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ガイドブックにない熊野・・ハンパないポテンシャルを持つ那智勝浦編④-coolなkumano23

那智勝浦編①・・山、②・・海、③・・温泉と美味しいもの
で④は、道です。まさしく熊野古道。
熊野詣のクライマックス。
山には、黄泉の国の入口である妙法山と熊野詣の最終目的地である神の滝があり、その神の滝である那智の滝から流れ出る那智川が谷を創り、谷には湯量豊かな温泉が自噴し、白蛇弁天や蛇の浦がある那智の海に通じています。
那智の谷は、那智の滝を龍頭とした龍の谷。
まさしく最強の霊地
なのです。

那智参詣曼荼羅のみちを歩く

那智の谷を海から那智の滝や熊野那智大社がある神域まで人々を運んできた熊野古道「那智参詣曼荼羅のみち」を歩いてみましょう。

■那智参詣曼荼羅について

那智参詣曼荼羅
熊野那智大社宝物殿に本物が
展示されるときもあります
和歌山県世界遺産センターには
レプリカが常設しています

那智参詣曼荼羅は、16~17世紀(室町時代)にかけて霊場へ参拝者を誘う目的で作成された社寺参詣曼荼羅の代表となるもので、現存は36点あり社寺参詣曼荼羅全体の約1/4を占め、突出して多いとのこと。
今でいうと、パンフレットやパワーポイントの役割を果たすものなのです。
この曼荼羅を持って熊野比丘尼たち(営業チーム)が全国を歩いて熊野の信仰を伝えていったのです。日本で最初のパンフレットです。
熊野三山では唯一現存しているのが、この那智参詣曼荼羅なのです。

この曼荼羅を観て何を感じますか?
いろんな人が登場しているでしょう。
信不信を問わず、浄不浄を嫌わず、身分の違いや老若男女を問わず」です。熊野が聖地となった大きな理由がここに描かれています。
熊野はだれでもを受け入れた寛容の地なのです。
(参照 熊野とは③)

前置きが長くなりました。

■那智参詣曼荼羅のみちへ

・JR那智駅→熊野那智大社、那智山青岸渡寺

赤いラインです

出発地点は、JR那智駅です。駅裏には、ブルービーチ。
南方補陀落浄土がある海からスタートします。
那智駅や周辺の補陀洛山寺、ブルービーチにも駐車場があるので便利です。

ブルービーチ那智
ここから補陀落渡海の船出が

那智駅を出発すれば、すぐに補陀洛山寺と浜の宮王子があります。

補陀洛山寺
補陀洛山寺(左)と浜の宮王子
手前の大鳥居は今はありません
再建してほしいですね

補陀洛山寺からしばらく舗装路を歩きます。
案内板など整備していますので安心ですよ。

途中には、曼荼羅にある関所の名残の地名があります。
「川関」「井関」「十一文関」。
寛容の地といえどお金は必要だったようです(笑)

川関のバス停だらけ(笑)

温泉も湧いてます。

通称流し台の湯??

少し進むと山に入ります。古道っぽい道が出現します。

古道(荷坂峠へ)

荷坂峠に「尼将軍供養塔」があります。北条政子が病気がちな子供である源実朝の平癒を願って建立したと伝わっています。「鎌倉殿の13人」でも北条政子役の小池栄子さんが、よく番組の中で何回か「熊野」って言ってました。夫である源頼朝も、新宮の神倉神社の石段を寄進しています。

尼将軍の供養塚

このことは平安時代の上皇・貴族の熊野御幸から武家へ広がりの証拠となるものでもあります。平家も同様に熊野詣をよく行いましたが、後の源平合戦の時は熊野は源氏に味方しました。その時、大きな役割を果たしたのが「熊野水軍」です。

こんなところもあります。薬師如来堂です。

不調がある方是非お参りを
穴を空けた石などと紐が必要です

薬師如来からすぐのところの「市野々王子」があります。
熊野九十九王子の1つで、地域の人は今も神社として大切にしています。

市野々王子神社
例祭もやっています
市野々王子と二ノ瀬橋

聖域と俗界を振り分ける橋「振ヶ瀬橋」を渡ります。
ここからが那智の聖域になります。
橋の手前の鳥居で一礼して聖域へ。

ここから聖域
振ヶ瀬橋
聖域と俗界をわける振ヶ瀬橋と

曼荼羅には、那智の滝の神の化身である龍が描かれています。
那智の谷は龍の谷なのです。

振ヶ瀬橋から少し行くと熊野の体験型観光で人気ナンバー1の平安衣装体験ができる「大門坂茶屋」があります。せっかくの機会なので是非体験を!

大門坂茶屋
樹齢800年の夫婦杉で
平安衣装の記念撮影!

