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マクダウナルとかクダーナルとか

ずっと遠くに「赤の地色、黄色の文字」が見える。車の窓から見ると近くに見えるけど、実際のところ、まだまだ距離がある。アメリカのロードサイドの看板は、遠くからもドライバーの視界に入るようびっくりするほど高い位置に作られているからだ。あの有名な”M”マークは、店名の頭文字じゃなく、1955年にイリノイ州にオープンした店舗の「ゴールデンアーチ」と呼ばれるデザインがモチーフだ。

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タイヤが身長の2倍はありそうな巨大トラックが何百台も停車しているパーキングエリアにレンタカーを停める。僕らのレンタカーは、まるでホットウィールのミニカーみたいだ。空港のハーツレンタカーで借りた時は、あんなに大きく見えたのに。「面白いから取材しようよ」と、友だちのライターがよく話してくれたホットウィールのダイキャストデザイナーJun Imaiに一度は会ってみたかったけど、どうやらすでにホットウィールを離れてしまったみたい。タイミングは大切だ。「いつか」じゃなくて、「今」会わなきゃ。

風の強いパーキングをとぼとぼ歩いて、まずはトイレに向かう。「車を停めたらとりあえずトイレ」。あらゆる旅のエキスパートたちに何度も言われた「旅のルール」を僕は忠実に守っている。個室のドアは下半分が大きく開いていて、何度入ってもなんだか不安だ。たいていどこかの床にトイレットペーパーが散乱している。

メニュー名じゃなくコンボのナンバーで注文するようにしている。ポテトにコーヒー。僕の発音で普通にメニューを頼んで、注文通りのものが運ばれてくる確率は、きっと50パーセント以下だろう。「聞こえないんじゃない、言ってないんだ」という予備校の先生はどこまでも正しい。「アメリカはなんでもでかい」という先入観がどうしても抜けきらない僕は、ハンバーガーが日本と同じ規格ってことに毎回ちょっとだけ驚く。もくもくと平らげる。どう考えても「おいしい」って感じじゃないんだよね。「たまにはいいか」、そんな感じ。2杯目のソーダをたっぷりとカップに注いだら、レンタカーに向かう。

何回旅をしても、ロードトリップ4日目の夜は、たいていそんな風に過ぎていく。

ちなみにアメリカ人に「マクドナルド」と言っても絶対に理解してもらえない。「マクダウナル」とか、「クダーナル」とか、そんな感じらしい。勇気を出して、言ってみる。やっぱり通じない。どうしろっていうのさ、一体。

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