運用していませんでしたが、これを機に公式SNSの運用も開始しました。ちなみにこれらはcoorimateの運営を手伝ってくれている現役大学生の女性2人(3年生と1年生)が中心となって運用してくれています。(coorimate初代デジマケ担当です、良ければフォロー等をお願いします)
■Instagram
https://www.instagram.com/coordimate_app/
■TikTok
https://www.tiktok.com/@coordimate?_t=8WZCCiSjEGH&_r=1
■Twitter
https://twitter.com/coordimate_app?s=20&t=8E7WUt7o0_DDWEqWulP6pg

色々進めているとありがたいことに、ファッション系YouTuberのウルマさんが案件でもないにも関わらず、coordimateを使って、使った感想を話してくれる動画もあげてくださりました。これはチーム全員で大喜びでした。私たちが進めているマーケティングコンセプトがしっかり市場に刺さっていることの証左ではないかともチームで話していました。

長くなりましたが、やれることはどんどん動いた結果数値もしっかりついてきました。

DL数目標は前倒しで達成

詳細の数値はまだ出せませんが、DL数もMAUも目標を大きく超え、目的にしていた機械学習も稼働し始めました。そして今後のサービス改善に向けて大きな発見がありました。それは・・・マジックナンバーです。
精度高くユーザー動向を分析していくことで、継続率向上に向けたマジックナンバーが見えてきました。今後はこのマジックナンバー仮説を検証していくことにリソースを割くことで継続率の向上につなげていきます。

2023年は何をする

2023年はマジックナンバー仮説を検証し、継続率を改善させながらマネタイズに向けて進めていこうと思います。私たちの世界観を実現していくためにはユーザー数が大事になります。なぜならファッション領域だけではない領域でも「安心して失敗できる場所」にしていきたいと思っているからです。勿論事業をしている以上マネタイズは必須です。ただ、そのマネタイズと実現したい世界がトレードオフの関係にならないようにしないといけないなと強く思っています。
私たちがターゲットとするZ世代125人のアプリ利用率を調べたレポートで(n数が少ない気はしました)特に面白かったのが、出会系アプリ「Hinge」の台頭です。Tinder を筆頭に日本の出会い系でも普通とされるスワイプ文化に警鐘を鳴らし「より真剣に出会えること」をブランドの核としているコミュニケーションアプリです。利用するには全員サブスク!もちろん女性も。このHingeの「実現したい世界」と「マネタイズ」を両取りするストーリーが本当に勉強になるなと思い、2023年はこういった前例を研究しながら、coordimateだけの成長ストーリーを作っていく一歩目にしていきたいと思います。


気づけば8,000文字近くも書いてしまっていました。長文にお付き合いいただきありがとうございました。まだまだ深く振り返っている部分もたくさんあるのですが、その辺りは別の機会でお話していきたいと思います。
もし「大企業の中での新規事業開発」や「事業検証方法」などで聞きたいことがあればお気軽に以下アドレスまでご連絡ください。

coordimate.info@gmail.com

最後になりましたが、2022年にcoordimateに関わってくださったすべての方々、本当にありがとうございました。
2023年も熱く走りながら、一歩引いた目で事業を見ることで、面白いことをしているなと思ってもらえるように頑張りますので、引き続きよろしくお願いいたします。
またこれを機にcoorimateを知ってくださった方も、2023年から宜しくお願いいたします。

では、よいお年を。

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