夫婦杉をすぎると大門坂を登ります。
大門坂は、熊野古道のなかで最も美しい道。

熊野古道で最も美しい大門坂

大門坂の途中に、最後の関所である十一文関あり、そこから初めて那智の滝を観ることができます。

熊野那智大社に向かいます。

熊野那智大社境内
熊野那智大社社殿

熊野那智大社には十三柱の神さまがお祀りをされています。
熊野は三社それぞれ主祭神は違いますが十二柱の神さまを共通してお祀りしています。熊野那智大社は十二の神さまに加え、那智の滝の神さまをお祀りしています。

ここで描かれているカラスは
なぜか2本足

右の少し奥まっている社殿は、那智の滝宮。本宮の証拠殿(家都御子大神)、新宮の中御前(速玉大神)と続き、主祭神である西御前(夫須美大神)があり、その隣が天照大神。長い建物は八社殿で八柱の神さまをお祀りしています。

社殿がある内庭には、曼荼羅にも描かれている「烏石」があります。
神武東征で役割を果たした八咫烏の最後の姿です。参照↓

熊野那智大社内庭にある烏石
曼荼羅にも烏石が描かれています

これはなんでしょう?

大湯釜

沸かしたお湯に竹笹を浸して参拝者に振りかけ、お祓いをする神事にこの大湯釜を使っていたとのことです。社務所の玄関にありますよ。

真ん中に大湯釜があります

おとなりは那智山青岸渡寺。
明治の神仏分離まで曼荼羅にあるように熊野那智大社と同じ敷地にありました。

那智山青岸渡寺境内から

那智の滝と三重塔は、熊野の絶景の1つです。

真ん中の円は那智山青岸渡寺
西国三十三所巡礼の一番札所

熊野那智大社、那智山青岸渡寺に到着しました。
ここから
①那智の滝に参拝して、滝前からバスで下山。
②青岸渡寺の横から熊野古道大雲取越と途中で分岐するかけぬけ道を登り、黄泉の国の入口である妙法山阿弥陀寺を目指し、那智高原を経由してここに戻る周回ルートを使い、①のルートで下山。
上記の選択になります。
②は少しハードになりますので①で下山します。

・熊野那智大社、那智山青岸渡寺→那智の滝→JR那智駅(出発地点)

青岸渡寺の境内を三重の塔の方向に歩きます。

那智山青岸渡寺境内
撮影ポイント
那智の滝に向かう鎌倉積みといわれる石段

熊野那智大社、那智山青岸渡寺から那智の滝へは、今は裏参道とも言われ昔ながらの石段を下ります。
那智の滝は、熊野那智大社別宮の飛龍神社として祀られ、滝自体がご神体です。神の滝です。

天から降る神の滝
那智の滝の下には、滝行で気絶した文覚上人と救った金迦羅・制多迦童子が描かれている

那智の滝を観て涙を流す人をどれだけ見たでしょう。
この生命力に満ちた滝からの霊力をいただいて那智参詣曼荼羅の旅は終わりです。
出発地点のJR那智駅には、熊野交通の路線バス「那智の滝前」にご乗車してください。約20分です。

(参考)・熊野那智大社、那智山青岸渡寺→妙法山阿弥陀寺→那智高原→熊野那智大社、那智山青岸渡寺

時間に余裕があれば是非。海の絶景を観ることもできます。
青岸渡寺から熊野古道大雲取越を登り途中で分岐してかけぬけ道を進むと
妙法山阿弥陀寺に。さらに苔むした道を行くと奥の院がピークにあります。
そこから急坂を下り、那智高原を経て、青岸渡寺に戻ります。

妙法山には富士見台があり、ここは富士山が見える最遠の地なのです
見えるのは雲がない空気の澄んだ早朝です
大雲取越とかけぬけ道の分岐
妙法山方向へ
妙法山阿弥陀寺
黄泉の国への入口とされた
妙法山阿弥陀寺からの絶景

妙法山には月(黒い太陽)
那智の滝には太陽。
陰と陽、死と生を表現しています。
妙法山は、黄泉の国へに入口、死んだ人の霊が登る山。
那智の滝は、生の象徴である水の流れるさま。
それは、天から降り注いでいるかのよう。
この曼荼羅は山中他界、海上他界の入口とされる「死の熊野」を描いてるともいえるが、 那智の滝の水が育む「生命力あふれる」素晴らしい聖地も表現しています。 死と生が重なり合う熊野。
ぜひこの道を歩いていにしえの人々が求めた熊野を感じ、神様、 仏様と縁を結んでください。

ハンパないポテンシャルを持つ那智勝浦編①~④で那智勝浦が持つ魅力、ポテンシャルの大きさを紹介しました。
黄泉の国の入口とされる山、生命力がほとばしる那智の滝、泉質抜群・湯量豊富な温泉、懐かしい山間の集落、まぐろをはじめ美味しいもの、ダイナミックであり静かでもある海、それらを繋ぐ古道。
日本人がここを目指してきた深くて長い歴史には、理由があるのです。
ここは、自然崇拝を起源とした神仏の聖地。
世界遺産ではあるが、世界遺産というひとくくりにされてはならない。

那智勝浦は日本有数の観光資源を持っています。
ロケーションアドバンテージはないですが、外国人が多く訪れるのは那智勝浦、熊野が持っている魅力をある程度理解しているからです。あるいは理解しようとしているからです。
関係者のみなさん、今ですよ!!やるのは。to the NextStage!!

熊野古道、高野山参詣道のマップはこちら


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